2014年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科
○化学技術者の倫理(Ethics for Chemical Engineers)[5D03]
2単位 中村 昌允 非常勤講師
- <授業のねらい>
- <授業の狙い>
化学産業は研究要素の強い産業である。 科学技術者の役割は、(1)新規技術の創造、(2)新規開発技術の実用化 (3)開発成果が社会に危害をもたらさないことである。そのためには、技術者としてどのような心構えが必要かを理解する。 技術者は組織に属しているため、組織の方針や契約に縛られる。時には「技術者としてのジレンマ」を感じる。 その際に、どのように行動するかを、実際の事例を通して考え、理解する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 1.実社会で起きている事故や事件における技術者の行動に関心を持っている。
2.新しい技術開発意欲を持っている。
- <具体的な到達目標>
- (1)科学技術者が担っている社会的責任を自覚し、「技術者倫理」の基礎的考え方を説明できる。
(2)行動の規範である「公衆の安全、福利、健康を最優先する」を理解する。 (3)技術者としての判断基準を身に付け、説明できる。
- <授業計画及び準備学習>
- <授業計画及び準備事項>
#1 技術者倫理とは何か/技術者倫理の基本的考え方 #2 ケーススタディ (1)バイト先で有害廃液を捨てるよう命じられた。 (2)おもわしくないデータがある。どうするか? #3 プロフェッショナルな技術者―1 経営者と技術者 (チャレンジャー号の爆発 ) #4 プロフェッショナルな技術者―2 経営者と技術者 (小型化洗剤の事業化、シティコープビル強度補強) #5 プロフェッショナルな技術者―3 設計技術者の責任 (自動車リコール事件/自動回転ドア/笹子トンネル事故) #6 プロフェッショナルな技術者―4 危機管理 (集団食中毒事件、タイレノール事件) #7 プロフェッショナルな技術者―5 事故とヒューマンエラー (JR福知山線脱線事故) #8 プロフェッショナルな技術者―6 製品事故と製造物責任法 (カビ取り剤、シュレッダー、不二家 他) #9 プロフェッショナルな技術者―7 技術者のジレンマ/内部告発 #10 プロフェッショナルな技術者―8 どこまで安全を求めるか? #11 原発事故と科学技術者の責任−1 事故から学ぶリスクマネジメント #12 原発事故と科学技術者の責任−2 説明責任(1) #13 原発事故と科学技術者の責任−3 説明責任(2) #14 日本の国際競争力とMOT #15 期待される技術者 (1)技術者の行動規範 (2)研究者・技術者となるために
- <成績評価方法及び水準>
- 講義の出席が7割以上のものを成績評価する。
評価は、毎回小レポート(5割)、期末レポート(5割) 毎回の小レポートは、講義終了前の10分間で記載する。
- <教科書>
- 中村昌允:「技術者倫理とリスクマネジメント」、オーム社、(2012年)
- <参考書>
- 中村昌允:「製造現場の事故を防ぐ安全工学の考え方と実践」、オーム社 (2013年)
科学倫理検討委員会:「科学を志す人びとへ」不正を起こさないために 化学同人(2007年) 社団法人日本技術士会 訳編「第3版 科学技術者の倫理 その考え方と応用」(丸善)
- <オフィスアワー>
- 19F 化学系事務室 講義の前後
- <学生へのメッセージ>
- ・第1回講義から出席すること(第1回はガイダンスではない!)
・講義では、科学技術者が遭遇した実際の事例を数多く取り上げ、それぞれの局面で、どのように判断し、行動すべきかを一緒に考えてみたい。学生が実社会で遭遇することを紙上で理解するのは難しいが、実際の事例を当事者の気持ちになって考えること、すなわち事例を「仮想体験」することによって自ら考えることができ、それぞれの判断力や行動基準を磨くことができる。
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