2014年度工学院大学 第2部建築学科

宗教論A(Religious Studies A)[3604]

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2単位
田口 博子 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<授業のねらい>
副題:死者の救済と共同体における死者の位置
「弔い上げ」、すなわち毎年めぐってくる死者の祥月命日の年忌供養は三十三回忌、あるいは五十回忌とされています。これは故人を記憶している人々がみな鬼籍に入る時期にほぼ相当すると言います。
ところがこの数年のあいだに、七十年近くの歳月を経ても国内はおろか近隣諸国までも多大な影響を及ぼす死者崇拝を目の当たりしました。近代国家における死者祭祀の有する問題性をこれほど鮮やかに浮き彫りにするものはないでしょう。
本年度は共同体とりわけ地域、国家における戦争、自然災害、事故などによる死者の慰霊について考察したいと思っています。

<受講にあたっての前提条件>
特にありません。

<具体的な到達目標>
死者供養に対する、さまざまな学問領域による考察を学習した上で、死者の救済とは何か、そして死者の共同体における位置について、自分なりの見解を得ることを目標とします。

<授業計画及び準備学習>
第1回 導入
第2回 『死と歴史』(1):死を前にしての態度 
第3回      (2):現代における死者礼拝
第4回 『日本仏教史』:仏教土着
第5回 『死者の救済史』(1):苦しむ死者と日本の民衆宗教
第6回        (2):仏教説話集に見る死者の救済
第7回        (3):供養システムの深化と定着
第8回 『社会的宗教と他界的宗教のあいだ』(1):死者の位置付け
第9回                 (2):死者の幻影 
第10回                (3):公共宗教の観点から見た死者祭祀 
第11回 『神話と古代宗教』(1):祝祭の本質
第12回         (2):宗教的経験の二様式
第13回         (3):宗教的観念としての非存在
第14回 『慰霊の系譜』(1):近代国家と死者の「記憶」の問題
第15回       (2):戦後における罹災者に対する慰霊・追悼

<成績評価方法及び水準>
レポート(学期末に提出)80%、リアクションペーパー(毎回提出)20%で評価します。

<教科書>
教科書は使用しません。授業時にプリントを適宜配布します。

<参考書>
授業で一部分を講読する著書は以下の通りです。
フィリップ・アリエス、『死と歴史−西欧中世から現代へ』、みすず書房
カール・ケレーニイ、『神話と古代宗教』、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
池上良正、『死者の救済史−供養と憑依の宗教学』、角川書店(角川選書)
末木文美士、『日本仏教史−思想史とアプローチ』、新潮社(新潮文庫)
津城寛文、『社会的宗教と他界的宗教のあいだ−見え隠れする死者』、世界思想社
村上興匡・西村明[編]、『慰霊の系譜−死者を記憶する共同体』、森話社

<オフィスアワー>
水曜6限(授業の前後)


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