2014年度工学院大学 教職課程科目

数学教育の研究A(Study on Mathematics Teaching A)[9121]

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4単位
藏原 清人 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
 数学は物事を数量の面から把握・分析しようとするもので,人間の生活や活動と深く結びつき,重要な役割をはたしている。しかし,今日の数学教育は入試などで不可欠の教科とされながらも,「できない生徒」「数学ぎらいの生徒」の問題が深刻になるなど,数学について興味をもたせ,理解を進めたり,実生活でその知識や技能を生かすことが出来るものとはなっていない。
 この授業では特に数学教育に実際に携わる立場からこれらの問題をとりあげ考えるとともに,数学教師としての力量を身につけていくこと,数学教育を人間教育という広い視野からとらえていく努力をしたい。
 数学教育の研究Aでは,指導論,学力論を中心にとりあげる。この視点から,今日の数学教育の問題点を生徒の学習意欲と学力の低下に焦点をあて,それを改善するための教育方法と学習指導論を考察する。

<受講にあたっての前提条件>
中学校の教員免許希望者は,A,Bをともに履修すること。高校の場合は,A,Bいずれか一つでよい。すでにBを修得済みの者はその学習をふまえた自分の学習目標を持って臨むこと。
現代教職論、教育原論を修得済みか同時に履修していること。なお通年科目の場合は、1,2年生の履修は認めない。

<具体的な到達目標>
今日の数学教育で数学学習の意義が明らかにされていないことの問題を理解すること,数学を学ぶことが,現代人にとってきわめて重要になっていることを認識して,指導法の改善にとりくむ視点をもつこと。様々な数学教育論の特徴を理解すること,これらをふまえて数学の授業を行う上で何が必要であるか,学習指導案作成,模擬授業の実施などを通して理解することにおく。
また中学校または高校の数学教材の一つを取り上げ指導案を作成できること、数学の授業を行うにあたって配慮すべき事項について理解していることを目標とする。

<授業計画及び準備学習>
1. 数学教育 今日の問題 生徒はなぜ数学ができないか
2. 数学教育の課題について (ショートスピーチ)
3. 学習指導案の書き方(指導を中心に)
4. 教科書の検討(指導の視点から)
5. 学習指導要領の改定について/教育課程の意義と編成
6. 学習指導要領と数学の指導
7. 指導の進め方 (1)導入−動機づけを中心に
8.    〃  (2)展開とまとめ生徒の学習活動,考えることを中心に
9.     〃  (3)生徒の関心と意識,学習環境
10.    〃   (4)数学学力の現状と問題
11.    〃  (5)数学学習の指導、情報機器の活用
12. 世界の数学教育(1)数学教育の目的を中心に
13.      〃 (2)教科書をみる。
14. 数学教育の目的を考える(ショートスピーチ)
15. 前期のまとめ
16. 数学教育の歴史(1)幾何を中心に
17.      〃 (2)代数・関数を中心に
18.      〃 (3)実用教材を中心に
19.      〃 (4)現代化とコンピュータ利用をめぐって
20. 学習指導案の講評
21. 特別授業(現場教員ないし教員経験者を招いての模擬授業)
22.〜28. 授業をやって考えよう(1)〜(7)(学生による模擬授業と講評)
29. 数学教師のあり方を考える/授業のまとめ
30. 学習成果の確認(試験)

 この授業は,生徒の身につけさせる数学の「学力」という視点から,数学教育の現状や課題を考えることを目的としているので,自分の受けた数学(算数を含む)教育を思い返し,問題をほり下げるよう努力すること。新聞報道などにも注意して今日の数学教育の課題を考察しておくこと。教科書や学習指導要領,各種の指導法について,「学力」という視点から考察を深めることがこの科目の学習(予習・復習)として必要である。
学習指導案を作り,模擬授業を行うことで,学習指導を行う上で必要なことがらを知り,生徒の学力向上をめざす効果的な指導ができるための基礎を学ぶ。このため,受講にあたって中学校及び高校の教科書を見直し,どの教材(テーマ)で学習指導案を作成するかを考えておくこと。後期の後半に行う模擬授業に授業者としても生徒役としても積極的に取り組むこと。 
前期は中学校・高校の教材を一つ選び、指導案を作成して提出する。コメントを付けて返却された後、修正して後期に再提出すること。また夏休みの課題として、数学教育に関わる論文・著書を読んで感想をまとめる。


<成績評価方法及び水準>
レポート及び試験による。指定レポートは2件必須とし、このレポートを提出しない場合は履修の放棄とみなす。
試験の結果,この授業の達成目標に達している者を60点以上とし,単位を認定する。
すでに数学教育の研究Bの単位を修得しているか、夏期授業で履修した者は、別のレポートを提出すること。
いずれもくわしくは授業中に指示する。

<教科書>
指定教科書なし。必要な資料は授業中に配付する。

<参考書>
中学,高校の数学教科書を用意すること。
「中学校学習指導要領解説数学編」(文部省) ※これは全員が購入しておくこと。
「高等学校学習指導要領解説数学編」(文部省) ※これは全員が購入しておくこと。
「日常性の数学」及び「高校生 とまどいの数学的体験」いずれも、岡部すすむ著(教育出版社,ベースプロ)
そのほかくわしくは講義のなかで指示する。

<オフィスアワー>
木 16:30〜17:30 新宿校舎A-2733号室,及び必要により授業終了後に行う。

<学生へのメッセージ>
討論や意見交換,模擬授業などの機会を設け,皆で学びあいたい。授業への学生の積極的参加を期待する。模擬授業は,教育実習の準備として大変自信になるので,特に3年生が積極的に行うことを期待したい。


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