2015年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース
△生命科学概論(Introduction to Life Science)[1E71]
2単位 大藤 道衛 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 生命科学は、ゲノム上にある遺伝情報に基づき分子レベルで生命現象を解明する学問である。前半では、細胞の構造を学ぶとともに遺伝情報に基づいた細胞の営みが“生命”へとつながる姿を概観し「ヒト」という生物を考えてみる。後半では、生命科学研究で用いる遺伝子工学や遺伝子解析などの研究の基盤技術を学ぶとともに、遺伝子診断・遺伝子治療・再生医療など医療への応用、更には新しい技術に対する社会受容と生命倫理についても考察する。本講義を通じ、生命科学と医療・産業との関わりを考える際に必要な基礎知識と考え方を身につけることを目標とする。
- <受講にあたっての前提条件>
- 本科目履修の前提となる知識・科目は特にない。生命科学研究は機械系分野との融合により、診断・治
療機器、バイオ機器、ナノバイオテクノロジーなどに応用され、医療、産業を通じて社会に還元される。本 科目は、生命科学と機械系との融合分野に必要な知識や考え方に繋がる。
- <具体的な到達目標>
- 技術者としての基礎力(分子生物学の基礎)の修得ができる。
生命科学に関する専門知識が修得できる。 生命科学、バイオテクノロジーの医学、農学への応用を学ぶことを通じ技術者倫理の修得できる。 (JABEE学習・教育到達目標) 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: D(◎)
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 生物と生命科学:生物の誕生と進化、ヒトの起源と進化について学ぶ
予習・復習:生物・生命の定義は何か考えよ。生命の誕生について、どのような仮説があるか考察せよ。 第2回 細胞:生物個体を構成している細胞と細胞分裂について学ぶ。 予習・復習:減数分裂と生物の多様性の関係ついて考察せよ。 第3回 生命を担う物質:生命活動を担うタンパク質、遺伝情報を担うDNA/RNAについて学ぶ 予習・復習:DNAの情報分子として役割を考察せよ。 第4回 遺伝子発現調節:遺伝情報からタンパク質ができるプロセスについて学ぶ。 予習・復習:一つの個体に多様な細胞が存在する仕組みを遺伝子発現の観点から考察せよ。 第5回 ヒトゲノム:ヒトの遺伝情報全体であるゲノムDNAの構造について学ぶ 予習・復習:限られた数の遺伝子から、多種多様なタンパク質が作られる仕組みを考察せよ。 第6回 遺伝子発現と発生・分化:遺伝情報に基づき受精卵から生物個体が生まれる仕組みを学ぶ。 予習・復習:細胞分化の仕組みを環境と遺伝子発現調節の観点から考察せよ。 第7回 学習成果の中間確認 予習・復習:第1-6週のキーワードを確認せよ。 第8回 遺伝子工学:生命の仕組みから生まれた遺伝子組換え技術について学ぶ。 予習・復習:遺伝子組換え技術が生命科学研究にもたらした利点について考察せよ。 第9回 遺伝子解析:遺伝情報を調べるPCRやDNAシークエンシング技術について学ぶ。 予習・復習:遺伝子解析におけるPCRおよび電気泳動技術の役割を考察せよ。 第10回 病気の仕組み:がんと遺伝子について学ぶ。 予習・復習:細胞がん化の仕組みを遺伝子変異、エピジェネティクス等の観点から考察せよ。 第11回 遺伝子解析技術と社会: DNA鑑定、遺伝子診断について学ぶ。 予習・復習:遺伝子診断・DNA鑑定の利点と社会における問題点を明らかにせよ。 第12回 生命科学の医療への応用:遺伝子治療、再生医療、iPS細胞、分子標的薬について学ぶ。 予習・復習:遺伝子治療・再生医療の医療における利点と社会における問題点を明らかにせよ。 第13回 生命倫理:遺伝子組換え作物、個人遺伝情報などの事例を通じ生命倫理について考える。 予習・復習:社会から見たバイオ技術の利点と問題点を考察せよ。 第14回 生命科学と社会:生命科学教育と遺伝子リテラシー教育について学ぶ。 予習・復習:学校教育におけるリテラシーとしての遺伝子教育の進め方を検討せよ。 第15回 学習成果の確認(試験) 予習:第1-14週のキーワードを確認せよ。
- <成績評価方法>
- 定期試験が60 点以上を合格とする。ただし、定期試験が50〜59 点の場合、中間試験と期末試験の平
均点が60 点以上を合格とする。
- <教科書>
- 教科書は指定せず、講義資料をKUPORT から配信する。
- <参考書>
- 東京大学生命科学教科書編集委員会/編:「現代生命科学」羊土社(2015)
- <オフィスアワー>
- 月曜日 講義終了後30 分
- <学生へのメッセージ>
- 我々人間も生物の一員、生命科学は自分自身を知る学問です。聞き慣れない用語の意味を一つ一つ理
解すれば、生命科学の面白さが開けてきます。
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