2014年度工学院大学 第1部電気システム工学科
○数学II(Mathematics II)[3421]
2単位 長谷川 研二 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | ○ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 数学Iの微分積分は1変数関数を対象としているが、本科目では積分の続きの広義積分と変数が2つの2変数関数の微分積分である偏微分と重積分を習得させる。2変数関数のグラフは曲面であり、イメージがつかみにくいが近年のコンピュータの発達によって曲面の作成が容易になったので、理解を促すために授業時に図を見せながら講義を進める。計算については数学Iで身につけた方法がそのまま適用できる。本科目のねらいは以下の通りである。
- 曲面の接平面より偏微分の意味を理解し、2変数関数の極値や陰関数への応用力を身につける。
- 重積分が境界面が曲がっている立体図形の体積であることを理解し、数学Iで習った不定積分を駆使して重積分の計算ができる。
- <受講にあたっての前提条件>
- 数学Iで習った導関数や不定積分の計算方法を復習しておく。
- <具体的な到達目標>
- 積分と極限により広義積分の計算ができる。
- 偏導関数の計算ができる。
- 2変数関数、陰関数の極値が計算できる。
- 累次積分で重積分の計算ができる。
- 極座標に変換して重積分の計算ができる。
- <授業計画及び準備学習>
- 発散点をもつ関数の広義積分:
積分区間において関数が発散する点があれば、発散点を含む区間を除いた積分を計算して、除いた区間を小さくしたときの極限である広義積分を解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:プリントは事前に配布できないので数学Iの復習をしておく。
- 無限区間上の広義積分:
積分区間が無限な場合は有限区間の定積分の極限として計算する広義積分を解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:プリントを読んでおく。
- 2変数関数のグラフと接平面:
2変数関数のグラフである曲面を見せながら講義をする。グラフの接平面の方程式の係数が偏微分係数であることを理解させる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 偏微分係数と偏導関数:
接平面の接点の座標を変数とすれば偏微分係数は偏導関数になるが、数学Iで習った導関数の公式を利用して偏導関数を計算させる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 高階偏導関数:
偏微分を繰り返すと、高階の偏導関数を得るが、応用範囲が広い2階の偏導関数を計算させる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- ヘッシアンと2変数関数の極値:
2変数関数の極値の計算は偏微分の応用の1つであるが、1変数関数のような増減表は作れない。その代わりに2階偏微分から定義されるヘッシアンで極値を判定する方法を身につけさせる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 陰関数の導関数と極値:
陰関数の導関数を偏導関数で表すことを利用して、極値を計算させる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 2変数関数の条件付き極値:
2つの変数が平面上の座標になるときの極値をラグランジュの乗数法で計算する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 領域の分割と重積分の定義:
2変数関数の積分は平面の領域の上でなされるが、領域を分割して2変数関数の定積分である重積分の定義の方法を解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 累次積分1:
重積分を定義しても直ちに積分値の計算はできず、1変数の積分を繰り返す累次積分を使う。そのとき数学Iで習った不定積分の計算が必要である。先ずは領域が長方形の場合で計算する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 累次積分2:
平面の領域の形状は多様である。境界が曲線になる長方形でない領域における累次積分の公式を使い、一般的な領域上の重積分を計算する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 変数変換とヤコビアン:
1変数関数の置換積分のように重積分でも変数を変換して積分するときに関数にヤコビアンを掛る。ヤコビアンの必要性を解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 極座標変換:
平面の変数変換で頻繁に使われる極座標変換で重積分を計算する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 広義重積分:
無限領域上の重積分は有限領域の重積分の極限で計算するので広義重積分といわれる。この重積分により統計学で重要な広義積分であるガウス積分の値が求まることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(次回は試験なので、試験前のオフィスアワーで希望者に返却) 準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
- 学習成果の確認(試験)
準備学習:配布されたプリントを復習する。特に問題については再度解いてみる。
- <成績評価方法及び水準>
- 定期試験をx点(100点満点)として、評点を (ax)b とする。ただし a,b は (100a)b =100 で、合格基準点x0 に対して(ax0)b =60となるように定める。合格基準点は60点以下で各受講生毎に定めるとして、授業中に解かせた問題の解答状況による平常点が高いほど合格基準点は低くなる。平常点が最高であれば基準点は40点前後である。授業に出席せず答案用紙を提出しなくても定期試験で60点以上得点すれば合格となる。
- <教科書>
- 指定教科書なし
- プリントを授業で配布したり、予習のためにキューポートにPDFファイルを事前にアップロードする。
- <参考書>
- 数学Iで紹介したものに以下を追加する。
- 基礎と応用 微分積分II 金子 晃 著 サイエンス社
微分積分Iの続編で内容は偏微分、重積分が中心である。
- <オフィスアワー>
- 水曜日5時限(八王子校舎01E−313数学研究室)
授業の直後は講師室にいることが多い。
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