2014年度工学院大学 第1部電気システム工学科

交通システム(Transportation Systems)[1E10]

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2単位
高木  亮 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
 電気エネルギーを走行のために用いる「電気利用交通」は,これまで電気鉄道が実用的なものとしてはほぼ唯一の例だったが,近年の技術開発によってこの状況に急速に変化が生じつつある。電気鉄道自身も,新幹線や都市鉄道を始めとしてさまざまな技術的展開をみせている。この科目では,大規模システムの典型例のひとつである電気鉄道を中心に据えつつ,「電気利用交通」の展開について基礎的な知識を得ることを目的とする。
 具体的には,電気利用交通がそれ以外と比べて利点があるとされる重要な側面,すなわち「省エネルギー性」と「大容量」の2点について,詳細に議論を行う。

<受講にあたっての前提条件>
 電気回路および電気機器についての知識は十分にあることを前提に講義する。

<具体的な到達目標>
「授業のねらい」を参照されたい。

<授業計画及び準備学習>
1. この講義の狙い
2. 交通とエネルギー(1)
 エネルギーとは
 社会におけるエネルギーの使われ方
 交通機関のエネルギー消費の計算方法
3. 交通とエネルギー(2)
 エネルギー消費の比較方法と問題点
  well-to-wheel 効率 ライフサイクル評価
 鉄道は本当に環境に優しい?
  最新のいわゆるエコカーや航空機との比較
4. 交通とエネルギー(3)
 電気駆動の加速の仕組み
  世界最初の電気鉄道 直流電気車
  抵抗制御 組合せ制御 界磁制御
5. 交通とエネルギー(4)
 電気車両の加速の仕組み (cont'd.)
  直流電気車つづき チョッパ
  交流電気車
 ブレーキの仕組み
  機械ブレーキと電気ブレーキ
6. 交通とエネルギー(5)
 ブレーキの仕組み(cont'd.)
  発電ブレーキ,渦電流ブレーキ,電力回生ブレーキ
7. 交通とエネルギー(6)
 電力供給の方法
  電気鉄道(摺動集電) バッテリ エンジン等
  ハイブリッド…複数電源の組合せ
8. 交通とエネルギー(7)
 電力供給の方法 (cont'd.)
  電気鉄道の歴史的展開
直流電化:一般的議論
9. 交通とエネルギー(8)
 電力供給の方法 (cont'd.)
  直流電化(cont'd.):電力回生車と回生失効
  交流電化
  「鉄道スマートグリッド」
10. 交通とエネルギー(9)
 比較論ふたたび
  新しい技術の展開
  走り方とエネルギー 鉄道版エコドライブ
11. 交通システムの輸送力 (1)
 輸送力の重要性
  超高層ビルとエレベータ,エスカレータ
  大都市と交通システム
 輸送力の計算方法
12. 交通システムの輸送力 (2)
 交通システムと輸送力
  道路の輸送能力
  航空機の輸送能力
  鉄道の輸送能力:通常の通勤鉄道
  山手線の車両を全部つなげたら?
13. 交通システムの輸送力 (3)
 鉄道の信号システム
14. 交通システムの輸送力 (4)
 鉄道の運行計画
15. 学習成果の確認(試験)

準備学習:
 予習は特に必要なし。
 復習は講義時に配布された資料等を読み込み,関連資料等を可能な限り幅広くあたること。練習問題等があれば自分で手を動かし解いてみること。

<成績評価方法及び水準>
 期末試験により行う予定。出席を確認し,出席回数がある値を下回った学生については単位を認めないことがある。

<教科書>
 なし。適宜プリント等を配布する。

<参考書>
「最新 電気鉄道工学 (改訂版)」,コロナ社 (2012). ISBN 978-4339008333

<オフィスアワー>
担当者は本講義以外にも前期に担当している講義等のコマ数がきわめて多く,定期的なオフィスアワーを確保することは難しい。短い質問は講義終了直後に。時間が必要な場合,事前に電子メール takagi at cc.kogakuin.ac.jp (注: at を @ に置き換えて全体をつなげるとメールアドレスになる)で相談の日時や場所を約束してほしい。

<学生へのメッセージ>
所属学科等の枠を超え,交通システムに関心がある学生に幅広く興味を持っていただけるような内容となるように考えていますが,学部講義ということもあり内容を見直し,内容を絞り込むとともに多少「お勉強」的な中身を増やしてみました。
電気システム工学科としては,「電気機器」と「パワーエレクトロニクス」をつなぎ,典型的応用事例のひとつとしての電気利用交通を学ぶ講義という位置づけがあり,また「電気システムデザイン」でその入口を学ぶシステム工学的な知識への橋渡しという意味合いもあります。科目選択の際の参考にしてみて下さい。


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