2014年度工学院大学 建築学部まちづくり学科

市民まちづくり論(Community Development Theory)[2E17]

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2単位
星 卓志 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
かつては行政組織の主導的なまちづくりが一般的であったが、近年、まちづくりへの市民参加の重要性が増しつつある。まちづくりや都市計画は、市民福祉の増進を目的とするものであることから当然の帰結であるが、まちづくりに市民が深く関与するようになるのは、この20〜30年ほどのことである。こうした参加のまちづくりが広がってきた経緯、参加のまちづくりの事例、参加に必要なワークショップ技法などのテクニックを学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
●「地区まちづくり論」、「都市計画」を受講していること。
●同期に開講している「都市再生論」を受講すること。

<具体的な到達目標>
●「まちづくり」の概念を理解するとともに、その多様な具体例についての知識を身につける。
●ワークショップの基本的な方法を実践できる。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス
2.簡単なワークショップ手法
 多様な意見を出し合いまとめていく基礎的手法としての「七並べワークショップ」を体験・実習する。
 事前学習:ワークショップとは何かについて調べ自分なりの理解をしておく。
3.KJ法
 KJ法の理論と実践を体験・実習する。
 事前学習:KJ法の概要について調べておく。
4.「都市計画」と「まちづくり」
 「都市計画」とは何か、「まちづくり」とは何かについて対比的に解説する。
 事前学習:都市計画について既に履修した授業内容を復習する。
5.日本の都市計画制度における市民参加
 法定都市計画の手続きを確認したうえで、都市計画提案制度の現状と課題を解説する。
 事前学習:都市計画法第15条から第21条の5を読み、できるだけ理解しておく。
6.まちづくりの領域と事例
 まちづくりがどのような領域で実践されているかを具体例を含めて解説する。
7.まちづくり市民運動、活動の事例ー1
 「小樽運河と石造倉庫群の保存運動」、「札幌苗穂地区まちづくり」について、その経緯、内容、意義等について解説する。
 事前学習:可能な範囲で独自に調べておくこと。
8.まちづくり市民運動、活動の事例ー2
 「鞆の浦埋め立て架橋計画」、「国立マンション訴訟」について、その経緯、内容、意義等について解説する。
 事前学習:可能な範囲で独自に調べておくこと。
9.アメリカにおける恊働的な地域まちづくり
 地域まちづくりの必要性を確認したうえで、近隣計画プログラムの内容を解説する。
10.都市計画マスタープランとコミュニティ・プランニング
 日本の都市計画マスタープラン制度と事例を説明したうえで、アメリカの近隣計画プログラムとの対比からの知見を解説する。
 事前学習:前回授業の内容を復習しておく。
11.日本におけるコミュニティ活動の具体例
 町内会活動、地域住民組織と行政との協力によるまちづくり活動の例を紹介し、まちづくり概念の理解を深める。
 事前学習:自分の出身地における町内会活動について家族等から聞き取り、確認しておく。
12.市民参加手法−1
 まちづくりワークショップの模擬体験
13.市民参加手法−2
 まちづくりワークショップの模擬体験
14.本授業の総括的整理とまちづくりの概念整理
 この授業で学んだことを総括的に整理したうえで、市民を主体としたまちづくりの本質的概念を整理し理解を深める。
 事前学習:前回までの授業内容を復習しておく。
15. 学習成果の確認(期末試験)

<成績評価方法及び水準>
授業ごとのコメントシート、小テスト、出席状況等の平常点(30点)及び期末試験(70点)により評価する。60点以上を合格とする。

<教科書>
指定教科書なし。
授業の中で必要な資料を配布する。

<参考書>
指定参考書なし。

<オフィスアワー>
授業の前後を基本とするが、あらかじめ連絡調整のうえ他の日時とすることも可能。

<学生へのメッセージ>
建築や都市を計画するとき、その利用者が持つ環境意識や生活感をいかに汲み取ることができるかが非常に重要です。この授業では、人々が生活するまちの環境を良くしていくための市民の関わりをテーマとしますが、そのことは同時に、作る側に立つ私たちはどのような姿勢で市民と関わるべきかを考えることでもあります。


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