2014年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

線形代数学II(Linear Algebra II)[6602]

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2単位
片野 修一郎 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
前期の線形代数学Iをベースにして、行列を線形写像として捉え直す。その観点から、線形写像の様子をよりよく捉えるための道具である固有ベクトルの概念を学ぶ。具体的には、(1)1次独立・1次従属・1次関係式の概念を明快に理解し、基本変形を使ってそれらを判定できること(2)線形写像の具体例を知って、線形性の概念に可能な限り馴染む(3)固有値・固有ベクトルを求めて、行列の対角化ができること(4)計量の意義を理解し、正規直交基底を求めて対称行列を対角化できること(5)最小2乗法を用いて簡単な回帰分析を実行できること、を目標としたい。

<受講にあたっての前提条件>
何よりも前期線形代数学Iが理解できていること、これが絶対である。前期の内容が理解できていなければ後期IIはまず何もわからないと思ってよい。これははったりではない。

<具体的な到達目標>
  • 1次独立性や1次従属性の概念を理解し、具体的に与えられたベクトルについて判定できる。
  • 線形性とは何なのか理解し、具体的な線形写像の例を知る。
  • 行列の対角化および固有値・固有ベクトルの意味や意義を理解する。
  • 対角化を具体的に実行できる。
  • 内積の意味および直交行列の役割を理解し、計量空間の正規直交基底を求めて対称行列の対角化を実行できる。
  • 最小2乗法の考え方を理解し、具体的に回帰直線を求められる。

<授業計画及び準備学習>
1.数ベクトル空間の導入/1次独立と1次従属(1)/1次結合とその意味
  準備学習:高等学校の教科書のベクトルの部分を読んでおいて欲しい。
2.1次独立と1次従属(2)基本変形を使って判定する
  準備学習:前回の内容および前期の行基本変形について復習のこと(必須)。
3.基底と次元 小テスト
  準備学習:前回の授業および前期の行基本変形について復習のこと(必須)。プリントや手持ちの本の同様な
練習問題を解いておくこと。
4.線形写像としての行列/アフィン変換の具体例
  準備学習:前期にやった行列の演算の箇所を(理解に不安がある人は)復習しておくこと。
5.基底を変換することの意味・意義(斜交座標の意味)
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
6.基底の変換と線形写像の表現行列
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
7.固有値とその意味
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
8.固有値と固有ベクトルの計算(1)
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
9. 固有値と固有ベクトルの計算(2)続きと演習
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
10.行列の対角化(1)
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
11. 行列の対角化(2)続きと演習 小テスト
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
12. 内積
  準備学習:高等学校の教科書のベクトルの内積の箇所を読んでおくこと。
13. グラム-シュミットの正規直交化と直交行列およびその意味と性質 可能なら最小二乗法
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。ちなみに2013年度は、時間の切迫でGram-Scmmidtを略して、現実への面白い応用として、最小2乗法入門をやりました。
14. 対称行列の対角化(可能なら2次形式の標準化)
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。手持ちの本の同様な練習問題を解いておくこ   と。
15. 学習成果の確認(後期末試験)
  準備学習:後期のトピックスについて復習・整理せよ。特に対角化について十分に練習を積むこと。

<成績評価方法及び水準>
前期の線形代数学Iに同じ。

<教科書>
指定教科書なし。前期の線形代数学Iに同じ。

<参考書>
前期の線形代数学Iに同じ。
線形代数の教科書・参考書はたくさん出版されていますから、必要なら大書店(はす向かいのモード学園のタワーにありますね)を覗いて自分の好みの本を探してください。

<オフィスアワー>
前期の線形代数学Iに同じ。

<学生へのメッセージ>
声を大にして言わなければならないことは、前期の学習事項を後期ではすべて使うということ。便宜上、前期と後期で分けてあるが、通年の講義と思ってもらいたい。前期の内容が全く身についていなければ、当授業は受講しても無意味ということになる。すなわち、
(1)一般の連立方程式が行変形で自由自在に解けること。解が書き下せること。
(2)行列式の計算が確実にできること。
この二大眼目が両方とも身についていないと、後期最大の、したがって1年を通しての最大の目的である固有値問題に臨めないことになります。これは決して大げさな脅しではなく、(1)(2)のうちの片方でも理解ができていないと、固有値問題はまずほとんどわからないことになるでしょう。前期Iを受講せずに後期から受講する学生は特に注意してほしい(前期Iに相当する内容については独習してもらうことになります)。
また、特に言語論理についていけないと、最初の1次独立性のところでひっかかる可能性が高い。何をやっているのかさっぱりわからない、ということにならないように、明晰に理解するまで諦めないで考え続けることが必要である。抽象的で難しく感じるだろうが、頑張ってほしい。


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