2014年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科

ネットワーク応用論(k)[1265]

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2単位
武本 充治 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<授業のねらい>
 ネットワークは様々な機器を接続することで、新たな価値を生んでおり、現在の情報社会には不可欠なものである。我々は、日常生活において、様々なサービスをインターネットに接続されたパソコン・スマートフォンで享受している。しかしながら、これらのサービスがどのようなネットワーク技術・コンピュータ技術に支えられているかを理解できている人は少ない。

 本講義では、現在の情報社会を支えるネットワーク技術・コンピュータ技術を、それを活用したサービス例と合わせて、講義を行う。本講義を通して、受講生は情報社会に今後も次々と現れてくる新しいサービスを理解できるレベルの技術と活用方法を、それらの基本概念ともに、習得してもらいたい。

<受講にあたっての前提条件>
既習科目または並行履修科目は特に必須ではないが、ネットワーク基礎論を受講済みであること、もしくは、ネットワークを日常活用している意識があることが望ましい。

<具体的な到達目標>
 本講義の受講後には、受講生が現在利用しているネットワークサービスがどのように実現されているかを理解できるようになっていることを目標とする。
 また、新しいサービスが出現した場合に、その解説記事中の用語が理解できるスキル、もしくは、調べることができるスキルが身につくことを目標とする。

<授業計画及び準備学習>
以下の授業計画中の「」付の用語は、受講者の理解によっては、別の用語が適切になってくる場合もあるが、講義開始前には、世間で一般的に使われている用語を使っている。

1.ガイダンス:情報社会におけるネットワークの役割
・本講義の目的と進め方(14回の講義内容について、シラバスに準じて説明)、成績評価方法、参考図書、オフィスアワー等について説明する。また、アンケートを取って、受講者のこれまでの情報社会と各種サービスへの意識を測る。(これにより、2回目以降の講義の内容・レベルを変更することがある。ただし、講義の達成目標は変更しない予定である。)

・事前の準備:情報社会に生きている人間として、自分の周囲にあるサービスが何からできているかを調査(・できなければ想像)してくること。

2.インターネットの説明(講義全体にかかわる全体知識)
・内容:インターネットの歴史・基本概念と現在のインターネットの構成を解説する。

・予習:各受講生が「インターネット」から想像する物が何であるかを改めて考えてみること。
・復習:インターネットの基本概念と現在のインターネットの構成について理解すること。

3.インターネットで使われている基本的技術(ソフトウェアでの実装中心)
・内容:基本的な通信プロトコルについて解説する。

・予習:日常的に使っているサービスで稀に見ることのあるエラーを思い出しておく。エラーメッセージやその時の状況も含めてリストアップできればなおよい。
・復習:本講義で説明した最低限のプロトコル群を理解すること。

4.インターネットで使われている基本的技術(ハードウェアでの実装中心)
・内容:インターネット通信に使われるハードウェアについて解説する。

・予習:日常的に使っているサービスにおいて、どのようにデータが流れているのかを調べておく。
・復習:第3回講義内容と合わせて、プロトコルとハードウェアの例を理解すること。

5.日々使っているインターネットのサービスと実現している技術1
・内容:メイルの送受信を実現する技術について解説する。

・予習:メイルの送受信の時にスマホ・PCに表示されるメッセージの意味を調べてくること。
・復習:メイルに関するプロトコルを理解すること。

6.日々使っているインターネットのサービスと実現している技術2
・内容:「ホームページ」の閲覧の実現に関する技術について解説する。

・予習:「ホームページ」が閲覧できるまでの流れを調べてくること。
・復習:「ホームページ」閲覧を実現するために必要になっている技術を理解すること。

7.学習成果の確認(中間試験)
・目的:第1回から第6回までの講義で、基本的なサービスを一利用者として使う場合において知っておくべき技術の概要が理解できたはずなので、確認のための中間試験を行う。

8.日々使っている「インターネットのサービス」の構成(概論)
・内容:「インターネットのサービス」と言われているものの分類とその構成について、中間試験で理解したことを踏まえて、改めて解説する。

