2014年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

物理学II(Physics II)[2222]

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2単位
進藤 哲央 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<授業のねらい>
グローバルエンジニアリング学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を学ぶ。
物理学IIでは物理学Iの内容を受けて熱力学、電気と磁気、線形回路の扱いを学ぶ。
なお電磁気分野については,物理学IIでは電気現象,磁気現象の理解を主とし,マクスウェル方程式を構成する積分形の基礎法則や電磁波については物理学IIIで扱う。
高校での物理学未習者がいることも考慮して基礎的なレベルから学んでいく。この科目は「物理学演習II」と対をなすもので,講義と演習が連携しながら進行する。講義では基本的な概念や定理を学習し,演習で実際に手を動かして問題を解くことにより理解を定着させる。

(修得後の展開)
本科目で修得した内容は,「物理学演習II」「物理学III」「物理学演習III」,および,物理学の知識を基礎として要求する各専門科目の履修に役立つ。

<受講にあたっての前提条件>
本科目を履修する前に「物理学I」,「物理学演習I」などにより,基礎的な物理学の考え方,特に力学に関する考え方と方法を修得しておくこと。

<具体的な到達目標>
以下の項目を習得することを目標とする。
(1)熱力学に現れる物理量(絶対温度、物質量、比熱、内部エネルギー、エントロピー等)の意味を理解すること。
(2)理想気体の状態方程式を利用して、気体の状態変化が扱えること。
(3)熱力学の第1、第2法則の意味を理解し、具体的な系に適用できること。
(4)電荷の間に働く力,それを記述する電場の考えを理解する。さらに,電位,電流,電気容量などについて学ぶ。
(5)磁気的な力と,それを記述する磁場の考え方を理解し,さらに,電流が作る磁場について学ぶ。
(6)オームの法則、キルヒホッフの法則を理解し、簡単な線形回路の解析ができること。

(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」
(C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎
JABEE基準1の(1)の知識・能力:(c)(d)の(1):◎

<授業計画及び準備学習>
1. 熱力学(1)。温度と物質量。熱,熱容量,比熱。気体の状態方程式。
SI単位系の一部である,ケルビンとモルの定義を学ぶ。理想気体の状態方程式を
学んでその応用を理解する。
準備学習 教科書8.1-8.2.1節を予習する。
2. 熱力学(2)。気体の状態方程式(つづき)。気体分子運動論。
状態方程式を復習し,状態量のダイアグラムによる状態変化の表示,気体のなす
仕事について学ぶ。分子運動論による状態方程式の導出を行い,
次回の内部エネルギーの理解へつなげる。
準備学習 配布された復習用の課題No.1を解いて提出する。
教科書8.2節を予習する。
3. 熱力学(3)。熱力学第1法則。気体の状態変化(1)。
内部エネルギーの概念について学ぶ。仕事と熱はわかりやすい概念であるが状態量ではないことに注意して,第1法則を説明する。気体の定積,定圧変化を扱う。
準備学習 配布された復習用の課題No.2を解いて提出する。
教科書8.3-8.4.1節を予習する。
4. 熱力学(4)。熱力学第1法則。気体の状態変化(2)。気体の比熱。
前回に引き続き,気体の等温,断熱変化を扱う。マイヤーの関係式を導く。気体の比熱と内部自由度の関係を調べる。
準備学習 配布された復習用の課題No.3を解いて提出する。
教科書8.4節を予習する。
5. 熱力学(5)。熱力学第2法則。熱機関。効率。
熱機関の考え方を学ぶ。第2法則の各種の表現(効率,トムソン,クラウジウス)の意味と相互の論理的関係を議論する。カルノーサイクル等の具体的なサイクルの効率
を調べる。
準備学習 配布された復習用の課題No.4を解いて提出する。
教科書8.5節を予習する。
6. 熱力学(6)。エントロピー。
エントロピーの概念の意義を理解し,簡単な状態変化についてよりエントロピーが計算方法を学ぶ。。エントロピーの増大の原理を理解する。
準備学習 配布された復習用の課題No.5を解いて提出する。
教科書8.6節を予習する。
7.熱力学のまとめ。物質の諸相。
準備学習 配布された復習用の課題No.6を解いて提出する。
教科書8章を全般的に復習しておく。
8. 電磁気(1)。電荷,クーロンの法則,電場。
電荷の間に働く力について学び,それから,電場の概念を導く。電場のベクトル的な重ねあわせを理解する。さらに,電束密度,電束,真空の誘電率を学ぶ。
準備学習 教科書9.1-9.2節を予習する。

