2015年度工学院大学 第1部機械システム工学科
△先進工業地域論(Studies on Developed Economies)[4473]
2単位 小野 一 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ◎ | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 地域的統合のひとつである欧州連合(EU)について、その可能性と問題点を検討する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特になし。
- <具体的な到達目標>
- 本講義での達成目標は以下のとおり。
(1) EUについて、政治・経済・社会的観点からの概略的理解を得る。 (2) 習得した知見や概念を、個別の事例分析や時事問題の体系的把握のために援用する。 (3) ヨーロッパと非ヨーロッパの関係についての考察を通じ、先進工業地域の特性をグローバルな視野からとらえ返す。 (4) 社会科学の学修の基本である、分析力、思考力、表現力を養う。
- <授業計画及び準備学習>
- (1) イントロダクション:先進工業地域とは?
【第1部】戦後における欧州統合の歩み (2) 欧州石炭鉄鋼共同体、欧州経済共同体(EEC)、欧州共同体(EC) (3) 欧州連合(EU)への発展と政治的統合−−平坦でなかったマーストリヒトへの道 (4) 欧州通貨統合の賭け−−補論:ユーロ加盟を選んだ国の論理、選ばなかった国の論理 (5) 拡大するEU 【第2部】統一欧州の制度機構、政策、文化的アイデンティティ (6) EUの政治機構−−国内政治機構の三権分立制との比較において (7) 欧州議会、欧州市民権、欧州社会政策−−相対化する国民国家 (8) 欧州統合は環境保護にプラスかマイナスか? (9) 統一欧州の政策2例−−共通農業政策と言語政策 (10) 欧州社会政策の可能性 【第3部】「外国人」たちのヨーロッパ (11) 非ヨーロッパ人への不寛容の強まり?−−移民排斥、シェンゲン協定 (12) 市民権・国籍をめぐる問題 (13) 「外国人」問題と極右の台頭−−「ドイツとトルコ」の問題を例に (14) 日本における「内なる国際化」の問題 【期末試験】 (15) 学習成果の確認 ※ 準備学習として、前回の授業の復習をした上で各回の授業に臨むこと。具体的な課題が指示されている場合は、それに従うこ と。
- <成績評価方法>
- 授業時間中に小レポートを適宜実施する。最終的な成績は学期末の教場試験を主たる評価基準とし、平常点を含む総合評価において60点以上を獲得した場合に合格とする(2015年度入学の1年生については、GradeD以上の者に単位を認める)。詳細は初回講義時に説明する。
- <教科書>
- 使用しない。
- <参考書>
- 大西健夫/岸上慎太郎編『EU統合の系譜』(早稲田大学出版部)、清水嘉治・石井伸一『新EU論』(新評論)、勁草書房『EUスタディーズ』(全4巻)。その他は講義中に指示する。
- <オフィスアワー>
- 八王子校舎1号館1E-310号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:月:11〜12時(前期)、火:11〜12時(後期) 新宿校舎12階講師室:水:19:30〜20時(前期)、19〜19:30(後期) 上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。
- <学生へのメッセージ>
- 一連のユーロ危機により真価が問われるヨーロッパ。最新動向には目が離せないが、欧州連合の到達水準を、そのプラス面もマイナス面も含めて、長期的視野からとらえ直すことも必要である。社会的弱者やグローバル化の負の側面に目をつむった、経済一辺倒の欧州統合? 多くの非ヨーロッパ人居住者の存在を無視した、「ヨーロッパ人」だけのためのヨーロッパ? 統一欧州という壮大な実験を振り返り、その進むべき道を問い直すことは、日本社会に生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれるはずである。
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