・予習:中間試験の問題を自分なりに調べて回答を作っておくこと。
・復習:「インターネットのサービス」の分類の理解すること。

9.日々使っている「インターネットのサービス」の例1
・内容:Blog、コミュニティサイトの実現方法を解説する。

・予習:Blog、コミュニティサイトについてどう実現されているか調べておくこと。
・復習:SNSの実現方法を理解すること。

10.日々使っている「インターネットのサービス」の例2
・内容:データベースと連動したサービスの実現方法を解説する。

・予習:データベースとは何かを調べてくること。
・復習:現在、利用可能なサービスの実現イメージが理解できること。

11. ネットワークに関する標準化活動
・内容:ネットワーク、特に、インターネットに関する標準化活動を解説する。

・予習:「標準化」の意味を調べてくること。
・復習:標準化活動の意義、種類、団体の種別について理解すること。

12.今後のインターネットの研究状況と実用化1
・内容:ユビキタスコンピューティング、ユビキタスネットワークの等について解説する。

・予習:ユビキタスコンピューティングについてWeb上でキーワードを「Mark Weiser」として調べておくこと。
・復習:ユビキタスコンピューティング、ユビキタスネットワークに関して様々な情報を理解すること。

13.今後のインターネットの研究状況と実用化2
・内容:BigDataやCloud等のニュース・新聞でも出てくるキーワードを中心にビジネス領域に近いところで活用されるインターネット関連技術を解説する。

・予習:BigDataが何を意味するのか調べてくること。また、講義9、10のサービスがどのように実現されているかを復習すること。
・復習:現在の「インターネット上のサービス」でのビジネスについて理解すること。

14.今後のインターネットの研究状況と実用化3とまとめ
・内容:接続方法に関する研究紹介とデータの取り扱いの研究について解説する。また、本講義のまとめを行う。

・予習:電話・メイルがつながらない状況を思い出すこと。Blogなどが炎上する理由を考えておくこと。
・復習:本講義で主に紹介したサービスだけではなく、基本的な通信だけについても様々な取り組みがあることを理解すること。

15.学習成果の確認(期末試験):中間試験は行っているが、中間試験前の内容についても、中間試験後の講義で理解が深まっている、もしくは、正しい理解になっているはずなので、全部の回についての内容を試験範囲とする。

なお、毎回の講義の開始時に、復習・予習(自主学習)をしてきた内容をレポート(形式自由)で任意提出することも可能である。アンケートとともに、講義内容に反映する。また、本レポートは成績評価にも考慮する。

<成績評価方法及び水準>
・毎回出席を取る。また、必要に応じて、講義中にアンケートを取るが、アンケート不提出は欠席扱いにする。出席が3分の2に満たない場合は、試験の成績に関わらず不合格とする。

・毎回の講義の開始時に、復習・予習(自主学習)をしてきた内容をレポート(形式自由)で任意提出することも可能である。ただし、既存情報の単なるコピー&ペーストは成績評価に加味しない。(既存情報を受講者自身で理解して記述することを推奨。)

・再試験、追試験は原則行わない。

・中間試験(40点)、期末試験(60点)の受験は必須である。受験においては、筆記用具以外の持込・使用は不可である。この結果に、自主学習の内容(任意のレポート)で上乗せ点(各回最大10点)を加味した上で成績を評価し、60点以上を合格とする。

・受講者の習得レベルは、既存・今後のサービスを理解できる技術レベルに達しているかどうかの観点で、各講義の段階(概念、基本技術、応用事例)毎に評価する。

<教科書>
・指定教科書なし

・必要に応じて、プリント・資料を配布する。

<参考書>
・事前の指定参考書なし。

・講義中に適宜紹介するが、特に中間試験後の事例を事前に調査したい場合は、以下のような網羅性のある文献を参照すること。

 例:インターネット白書編集委員会(編):インターネット白書2013−2014

<オフィスアワー>
・後期の期間、毎週月曜2限。

・質問は講義時間中または講義終了後。

<学生へのメッセージ>
ねらいや目標にも記載していますが、日常使っているサービス(これまでの生活で「サービス」と認識していないかも知れませんが)は、様々な技術によって実現されています。また、新しいサービスも次々と生まれていますが、基本的技術は全く新しいものが突然出現するわけではありません。情報社会で生きていく上でこれらのサービスは使い続けるので、最低限、どのように実現されているかを理解して頂きたいです。


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