2014年度工学院大学 第2部建築学科
△美術A(Fine Arts A)[3605]
2単位 鈴木 淳 非常勤講師
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 「美術B」で絵画技法の歴史を学ぶのに対し,本授業では,絵画を中心に,作品に使われる材料と構造について基礎的,教養的知識を修得する.
・ 美術作品が鑑賞するものである一方で,私達の身の回りにあるさまざまな物と同様にひとつの「物」であることを認識する. ・ 材料に着目して美術作品を構成要素ごとに分類し,材料およびその使われ方が作品の保存性とどのような関係にあるのかを理解する.
- <受講にあたっての前提条件>
- ・ 「美術B」と併せて履修することが望ましい.
・ 高等学校までの授業で美術を履修している必要はない.
- <具体的な到達目標>
- ・ 絵画の種類による構造と構成要素の違いを理解できる.
・ 絵画に用いられる材料とその特性を理解し,歴史の中でそれが用いられてきた背景を比較できる. ・ 美術作品に対する科学調査の意味と,それぞれの調査の役割を理解できる. ・ 美術作品を,自身が専門分野であつかう「物」に置き換えて,そこで使われる材料および構造がその物の耐久性あるいは機能とどのような関係にあるのかを判断することができる.
- <授業計画及び準備学習>
- 授業計画:
1.ガイダンス:本授業の流れ 美術作品の保存性: 作品が劣化する環境と作品の寿命 絵画の構造: 絵画を構成する要素(支持体,地塗り層,絵具層,ワニス層)
【絵画構造と材料】 2.絵具の条件: 絵具とは何か,何が絵具として使用できるか 3.絵具の要素−顔料: 顔料と染料との違い,顔料の種類 4.絵具の要素−媒材: 役割と種類,絵具の乾燥のしかた 5.絵具の種類と歴史: ペースト状絵具と固形絵具の種類とその歴史,媒材による分類(水性絵具と油性絵具) 6.地塗り: 役割と種類,吸収性による分類,色による分類(白色地と有色地) 7.支持体: 絵画に用いられた支持体の種類と歴史 8.ワニス: 役割と種類,塗布方法 9.絵具の固着と吸収: 絵具と支持体の組み合わせ 自家製絵画材料: 絵具,白亜地パネル,キャンヴァス
【絵画の調査と修復】 10.絵画の調査: 目的と方法 可視光線を利用する観察: 通常光線下観察,側光線観察,紫外線蛍光観察 不可視放射を利用する観察: X線観察,赤外線観察 その他の観察: 拡大観察,試料クロスセクション観察 11.油彩画に見られる劣化と損傷: 種類と原因,内在要因と外的要因 12.修復の目的と処置: 構造上の問題に対する処置,外観および鑑賞上の問題に対する処置,修復の必要と限界 13.作品の管理: 収蔵と展示
【講義総括】 14.絵画材料の選択と効果: 材料による使い方の制約,画家の表現の自由と責任 絵画と学生各自が専門で扱う「物」の比較: 構成要素と材料の耐久性 15.学習成果の確認(試験) 準備学習: 毎回の授業に共通して次の準備学習を課す. ・ 本授業はテキストを使用しないので予習の必要はない.ただし,プリント資料を使用する場合は前週の授業で配布するので熟読しておくこと. ・ 予告なくおこなう小テストで復習の程度を確認する.授業のあとに充分に復習をおこなうこと.復習の要点は各回の授業で指示する.
- <成績評価方法及び水準>
- 定期試験と授業中におこなう小テストによる100点評価で判定する.定期試験結果を80%,小テスト結果を20%で評価して,60点以上を合格とする.
ただし,授業への出席率および小テストの受験率がともに2/3以上であることが必須であり,これに達しない学生は履修放棄とみなし成績評価はおこなわない. 小テストは,学生が授業の要点を確認するためのものとして重視する.不定期に実施するので,きちんと授業に出席しないと単位を取得することは困難.
- <教科書>
- 指定教科書なし.
- <参考書>
- 森田恒之:画材の博物誌,1994,中央公論美術出版,ISBN:9784805502853.
さまざまな絵画および材料の歴史や特性について解説されている.内容は専門家にも役立つ精細なものが多く含まれているが,ひとつずつの項目について短くまとめられていて読みやすい.この本の内容についても質問があれば受ける. ほかは授業中に紹介する.
- <オフィスアワー>
- 授業開始前のみ(水曜日,17:40−17:55),新宿校舎12階講師室.
- <学生へのメッセージ>
- 美術作品だけでなく,生活に関わるあらゆる「物」の材料,構造,保存性に関心を持ってもらいたい.
質問は歓迎する.オフィスアワーが短いので,この時間に受ける質問には翌週の授業で回答する場合がある.質問はe mailでも受ける.アドレスは授業で伝える.
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