2015年度工学院大学 第1部機械システム工学科

材料力学及演習I(Exercise of Strength of Materials I)[6C01]

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3単位
瀬戸 秀幸 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
材料力学は機械や構造物の信頼性の確保のみならず性能向上に必須の学問である.機械の実際の強度設計では応力やひずみの概念を良く理解し、棒、軸、はりの応力と変形の算出式、また材料の性質などがすぐに頭に浮かんでくるようにしておく必要がある。講義の後で自分で具体的な問題を解き、考え方のみならず実際の数値まで身につけ理解を深めておくことが重要である。
 実際のもの、とくに身の回りの簡単に機械、構造物を見てどこがもっとも壊れやすいか、またどんな工夫がしてあるか、うまく設計されているか、など判断する能力を身につけることを目標とする

<受講にあたっての前提条件>
これまでに学んだ 工業力学、数学、数学演習の知識、また 材料基礎工学の知識などを応用した学問であるから今までに学んだことをよく復習しておくことが望まれる。

<具体的な到達目標>
実際には機械部品や構造物の強度設計ではコンピュータを使ったシミュレーションが主流になっているが、
必ずその前に一次近似として手計算で応力の算出を行っている。部品や部材の形状を簡単化して、
この手計算で一次近似の応力を算出できるようになり、破壊しないような部品のおおまかな寸法が決められるよう設計能力を身につけることが学習の目標である。
機械工学エネルギー・デザインプログラム;D-2 機械システム基礎工学プログラム;D-1 国際工学プログラム;C-2

<授業計画及び準備学習>
材料力学は実際の機械や構造物の強度設計を行う能力を修得するためにはなくてはならない学問です。その名の通り力学ですからこれまで学習した物理の力学や工業力学などの基本がよく理解できていないと材料力学は修得できません。材料力学を修得すると身の回りの機械を見て、その信頼性などについて考えることができるようになり、機械の破壊事故の原因などを推定できるようになります。授業のあと毎回演習を行うので、このとき自分が納得できるまで質問すれば、毎回よく理解でき、日常生活において機械の信頼性という考えに親しくなることができます。

<授業計画>
1.材料の性質、棒の引張り・圧縮、
  機械材料の性質、とくに応力やひずみを学ぶ。簡単な一次元の棒に生じる応力とひずみの計算法を学ぶ。
2.分布荷重、変断面の棒,不静定な組み合わせ棒の問題
  分布荷重、変断面の場合には微分方程式によるつり合い方程式をつくる必要がある。
3.熱応力、組み合わせ棒、締結体
  高温機器に生じる熱応力の考え方、組み合わせ棒に生じる熱応力を学ぶ。
4.はりの問題、せん断力と曲げモーメント分布図
  はりの問題、この回はせん断力と曲げモーメント分布図の求め方を学習する。
5.はりの問題、せん断力と曲げモーメント分布図
  はりの問題で少し複雑なせん断力と曲げモーメント分布図の求め方を学習する
6.はりの曲げ応力
  Bernouilli-Eulerの仮定からはりの曲げ応力を求める式を誘導する。
7.断面二次モーメント
  はりの曲げ応力を求めるのに必要な断面二次モーメントを学習する。
8.はりのたわみ
  はりのたわみを用いてはりのつり合い方程式を表す微分方程式を求め、その解法を考える。
9.はりのたわみ  
  たわみを用いた微分方程式の積分を各種のはりについて実行し、たわみを求める。
10.不静定はり
  不静定はりの問題の解法は微分方程式を直接解く、重ね合わせ、最小仕事の原理などを応用する.
11. 重ね合わせの方法
  はりのたわみや応力を求めるのに重ね合わせの方法を用いる。
12. カスチリアーノの定理
  カスチリアーノの定理などエネルギー原理を学習する。これらははりばかりでなく、軸や棒の問題にも
適用できる。
13. 軸のねじり,せん断応力
  軸では引張り、圧縮の応力とは異なったせん断応力がおもに発生することを学ぶ。
14. コイルばね
  せん断応力の例として軸ばかりでなく、コイルばねにも生じることを学ぶ。
15. 定期試験
これまでの講義と演習の内容について、もう一度確認・復習する。

<成績評価方法>
講義の後で毎回行う演習の答案を提出する。成績はこの演習のレポートの結果と期末の試験の結果の両者で評価する。その割合は前者3,後者7の割合で行う。
上記の採点で合格すれば 機械工学エネルギー・デザインプログラム;D-2  機械システム基礎工学プログラム;D-1 国際工学プログラム;C-2 の水準が満足される。

<教科書>
基礎から学ぶ材料力学 立野、後藤編著(オーム社) または
材料力学 <丸善機械工学基礎コース> 小久保,後藤,森,立野(丸善)
ほかに毎回プリントを配布

<参考書>
材料力学は非常にたくさんの参考書が図書館に用意されています。それぞれわかりやすく
解説が工夫されていますのでときどき教科書以外にもみてみるのもよいでしょう。
一番よく理解できるのは演習時間に納得できるまで説明してもらうことです。

<オフィスアワー>
講義と演習の間の時間または演習後の時間。教員へのメールも利用可。

<学生へのメッセージ>
材料力学は製造業で必須でもっとも役に立つ科目です。就職試験や各種の資格試験にもよく出題されます。基本となる事項は、頭で理解できたレベルでは不十分で、得意「技」のレベルに、すなわちすぐに体が動いて「技」を繰り出せる域にしておくことが必要です。運動の練習と同じです。実戦を想定した体系的な説明と反復練習を準備しますので、頑張ってください。それには、休まないこと、遅れないこと、レポートは後れずに提出すること。


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