2014年度工学院大学 建築学部まちづくり学科

都市住宅地計画(Neighbourhood Planning)[4B18]

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2単位
野澤  康 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
都市空間はその大半が住宅市街地で占められている。わが国の総人口のかなりの部分は都市に住んでいる事からもわかるように、都市は重要な人間生活の場、そして居住のための空間である。すなわち、そのために都市は、まず快適な生活ができる空間として整備されるべきである。
この講義では、具体的な課題を取り上げながら、計画・設計のあり方から需給や政策に至るまで、幅広い観点から都市住宅地について学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
一部で、2年次の「都市計画」で学んだ知識を用いる部分がある。必要に応じて、その時の教科書・ノートを用いて復習しておくこと。

<具体的な到達目標>
具体的には、以下の3点を達成目標とする。
(1)都市住宅地が直面する問題点を各種の問題点を、事例を通して把握する。
(2)(1)で把握した問題点から、その解決の糸口を考察することができる。
(3)住宅政策や住宅の需給関係などの理解する。

<授業計画及び準備学習>
【イントロダクション】
第1回
講義の目的、扱う内容・論点の整理、進め方を理解する。
☆準備学習:この講義で自分が目指す目標を明確にする。2年次の「都市計画」で使用した教科書の  を復習する。

【論点1】密集市街地を安全で快適な住宅地にする
第2回
論点1-1:密集市街地の形成プロセスと整備の方向性
☆準備学習:東京の明治以降の都市形成史の概略を知り、密集市街地の形成プロセスと関連付けて理解する。

第3回
論点1-2:事例研究(中野、京島、真野、東大利、東京都10年プロジェクト)
☆準備学習:授業で紹介する密集市街地事例の空間やコミュニティを実体験する。

第4回
論点1-3:グループ研究(東京の密集市街地の具体的な地区を対象として、その整備の方向性を議論してまとめる)
☆準備学習:選んだ地区に関連する都市計画の内容を調べて、議論に生かす。

第5回
論点1-4:グループ研究の成果発表(議論した内容を整理して発表する)
☆準備学習:議論の内容をプレゼン用PPTにまとめる。他グループの発表も含めて、評価する。(自己評価・相互評価)

【論点2】人口構成の変化と都市住宅地のあり方、住宅供給のあり方
第6回
論点2-1:人口の高齢化・少子化、世帯規模の縮小
☆準備学習:自分が住む自治体の人口構成等を把握する。高齢化・少子化対策の政策をしていれば、その状況を学習する。

第7回
論点2-2:住宅に関する調査(住宅・土地統計調査)の結果を読み解く
☆準備学習:国土交通省HPで住宅・土地統計調査の報告書概要版をダウンロードし、読み解く。

第8回
論点2-3:戦後の住宅政策の変遷(国の政策はどのような方向へ導こうとしているのか)、論点2に関するレポート(個人)の作成(次回、結果をフィードバックする)
☆準備学習:国土交通省HPで住宅政策(住宅建設五か年計画、住生活基本計画)をダウンロードし、読み解く。

【論点3】大量供給時代につくられた郊外住宅団地を再生する
第9回
論点3-1:郊外住宅団地の実態・問題点と整備の方向性+事例紹介
☆準備学習:身近にある築30〜40年を経た住宅団地に行ってみて、その空間やコミュニティを実体験する。

第10回
論点3-2:町田市における団地再生の試み
☆準備学習:町田市の団地に関する資料を収集する。授業で紹介する団地再生基本方針を読み解き、方向性を考察する。

第11回
論点3-3:グループ研究(事例研究などを通して、新しい住まい手の獲得など、これからの団地再生のあり方を議論する)
☆準備学習:授業で扱った以外の事例を収集し、具体的な再生提案の議論と取りまとめを行う。

第12回
論点3-4:グループ研究の成果発表(議論した内容を整理して発表する)
☆準備学習:議論の内容をプレゼン用PPTにまとめる。他グループの発表も含めて、評価する。(自己評価・相互評価)

【論点4】大都市で増加する超高層住宅・住宅地の30〜40年後を考える
第13回
論点4-1:特に東京湾岸に増加し続ける超高層住宅の実態、その利点・欠点
☆準備学習:江東区、港区、品川区、大田区の東京湾岸の超高層住宅地に行き、その空間やコミュニティを実体験する。

第14回
論点4-2:超高層居住の将来に関する全体ディスカッション
☆準備学習:講義内容をもとに、その利点・欠点について、将来はどうなるかについて、事前にレポートをまとめてくる。

【達成度の確認】
第15回
各論点に関する理解度・考察力を確認する。

<成績評価方法及び水準>
講義中の発表・レポート・ディスカッションの様子等(40点分)、期末試験(60点分)によって成績を評価する。両者の合計が60点以上を合格とする。

<教科書>
特に指定しない。講義の中で、参考書等を随時紹介し、また必要な資料を配布する。
ただし、下記参考書は、比較的よく使うものであるので、できれば持っていてほしい。

<参考書>
「現代集合住宅のデザイン」 日本建築学会編著(彰国社)
「現代集合住宅のリ・デザイン」 日本建築学会編著(彰国社)
その他、必要に応じて講義中に紹介していく。

<オフィスアワー>
講義終了後、講義室または26階研究室(A2674室)または12階副学長室(A1214室)にて対応する。それ以外でも事前連絡により対応する。
E-mail;nozawa@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
都市に住むという価値観や人間の感覚は、時代とともに多様化してきている。様々な要求を理解するには、これまでの流れや基本的な知識を身につける必要があるので、そうした意味でもこの講義をぜひ聴いてほしい。
講義の中では事例紹介をできるだけしたいと考えているが、時間の関係もあり限界がある。自ら事例などを学ぶ姿勢(文献やネットで調べる、現場に見に行く)を持ってほしい。


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