2014年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科
○物理学I(Physics I)[3118]
2単位 栗原 良将 非常勤講師
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 自然科学の基礎である物理学の基本的な考え方と,その方法を学習する。物理学Iでは,力学を題材にして,基本法則とその応用を通して,自然への理解を深める。
具体的には、 (1)ニュートンの運動方程式が微分方程式として定式化され、適切な初期条件を与えることにより、任意の時間における位置と速度を求めることができることを理解する。また、種々の力について、簡単な応用問題を解くことができる。 (2)観測された運動から、ニュートンの運動方程式を通して運動を引き起こしている力についての情報が得られることを理解する。 (3)運動量・力学的エネルギーとその保存について理解する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 高校数学における、微分・積分及びベクトルの知識を持つこと。
具体的には、初等関数の微分・積分を習得していること。また、ベクトルの和と差、ベクトルの定数倍、ベクトルの内積の計算を習得していること。
- <具体的な到達目標>
- (1)力と初期条件が与えられたとき、運動方程式を解き運動を決定できる。具体的には、一様な重力、バネの力、及び抵抗力のもとでの質点の運動方程式を解ける。
(2)力学的エネルギーの保存を理解し、これを用いて質点の運動を理解できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. イントロダクション:物理学とは,どのような学問か。
古典物理学の方法について説明する。 ニュートン力学により、人類の自然の見方がどの様に変わったか。 準備学習:高校の物理学の過程のうち、力学に関する部分について復習を行うこと。
2. 数学の準備(1)微分・積分の復習 速度、加速度等、微分を用いて定義される物理量について、直観的に把握する。 初等関数の微分・積分の復習を行う。 準備学習:高校の数学の微分・積分について復習を行うこと。 この講義では、初等関数の微積分の知識を仮定する。
3.質点とモデル、及び運動の法則 ニュートンの三法則を説明する。第2法則で示される運動方程式は、微分方程式となることを理解する。 準備学習:ニュートンの運動法則、慣性の法則について学習しておくこと。
4.運動方程式の解:一定の大きさの力(1次元、2次元) 一定の重力中の質点の運動方程式を、いくつかの初期条件のもとに解く。 準備学習:初等関数の積分を理解しておくこと。
5.運動方程式の解:抵抗力 一定重力以外に、速度に比例した抵抗力が働く場合の運動方程式の解を求める。運動方程式の解の振舞を、定性的に説明する。 準備学習:指数関数の微積分について理解しておくこと。
6.運動方程式の解:単振動、減衰振動 距離に比例した力(バネの力)が働いている場合の運動方程式の解を求める。さらに、抵抗力が加わった場合の、減衰振動の解を求める。 準備学習:三角関数の微積分について理解しておくこと。複素数について、基本的なことを学習しておくこと。
7.運動方程式の解:強制振動 バネの力が働いている質点に、外から周期的な力を加えて起きる振動を強制振動と呼ぶ。強制振動の運動方程式を解き、その振舞を説明する。さらに、共鳴と呼ばれる現象について説明する。 準備学習:前回の、単振動についてよく復習しておくこと。
8.ここまでの学習の確認(小テスト) 準備学習:前回までに学んだことを、よく復習しておく。
9.等速円運動を引き起こす力 ここでは、「等速円運動」という運動を観したときに、その質点に働いている力の性質を考察する。等速円運動は、向心力により引き起こされることを説明する。 準備学習:ケプラーの法則について調べておくこと。
10.運動と座標系 運動法則は、全ての慣性系において同一であるが、加速度運動する座標系では、見かけ上の力(慣性力)が発生する。回転座標系における慣性力について説明する。 準備学習:遠心力と向心力に違いについて、理解するように勤めること。
11.力学の保存量(1):仕事とエネルギー 物理学において、エネルギーは基本的な概念である。力学におけるエネルギー(運動エネルギーと位置エネルギー)について、説明する。 準備学習:ベクトルの内積について復習しておくこと。
12.力学の保存量(2):力学的エネルギーとその保存則 前回に学習した力学的エネルギーの和が保存すことを、具体的な運動を例にとって説明する。 準備学習:重力中での質点の落下と単振動について復習しておくこと。
13.力学の保存量(3):運動量と角運動量 エネルギー以外の保存量として、運動量と角運動量がある。これらの定義と具体的な例について説明する。回転を伴う運動(アイススケートのスピン等)と、角運動量の保存がどの様に関連しているかを説明する。 準備学習:ベクトル外積について復習しておくこと。
14.特論 現代の物理学から、トピックを選んで解説する。 準備学習:前回までの講義で理解できない部分があればまとめておいて、講師に質問できるように準備すること。
15.学習成果の確認(試験) 学習の達成度を、筆記試験により確認する。 準備学習:全講義を通して説明された概念を理解し、応用問題を解けるように準備すること。
- <成績評価方法及び水準>
- 試験(70%)、授業中の発言(講師への質問や、講師からの質問の回答)による点(15%)、出席点(15%)。
力と初期条件が与えられたとき、運動方程式を解き運動を決定できる。具体的には、一様な重力、バネの力、及び抵抗力のもとでの質点の運動方程式を解けることを、筆記試験により評価する。力と初期条件を問題文より読み取り、運動方程式を立て、これを解くことにより運動を決定する。試験では、途中経過を説明する。結果のみ記載された答案は採点の対象とならない。 力学的エネルギーの保存を理解し、これを用いて質点の運動を理解できることを、必死試験により評価する。
- <教科書>
- 「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔著。(培風館)。
- <参考書>
- 最近は、分かりやすい物理の教科書が多数出版されています。その中から、自分に合うものを見つけて、参考にしてください。
特に書名は指定しません。
- <オフィスアワー>
- 質問等のある学生は、水曜日の12時30分までに新宿校舎12階の講師控え室に来てください。
- <学生へのメッセージ>
- ニュートン力学を理解するためには、微分・積分の基本的な知識が不可欠です。微積分の復習を十分にしておいてください。
質問は大歓迎です。どんなに初歩的な質問でもよいので、積極的に発言してください。
- <備 考>
- 水曜日以外の日に連絡を取りたい学生は以下のアドレスにE-mailを出してください。
yoshimasa.kurihara@kek.jp
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2014 Kogakuin University. All Rights Reserved. |
|