2014年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

流体力学II(Fluid Mechanics II)[3465]

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2単位
佐藤 光太郎 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
航空機,船舶から気象予測や野球ボールの運動まで流体力学が取り扱う分野は多岐多様である.また,一見,流体とは全く無関係に見える工業製品であってもその生産工程では流体力学の恩恵を受けている場合も多い.ここでは機械工学の立場から重要であると思われる内容を中心に,できる限り具体例を紹介しながら授業を展開する.また物理,工業力学等で学習した質点の力学と流体の力学との関係,考え方の同異について考察するよう履修期間中常に求めていく.以下に具体的な達成目標を示す.(1) ナビエーストークスの運動方程式の物理的意味を理解すること.(2)保存則の意味を理解し,使用できること.(3)機械工学で重要とされる基本的な流体諸現象についての概略を理解し,詳細については専門書を参考にしながら考察できること.
(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」
(C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎
JABEE基準1の(1)の知識・能力:(d)の(1):◎

<受講にあたっての前提条件>
流体力学1並びに数学,物理,力学系の科目を既習あるいは並行履修していること.特に数学1,数学演習1で勉強するテイラー展開について理解しておくこと.本授業では必ず手書きのノートを作成すること.

<具体的な到達目標>
機械技術者として必要な流体力学の基礎的知識を身につける.初歩的なポテンシャル流れの計算ができること,粘性流体の支配方程式を知り,レイノルズ数の物理的な意味を理解すること,クエット流れ・ハーゲン−ポアズユ流れなど代表的な粘性流体の速度分布などが計算できること,層流と乱流の区別がつくこと,境界層厚さという考え方を理解すること.

<授業計画及び準備学習>
毎時間,授業終了後は必ず学習内容を復習しながらノート整理をすること.
1.[運動量保存則]運動量方程式の応用例を紹介する.
2.[流関数と速度ポテンシャル]流関数と速度ポテンシャルの定義について学ぶ.
3.[ポテンシャル流れ1]複素関数で表わされる基本的流れ(一様流,角を回る流れ)について学ぶ.
4.[ポテンシャル流れ2]複素関数で表わされる基本的流れ(渦糸,湧出し,二重湧出し)について学ぶ.
5.[物体周りの流れと流体力]円柱,翼周りの流れについて学ぶ.このとき物体にかかる流体力の計算方法について解説する.また,カルマン渦とストローハル数,についても触れる.
6.[自由表面をもつ流れ]微小振幅波について学ぶ.また,スロッシングと事故例についても紹介する.
7.[粘性流体の基礎方程式]ナビエーストークスの方程式について学ぶ.
8.[レイノルズ数およびレイノルズの相似則]レイノルズ数およびレイノルズの相似則について学ぶ.
9.[ナビエーストークス方程式の厳密解]代表的な粘性流れの例(クエット流れ,ハーゲン−ポアズユ流れ)について学ぶ.
10.[低いレイノルズ数域の流れ]ストークス近似・オセーン近似について学ぶ.
11.[境界層方程式]境界層の概念と境界層方程式について学ぶ.
12.[乱流]乱流とは何かを考え,乱流の観察例を紹介する.
13.[数値流体力学]代表的な数値解析法を紹介する.
14.[流体力学の応用例]最新の流体機械などでの応用例を紹介する.
15.[流体力学演習]演習問題を解くことにより流体力学の理解を深める.
授業中に行った演習および宿題は必要に応じて提出してもらうが,その際には必ずノートに提出内容を記述しておくこと.記録を整理する能力は理系の研究者・技術者にとっては重要な能力のひとつであることから,本授業ではノート作成を重視する.ノートは授業内で演習・宿題解説時の自己採点にも使用する.提出物の原本を確認したい場合には個別に対応する.また,定期試験をノート持ち込み可にした場合にはノート提出を求める場合がある.

<成績評価方法及び水準>
原則として定期試験で最終成績を評価,60点以上の者に単位を認める.ただし,試験の点数が僅かに60点に届かない場合でも出席状況が良好で,例えば授業内での演習問題・宿題の提出状況など,普段の学習状況を総合的に判断し,一定基準以上と認めた者にはレポート提出を認め,レポート内容により再試験を実施する場合がある.本科目では授業の出席確認はカードリーダーで行なう.
「国際工学プログラム」の学習・教育目標(C)は、本科目およびこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
「流体力学」日野幹雄著(朝倉書店)
「Fluid Flow」R.H. Sabersky A.J. Acosta E.G. Hauptmann and E.M. Gates(Prentice Hall)
「流体の力学」中山泰喜著(養賢堂)

<オフィスアワー>
水曜日:八王子11号館365号室 16:30−17:00
金曜日:八王子11号館365号室 12:30−13:00

<学生へのメッセージ>
1年次に学習した数学,物理,工業力学の復習を期待する.流体力学の理解が困難な場合には,もう一度,質点の力学の勉強に立ち返ること.

<備 考>
メールでの試験結果・成績に関する問い合わせには応じません.


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