2015年度工学院大学 第1部機械システム工学科
△化学実験(Experiments in Chemistry)[2205]
1単位 望月 千尋 特任助教
- <授業のねらい>
- 「予習」→「実験」→「実験結果の記録と整理」→「レポート作成」という一連の作業を通じて、化学実験の操作技術を身に付けるとともに、実験結果を化学的視野から洞察する能力を身につける。
- <受講にあたっての前提条件>
- 高校レベルの化学の基礎知識を有することが望ましいが、必須ではない。高校で化学を履修しなかった人は、学習支援センターを活用し、化学の知識を補うこと。
- <具体的な到達目標>
- ・基本的な化学実験器具を使用できる。
・安全と環境に配慮し、化学薬品を取り扱うことができる。 ・実験の予習を行い、実験結果をノートに取ることができる。 ・実験レポートを作成できる。
(JABEE学習・教育目標) 「機械システム基礎工学プログラム」:(C)◎
- <授業計画及び準備学習>
- 実験は各個人で行う(第12回のみグループ実験)。実験テーマの概要は、
【第2回: 炎色反応】 金属陽イオンの炎色反応を見る 【第3−7回: 無機定性分析実験】 水溶液中の金属イオンの分離・検出を行う。 【第8−10回: 定量分析実験】 アルカリを用いた酸の濃度決定を行う。 【第11回: 無機合成実験】 硫酸銅の製造および精製を行う。 【第12回: 物理化学実験】 水の精製と、その純度を決定するための測定を行う。 【第13回: 高分子合成実験】 合成繊維ナイロン6,10の合成を行う。
各週のスケジュールは以下の予定。
1. 化学実験の説明(実験ガイダンス・全般的な注意) [学習内容] 実験内容、安全に関する注意、予習・レポートの書き方の説明を行う。 化学式および有効数字に関する練習問題を行う。 [準備学習] 化学式および有効数字について復習しておくこと。 2. 炎色反応(Na+, K+, Ca2+, Sr2+, Ba2+) [学習内容] Na+, K+, Ca2+, Sr2+, Ba2+の炎色反応を見る。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 3. 無機陽イオン各個の反応(Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+) [学習内容] Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+各イオンの存在を確認するための化学反応を行う。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 4. 第I属陽イオン(Ag+, Pb2+)の系統的分析 [学習内容] Ag+, Pb2+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 5. 第III属陽イオン(Al3+, Fe3+)の系統的分析 [学習内容] Al3+, Fe3+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 6. 第I, III属陽イオンの混合試料の分析 [学習内容] 第4, 5回実験で扱ったイオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 7. 第I, III属陽イオンの未知試料の分析 [学習内容] 第4, 5回実験で扱ったイオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。 ただし、どのイオンが含まれているかは、各個人により異なる。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 8. 酸塩基指示薬の性質 [学習内容] 様々な指示薬を用い、pHの変化に伴う溶液の色の変化を観察する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 9. アルカリ標準液による酸の定量 [学習内容] 濃度の分かっているアルカリを用いて、酸の濃度を決定する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 10. 市販食酢中の酢酸の定量 [学習内容] 濃度既知のアルカリを用いて、市販食酢中の酢酸の濃度を決定する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 11. 硫酸銅の合成と精製 [学習内容] 硫酸銅を合成し、再結晶法による精製を行う。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 12. 蒸留水の製造 [学習内容] 水道水を蒸留により精製し、比抵抗の測定によりその純度を決定する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 13. ナイロン6 10の合成 [学習内容] ヘキサメチレンジアミンと塩化セバコイルから合成繊維ナイロン6 10 を合成する。 [準備学習] 教材プリントの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。 14. まとめ実験 [学習内容] 第2−13回の実験の中で、上手くいかなかった実験やもう一度トライした い実験を行う。 [準備学習] 第2−13回の実験を復習しておくこと。 15. レポート・課題に関する質問、総評 [学習内容] 化学実験の内容、レポートに関する質問に答える。 また、全体を通しての総評を行う。 [準備学習] 実験の復習をし、事前に質問箇所をピックアップしておくこと。
- <成績評価方法>
- 試験は行わない。レポートのみで成績評価し、Grade D以上の者に単位を認める。予習およびレポートの提出が無い場合は、その回の点数は0となる。ノートを忘れた場合,実験は許可しない。
- <教科書>
- 指定教科書はない。初回に、教材プリントを配布する。
- <参考書>
- ・「視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録」数研出版編集部編(数研出版)
高校化学の有名な参考書だが、溶液・沈殿・実験器具の写真が数多く掲載されており、実験の予習や実験結果の検証に非常に役立つ。
- <オフィスアワー>
- 火曜日15:00−17:00とする。居室は八王子キャンパス(12号館305号室)。不在の可能性があるので、事前に連絡を取ることを推奨する。メールで連絡・質問する場合は、fu01147@ns.kogakuin.ac.jpまで。
- <学生へのメッセージ>
- 化学薬品や実験器具の取り扱い方を学ぶ化学実験は、先進工学において重要な基礎となるものである。実験操作やレポートの書き方を、確実に習得してほしい。また、色の変化や沈殿の生成など、化学変化の多様さに興味を持ちながら実験を行ってほしい。
- <備 考>
- 実験直前に初めて教材プリントを見るようでは、実験中に慌てて事故につながる。安全かつ手際良く実験を行うため、事前に予習を行うこと。このため、実験ノートの準備を必須とする。予習を忘れた場合や、遅刻した場合は、実験を禁止する場合がある。
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