2014年度工学院大学 教職課程科目

生徒指導論(教育相談及び進路指導を含む)(Guidance)[9351]

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4単位
安部 芳絵 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
この授業では、子どもの権利条約を活かした生徒指導について考え実践的な力を身につけることを通して、子どもの育ちを支える教師となることをめざす。前期は、教育相談・カウンセリングに関する基礎的な知識について学び、それを土台として、教師の「聴く力」と「待つこと」の意味を問う。後期は、生徒が本来有している力に着目し、「支援」という切り口から「エンパワーメント」の生徒指導について考える。

<受講にあたっての前提条件>
教職課程を履修していること、または履修しようとしていること。

<具体的な到達目標>
「問題行動を起こす子ども」とは、「問題の子ども」ではない。「問題に直面し、どうしていいかわからない子ども」であり、教師が指導・支援をする対象である。そこで、授業にあたっては、生徒指導において教師が直面するさまざまな事象を知り、データの読み方を学び、背景にある課題を探ることを第一の目標とする。これを踏まえて、子どもの成長発達を保障するために、教師はどのような指導と支援が可能であるのかを具体的に検討することを第二の目標とする。
 子どもに向き合う実践力を身につけるために、アイスブレーキング、ロールプレイング、事例研究、グループディスカッションをはじめとした参加型の学習方法を用いる。毎回の授業終了時には、個々の省察を促すためにふりかえりシートにコメントを記入し、翌週の講義でレビューシートとして配布し、共有する。

<授業計画及び準備学習>
<授業計画>
【前期】講義と事例研究、グループワーク中心。
1. オリエンテーション:子どもの現在を見つめる&教師の専門性と省察の意義
2. 生徒指導とはなにか(1):定義と意義
3. 生徒指導とはなにか(2):基礎的理論・学級の組織・運営
4. 生徒指導とはなにか(3):生徒理解・教育相談・カウンセリングの理論
5. 教育相談・カウンセリングと実践(1):「問題行動」の背景を考える〜ADHD/LD/高機能自閉症を事例に〜
6. 教育相談・カウンセリングと実践(2):「問題行動」に向き合う〜不登校と居場所〜
7. 教育相談・カウンセリングと実践(3):つながりで子どもを支える〜子ども相談の固有性とその支援実践〜
8. 進路指導・職業指導(1) 進路指導を中心に
9. 進路指導・職業指導(2) 職業指導を中心に
10.事例研究(1)子どもの貧困1
11.事例研究(2)子どもの貧困2
12.事例研究(3)子ども参加の学校づくり1:学校運営
13.事例研究(4)子ども参加の学校づくり2:「待つこと」の実践
14.前期のまとめ
15.学習成果の確認(レポート)及び講評

【後期】学生による発表と討論、講義を織り交ぜて実施。
1. オリエンテーション:後期初回の講義にて、進め方を説明。前期の復習。
2.少年犯罪
3. いじめ1:いじめの現象学的考察
4. いじめ2:事例研究
5.学校の安全(学校事故)
6. ジェンダー・セクシュアリティ
7.−10.学生からの発表
発表に際してのキーワード:中途退学、高校生の不登校、保護者対応、教育実習、介護等体験、部活動、学校行事、特別支援(それぞれのキーワードにそって担当者を決めて発表する)
11.児童虐待と生徒指導
12.体罰と生徒指導1:体罰禁止の国際的動向と日本
13.体罰と生徒指導2:「叱る」の教育学的考察
14.子どもの権利を保障した生徒指導と教師の「ゆらぎ」
15.学習成果の確認(教場レポート)及び講評
※講義は全て参加型で実施する。各回のテーマは、参加者と協議のうえ変更することがありえる。各自の積極的な参加を期待する。

<準備学習>
※各回の授業予習として
1新聞やニュースで子どもに関連する記事を読むこと、とくに気になった記事はクリッピングすること
2子どもに関する記事やニュースを題材に、家族や友人と話をすること
3前回のコメントシートに目を通しておくこと
※各回の復習として
1コメントシートに自分なりの考えを記入すること
2講義で学んだことを子どもと向き合う実践に活かすこと
3活かしてみた結果を次回の講義に反映すること。

<成績評価方法及び水準>
講義への出席とディスカッション・グループワークへの参加を前提とし、期末に実施する教場レポートを100点満点として、6割以上の者に単位を認める。

<教科書>
『子ども支援学研究の視座』安部芳絵(学文社)
毎回の授業時には作成したレジュメを配布する。

<参考書>
『生徒指導の手引き(改訂版)』文部省(1981年)、『生徒指導資料』『中学校・高等学校生徒指導の手引』文部科学省(各年次)、『現代学校改革と子どもの参加の権利』喜多明人編著(学文社)、『子どもとともに創る学校』澤田治夫ほか編(日本評論社)、『省察的実践とは何か』ショーン著・柳沢昌一・三輪健二監訳(鳳書房)、そのほかは、授業中に適宜紹介する。

<オフィスアワー>
授業終了後に教場で対応する。

<学生へのメッセージ>
教職課程にはいろいろな学生がいます。学部学生のみならず、社会人として教職をめざしている人、すでに講師として現場で働いている人、就職活動をしながら免許を取ろうとしている人、学校が好きだった人、嫌いだった人、学校教育に疑問を抱いてきた人、学校生活でかけがえのない出会いをした人。みなさんがいなければ、「生徒指導論」の授業は成り立ちません。ひとりひとりの経験や考えを大切にしながら、学びあっていければと思っています。ご協力をお願いいたします。


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