9. 電磁気(2)。電場と電位。電流と電位差,電気的な仕事。
電場と電位の関係,電気的な力によりなされる仕事について学ぶ。
準備学習 配布された復習用の課題No.7を解いて提出する。
教科書9.5節を予習する。
10. 電磁気(3)。コンデンサー,電気容量,場のエネルギー。
平行平板コンデンサーを例として,電気容量の考え方を理解する。さらに電気的なエネルギーの記述と電場の関係を理解する。
準備学習 配布された復習用の課題No.8を解いて提出する。
教科書9.6節を予習する。
11. 電磁気(4)。磁石と磁荷。磁場。
磁場の考え方を電場にならって導入する。磁気クーロンの法則や,磁石が作る磁場がどのようなものであるかを学び,磁力線,磁束密度,磁束などについて理解する。
準備学習 配布された復習用の課題No.9を解いて提出する。
教科書9.7節を予習する。
12. 電磁気(5)。電流の作る磁場。ビオサバールの法則。
電流の作る磁場のイメージを把握し,具体的には直線電流,円電流,ソレノイドの磁場について学ぶ。また,ビオサバールの法則を用いた磁場の計算について学ぶ。
準備学習 配布された復習用の課題No.10を解いて提出する。
教科書9.8節を予習する。
13. 電気回路(1)。電流。オームの法則。キルヒホッフの法則。直流回路。
オームの法則,キルヒホッフの法則,線形回路素子,回路図の読み方について学ぶ。抵抗の直列,並列の合成則を学ぶ。簡単な回路の解析が出来るようにする。
準備学習 配布された復習用の課題No.11を解いて提出する。
教科書9.15.1節を予習する。
14. 電気回路(2)。交流回路。インピーダンス。
交流の扱い。電力,複素抵抗,インピーダンスと位相のずれなどについてRLC回路などを例として学ぶ。
準備学習 配布された復習用の課題No.12を解いて提出する。
教科書9.15.2節を予習する。
15.学習成果の確認(期末試験)
準備学習 前回までの総復習を行うこと

<成績評価方法及び水準>
成績評価=A+Bとし,その値が60点以上の者に単位を認める。
A=期末試験の評価点(70点満点),B=予習・復習課題,授業中の課題に対する評価点(30点満点)。
「国際工学プログラム」の学習・教育目標(C)は、本科目およびこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される。

<教科書>
「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔(培風館)
授業中に適宜プリント資料を配布する。

<参考書>
教科書選びの参考として、いくつかの本をリストしておく.
『一般物理学 上・下』太田信義 (パリティ物理学コース) 上記の本と同じく,物理の基礎的な分野について簡潔にまとめられている.
『物理入門コース 電磁気学 I, II』長岡洋介 (岩波書店) きわめて標準的な電磁気学の教科書.
『電磁気学の基礎 I,II』太田浩一(シュプリンガー) しっかり書かれた電磁気学の教科書.
『よくわかる電磁気学』前野昌弘 (東京図書) 初心者向に非常に丁寧にかかれていて,しかも面白い教科書.
『物理入門コース 熱・統計力学』戸田盛和(岩波書店) きわめて標準的な熱力学の教科書(前半).
『なっとくする熱力学』都筑卓司 (講談社)標準的なトピックを網羅した熱力学の教科書.
『熱力学 ー現代的な視点から』田崎晴明 (培風館) ちょっとレベルは高いが大変面白い教科書.
『図解・わかる電子回路』加藤肇, 見城尚志, 高橋久 (ブルーバックス) 電子回路について,よくまとまっている本.

<オフィスアワー>
火曜日 12:40-13:30
八王子校舎 総合教育棟 1S-323(もしくは1W-332)

メールによる質問は随時受けつけています。
また,オフィスアワー以外の時間帯で質問・相談などがある場合はあらかじめメールでアポイントメントをとってもらうと,確実性が増すと思います。

<学生へのメッセージ>
理系の学問では,自分で手を動かして問題を解いたり,教科書に載っている式を自分で変形して公式を導出したりすることが,内容の理解を助ける重要な要素になります。講義時間は限られているため,講義のみではこれら基礎訓練のための時間が十分にとれません。これらを補うために,参考書等にのっている問題を自分で考えて解く等,自習することが大切です。
授業時間だけで,全てを理解することは不可能であると思っておいてください。


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