2014年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

権利と法(Law and Fundamental Human Rights)[1107]

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2単位
井上 知樹 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
 日本国憲法が規定する人権条項の学習を通じて、歴史感覚と時代感覚の練磨、個人尊重の価値観の練成、人権感覚の涵養、及び、自己の生の主体的な構想者として非社交的且つ社交的な個人の確立を目指したい。併せて、その前提として文章の読解力・表現力の鍛錬を図りたい。

<受講にあたっての前提条件>
期中に数回課す課題を通じて読書に親しみ、読書を通じて知見を広げ、その知見を文章化して自己の見解を述べる能力、端的に言って国語力が全ての前提条件である。したがって、読書に親しみたくない学生にとっては苦痛以外の何ものでもないので、受講を控えた方が良い。教師になろうとする者にとって読書をしない者は、実質的に教師の資質を欠くであろう。

<具体的な到達目標>
上述のように、国語力を鍛錬することを基本として、それを通じで、現代日本社会に瀰漫する権利問題に関する知見を広め、自己の権利、他者の権利共にセンシティブな人間の育成を目指したい。

<授業計画及び準備学習>
第1回 ガイダンス・オリエンテーション(大学における勉強とは?)
第2回 法とは何か?
第3回 権利とは何か?・自由とは何か?(第一回目の課題)
第4回 人間とは何か?
第5回 人権総論(12条・13条・14条)
第6回 自由からの逃走・権利の上に眠る者
第7回 自分のことは自分で決める(18条・31条以下)(第二回目の課題)
第8回 自分のことは自分で決める(19条・20条・21条・23条)
第9回 自分のことは自分で決める(22条・29条)(第三回目の課題)
第10回 自分「たち」のことは自分「たち」で決める(20条・21条・23条・24条・28条)
第11回 自分のことを他人が決めないように(もう一度自分のことは自分で決めるために)
第12回 社会権(25条・26条・28条)・新しい人権(13条・21条・25条)
第13回 新自由主義と新保守主義
第14回 人権論から見た「この国のかたち」
第15回 まとめ・総括

<成績評価方法及び水準>
 授業への出席を単位認定のための前提とし、期末に実施される筆記試験を基準にして(70%)、期中に数回課されるレポートを加味し(30%)、以上を総合的に勘案して60点以上の者に単位を認める。委細については期首の授業時に説明するので、必ず出席すること。課題未提出、不十分な出来、誤字脱字の甚だしいもの、修学態度劣等な課題は減点の対象とし、読解力や文章能力に優れたものには、他との均衡を著しく失しない程度で加点対象とする。

<教科書>
特に指定することはせず、期中に数回課されるレポート時に参考文献を配布する。

<参考書>
特に指定することはせず、期中に数回課されるレポート時に参考文献を配布する。

<オフィスアワー>
授業の開始前又は終了後に、講師控室にて。

<学生へのメッセージ>
 科学や情報の発達した現在においては、唯一絶対的な価値の根源としての「神」は死んでしまって、全てが相対的で各自の自由です。だからと言って、就職したら連休とって海外旅行へ…の繰返しの人生でつまらなくないですか。或いは、休みのたびに飲む(酒)・打つ(賭け事)・買う(風俗)という欲望剥き出しの挙句、借金漬けに陥る大人になりたいですか。自分が信じ自分が追求するものは自分で探さなくてはなりません。だからと言って、バモイドオキ神(酒鬼薔薇聖斗)やシヴァ神(オウム)を信じるのが善いことなのでしょうか。しかし、自分で探し出すのが面倒だからと言って、会社のためにひたすら滅私奉公で談合や贈賄・利益供与・粉飾決算までして会社を守った挙句、遂には逮捕されるようなサラリーマンになりたいですか。
 「個」からものを考えるという視点に立って日本国「憲法」を理解することを通じて、「個人」の「自由」・「人権」の意義、その影・毒・鬼子の側面を認識しながらも、それでも「個人」・「自由」・「人権」にこだわるためにはどうすべきか試論を提示しつつ、諸君にも悩んでもらいたいと思います。「個人」・「人権」・「自由」について大いに悩み、友人と議論してみて下さい。決して答は出なくても、絶えず影のように我々に付き纏うストーカーのような問題です。

<備 考>
私語甚だしき者に対しては、学校教育法に基づく懲戒処分を行うこともあり得る。


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