2014年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科

物理化学実験(Physical Chemistry Laboratory)[5257]

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2単位
桑折  仁 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
赤松 憲樹 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
田中 理子 非常勤講師  
内田 雅樹 講師  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<授業のねらい>
 化学では、物質の状態やその変化を知ることが重要である。しかし物質の状態や変化は目で見てすぐ分かるという訳にはいかない場合が多い。そこで、反応前後の状態から、どのような変化がおきたかを知ることが必要となる。
 実験に現れる現象は、生の自然現象そのものではない。実験装置という人為的な枠に切り取られた自然の一断面である。そして実験結果のまとめには、人間の感覚や、分析および総合力が働いている。しかし、実験結果から得られる結論は、装置の性能や、操作方法、および結果の取り扱いによって左右されてはならない。できるだけ客観性が現れるように努力しなければならない。
 物理化学実験では、これらの目に見えない状態やその変化を、外部から観測できる測定値によって把握する基本的な手法を学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
・四則演算,指数・対数の取り扱い,濃度の計算・換算などができること.
・数値データをグラフ化することができること.
・物理化学I,物理化学演習Iを履修していること.

<具体的な到達目標>
・外部から観察できる情報によって、内部の状態や変化を知るための基礎的な知識を習得できる。
・現象を物理化学的に解釈することができる.
・公式に数値データを入れ,物性値を求めるだけでなく,
 得られた実験データから描いたグラフを用いて物性値を求めることができる.

<授業計画及び準備学習>
物理化学実験はいくつかのグループに班分けし,以下の6テーマを各班に分かれて実験する.

1.凝固点降下(ベンゼンにナフタリンを溶解し、その凝固点降下より分子量を決定する)
2.濃淡電池の起電力(AgNO3|Ag半電池とAgCl飽和溶液|Ag半電池を塩橋で連結し、起電力からAgClの溶解度を求める)
3.中和熱(HClとNaOHとの中和熱を求める)
4.異相平衡とギブスの相律(Sn-Bi合金の冷却曲線から状態図を作成しギブスの相律を検証する)
5.液体の粘度(エタノール−水系における濃度と粘度の関係を求め、液体の微視的な構造について考察する)
6.定容条件における気体圧力と温度の関係(状態の概念と気体の状態方程式について理解する)

実験の進め方は実験の意義,内容について講義を行った後、実験を行い、
実験終了後、レポートを作成し、提出する。そのレポートに基づき個別あるいはグループ毎に討論・指導を行う。全実験終了後に総合テストを行う。

準備学習:必ず実験の前までにテキストを熟読し、前講義の内容を復習しておくこと。
     ノートには実験手順をフローチャートにまとめておくこと。
     使用する試薬、機器について調査しておくこと。

<成績評価方法及び水準>
各実験のレポートの評価、ノート記載状況(受講態度)および全実験終了後の筆記試験の結果を合計し、総合的に評価する。60点以上に単位を認める。

<教科書>
工学院大学 工学部 化学系学科 編  物理化学実験 (大学生協にて販売)

<参考書>
「アトキンス 物理化学(上)第8版」 東京化学同人 P.W.Atkins著 千原秀昭、中村亘男訳

<オフィスアワー>
金曜日 5限 4−311

<学生へのメッセージ>
実験は、測定機器に現れた数字のみがデータではなく、実験中の色、音、においなど全てが情報である。全神経を集中して実験を行うことを望む。


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