2015年度工学院大学 第1部機械システム工学科

化学I(Chemistry I)[4563]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
望月 千尋 特任助教  
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
理工系大学生として必要な化学の基礎知識を身につけることをねらいとする。高校化学程度の基本的な事項からはじめるが、講義はより理論的で厳密になる。また、英文の資料と演習問題を適宜参照しながら講義を進め、基本的な元素名や化学用語を英語でも理解する。現代社会における化学の役割を認識し、化学の視点から自らの専門分野を見直すことが目標である。

<受講にあたっての前提条件>
本科目の履修の前提となる科目は特にないが、「化学実験」を履修し、化学により親しむことは、心理的障壁を低減するのに有効である。本科目で習得した内容を、さらに「化学II」を履修することで発展させることが望ましい。また、本科目で化学の基本的素養を習得することは工学全分野で有用かつ必要なことである。

<具体的な到達目標>
(1)化学の関わる分野が極めて多岐に渡ることや、実生活に深く関連していることを講義を通して知ること。(2)元素名、単位や基本的な化学用語の内容を日・英両言語で明確に説明できること。
加えて、化学の基礎事項として、以下の項目の理解を達成目標とする。
(3)原子の構造を理解し、そこから化学結合の本質を説明できるようになる。
(4)化学反応に関する基本的な化学計算ができるようになる。
(5)ミクロな物質とマクロな現象を結ぶ化学平衡の概念と、熱収支を理解する。
(6)酸と塩基や酸化還元の定義と、それらの反応について理解する。
(JABEE学習・教育到達目標)
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:D-1◎
「機械システム基礎工学プログラム」:C-1◎
「国際工学プログラム」:C◎

<授業計画及び準備学習>
各回の課題を用いて、予習・復習を行うこと。各時間に提示される課題は、前回の復習を含むので、到達度を確認できる。新たな課題による予習に取りかかる前に、到達度に応じて複数回の復習を行い、確実な実力を身に付ける。
第1週:授業計画の説明,物質量と単位,数値の扱い,物質の分類
 [学習内容] 授業計画・評価方法等を説明したのち,授業を開始する。
 [学習準備] 教科書3~12ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第2週:原子の構造と原子量,化学式と物質量
 [学習内容] 原子の構造と原子スペクトル,電子を理解する。
 [学習準備] 教科書15〜20ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第3週:原子モデルと電子の軌道
 [学習内容] 原子モデルと電子軌道の関係を理解する。
 [学習準備] 教科書21~23ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第4週:電子配置と元素の周期性,電気陰性度
 [学習内容] パウリの排他律を学び,電子配置と周期律の関係を理解する。
 [学習準備] 教科書24~34ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第5週:化学反応式,化学結合と電子
 [学習内容]  原子間の結合の本質が電子であることを理解する。
 [学習準備] 教科書69~77ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第6週:物質の三態,結晶構造,気体分子の状態方程式
 [学習内容] マクロな物質の状態はミクロな分子の集合状態を反映していることを理解する。
 [学習準備] 教科書78~82ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第7週:相平衡,束一的性質
 [学習内容] 相平衡や粒子の個数に支配されている現象を理解する。
 [学習準備] 教科書87~97ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第8週:7週までのまとめ
 [学習内容] 第7週までの授業をまとめる。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を再読し,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第9週: 化学平衡,質量作用の法則
 [学習内容] 化学反応における動的平衡の概念を理解する。
 [学習準備] 教科書56~62ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第10週:反応速度,反応に伴う熱収支,結合エネルギー
 [学習内容] 化学反応の進行に伴うエネルギー変化を理解する。
 [学習準備] 教科書63~66ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第11週:酸と塩基,中和反応,酸・塩基の強弱
 [学習内容] 酸・塩基の定義,およびそれらの強弱と中和反応の関係を理解する。
 [学習準備] 教科書46~50を参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第12週:酸化と還元,酸化数
 [学習内容] 酸化還元が電子の移動であることを理解する。
 [学習準備] 教科書51~55ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第13週:酸化還元電位,電池と電気分解
 [学習内容] 電池と電気分解の違いについて理解する。
 [学習準備] 教科書51~55ページを参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第14週:いろいろな材料
 [学習内容] 身の回りにあるセラミックス・金属・プラスチック材料などの化学組成を理解する。
 [学習準備] 教科書の該当箇所を参考に,配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第15週:講義のまとめ
[学習内容] 14週までの授業をまとめる。
 [学習準備] 第14週までのノートを再読し,配布演習問題を解いて知識を定着させる。

<成績評価方法>
原則として定期試験(100点)で評価し、60点以上を合格とする。ただし、授業中の配布演習問題の成績を最大50%まで含めて評価し、それらの合計点を100点を越えないように規格化する。
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育到達目標(D-1)は、上記の評価基準を満たせば達成される。

<教科書>
「大学生の化学 Introduction」佐藤光史監修 河野博之,永井裕己共著 培風館

<参考書>
「大学と高校を結ぶ 化学基礎演習」J.B.企画
「視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録」数研出版
「基礎化学」化学教科書研究会編 化学同人など
R. Breslow "Chemistry -Today and Tomorrow" を副読本として紹介する。化学の最前線の内容が簡素な英文でまとめられている)。化学の役割と化学用語の理解に役立つ。

<オフィスアワー>
毎週木曜日18:00〜19:00とするが,在室(八王子; 12号館305号室)時は,いつでも質疑を受け付ける。訪問の際は,E-mail: fu01147@ns.kogakuin.ac.jpへの予約を推奨する。

<学生へのメッセージ>
化学抜きで物質を語ることはできないことを知ろう。物質から成り立っている、環境や生命を理解する入口であることに気付こう。興味をもち、積極的であれば必ず糸口が見つかる。


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2015 Kogakuin University. All Rights Reserved.