2015年度工学院大学 第1部機械システム工学科

工業熱力学(Engineering Thermodynamics)[2D04]

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2単位
長谷川 浩司 助教  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
熱はエネルギーの一つの形である。熱力学は物質の圧力、容積および温度の変化(熱力学的過程)を述べる。そして、熱力学は、熱と仕事は相互に変換可能である(第1法則)が、自然界に何ら変化を残さず熱を継続的に仕事に変えることは実現不可能である(第2法則)ことを学ぶ。更には、熱力学理論の工学的応用(熱エネルギーから機械的エネルギーの生産)を理解することを目的とする。

<受講にあたっての前提条件>
数学I、数学II、数学演習I、数学演習II、物理学I、物理学II、工業数学A、流体力学を受講していること。

<具体的な到達目標>
(1)熱に関連した単位を理解すること。
(2)理想気体の状態方程式と熱力学の第一法則、第二法則を理解すること。
(3)それを利用した工学現象の解析ができること。
(4)カルノーサイクルを始めとした熱機関サイクルの基本を理解すること。

(JABEE学習・教育到達目標)
「機械システム基礎工学プログラム」:D-1◎

<授業計画及び準備学習>
1.[ガイダンス] 熱力学の歴史および熱力学の基礎事項の紹介
準備学習:
シラバスを確認すると共に、1年次の物理学で学んだことを復習する。

2.[熱力学第1法則] 熱と仕事の作用と効果の同等性(エネルギーの形態と変換)
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

3.[熱力学第1法則] 状態変化、内部エネルギー、エンタルピー、比熱
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

4.[理想気体の状態変化] 状態方程式、マイヤーの関係式
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

5.[理想気体の状態変化] 代表的な準静的変化(1)(等温変化、等圧変化、等容変化、断熱変化)
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

6.[理想気体の状態変化] 代表的な準静的変化(2)(ポリトロープ変化)
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

7.[開いた系(気体の流動)] 定常流動系、連続の式、エネルギー式
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

8.学習成果の確認(中間試験)※電卓のみ持込可
準備学習:
(予習)これまでの講義内容を復習する。
(復習)自己採点を行う。

9.[理想気体の混合] 一定容積における混合、混合気体の性質
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

10.[熱力学の第2法則] エントロピー、変化過程とサイクル、可逆過程と不可逆過程
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

11.[熱力学の第2法則] サイクルの熱効率、動作係数、カルノーサイクル
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

12.[熱力学の第2法則]不可逆過程によるエントロピーの増加、有効エネルギー(エクセルギー)、無効エネルギー(アネルギー)
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

13.[熱と仕事の変換サイクル] オットーサイクル、ディーゼルサイクル
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

14.[熱と仕事の変換サイクル]複合サイクル(サバテサイクル)等
準備学習:
(予習)講義中に指示する。
(復習)前回の講義内容を復習する。

15.学習成果の確認(期末試験)
準備学習:これまでの講義内容を復習する。

<成績評価方法>
中間試験(50%)と期末試験(50%)を実施し、総合評価点60点以上を合格とする。なお、客観的事由なしに中間および期末試験の区別にかかわらず1回でも試験未受験者は履修放棄とみなす。「機械システム基礎工学プログラム」の学習・教育到達目標D-1は、上記の評価基準を満たせば達成される。

<教科書>
「JSMEテキストシリーズ 熱力学」日本機械学会(丸善)

<参考書>
「単位が取れる熱力学ノート」橋元 淳一郎(講談社)

<オフィスアワー>
随時対応する。但し、事前に長谷川(at13395@ns.kogakuin.ac.jp)までメール連絡の上、予約すること。

<学生へのメッセージ>
これまでに学んだ数学、物理学を今一度復習した上で受講することが望ましい。本科目の内容は、自然科学全般の基礎をなす重要な学問体系である。表層だけ理解するのではなく、本質的な理解と共に解法を体得してほしい。そのためにも単にやり方を覚えるのではなく、時間を掛けて試行錯誤しながら、愚直に考え抜くことを大切にしてほしい。


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