2014年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科
○物理学II(Physics II)[3165]
2単位 進藤 哲央 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい>
- 物理学IIでは,熱力学および電磁気学を学習する。
マクロな現象を記述する体系である熱力学と,我々にとって,非常に身近な力である電磁気力を記述する電磁気学を学ぶことで,物理学Iで身につけた,「物理的な考え方」をさらに深める。 また,物理学Iで学んだ力学の知識も動員し,物理の諸法則が互いにどのように関連しあっているかを理解する。 特に化学系では,熱力学を理解することは専門科目を学んでいく上で避けて通れない。専門科目の物理化学でも熱力学は学ぶが,ここではより基礎の土台部分をしっかり固めていく。 また,全ての化学反応はその根本において電磁気力が重要な役割を果たしている。その基礎をマスターする。
- <受講にあたっての前提条件>
- 物理学Iを履修し,その内容を理解しておくこと。
- <具体的な到達目標>
- 熱力学
1. 熱力学に現れる物理量の意味を理解する。 2. 熱力学の基本法則を理解し,具体的な系に適応できるようにする。 3. 熱力学を通して,複雑な自然現象を単純化モデル化して把握する手法を身につける。
電磁気学 1. 電磁気学における物理量の概念と相互の関係を理解する。 2. 電磁気学の基本法則を理解し,その適用を学ぶ。 3. 電磁波の概念とその諸性質を理解する。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 授業内容について,物質の成り立ちについて
a) 授業の進め方 b)力学の復習(力,エネルギー,仕事について) c) 物質の成り立ち [準備学習]物理学Iの復習をしておくこと。 2. 圧力と温度 a) 系と状態 b) 温度について c) 気体と圧力 [準備学習] 教科書の該当する箇所と前の授業で配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 3. 気体の状態変化,熱のやりとり a) 気体の状態方程式 b) 定積変化と熱 c) 平衡状態と状態変化 [準備学習] 教科書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 4. 内部エネルギーと熱力学第一法則 a) 断熱変化と内部エネルギー b) 等温変化における疑問 c) 熱力学第一法則 [準備学習] 教科書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 5. 様々な状態変化の性質 a) 定積変化 b)定圧変化 c) 等温変化 d) 断熱変化 [準備学習] 教科書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 6. 熱サイクル a) 熱サイクルと効率 b)カルノーサイクル c) その他のサイクル [準備学習] 教科書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 7. 熱力学第二法則について a) トムソンの原理とクラウジウスの原理 b)クラウジウスの不等式 c) エントロピー [準備学習] 教科書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 8. 発展的話題 a) ルジャンドル変換 b) ミクロ描像とマクロ描像 c)統計力学の入口 [準備学習] 教科書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 電磁気学 9. クーロン力と電場 a) クーロン力 b) 電場 c) 電位 [準備学習] 参考書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 10. 電場について a) 電流とは b) ミクロとマクロを結び付ける c) 抵抗とジュール熱 [準備学習] 参考書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 11. 回路入門 a) 抵抗の合成 b) コンデンサとは c)抵抗とコンデンサを用いた回路 [準備学習] 参考書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 12. 電流と磁場 a) 磁力について b)磁力の源 c)磁場と電流 [準備学習] 参考書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 13. 電磁波入門 a) 電磁場の方程式 b)電磁波 c)身の回りの電磁波 [準備学習] 参考書の該当する箇所と事前に配布するプリントを熟読し,関連する問題を解いておく。 14 総復習と問題演習 [準備学習] これまでに学んだ内容を総復習しておく。 15 学習内容の確認
- <成績評価方法及び水準>
- 最終評価は,(A)定期試験の点数,(B)定期試験70%,授業中の課題および小テスト30%の両方を100点満点で評価し,得点の高いものを最終評点とする。60点をもって合格点とする。
- <教科書>
- 『熱・統計力学の考え方』砂川重信著,岩波書店
電磁気に関しては,自分にあった参考書を購入しておくこと。 また,プリント資料等を適宜配布する。
- <参考書>
- 教科書選びの参考として、いくつかの本をリストしておく.
『理工系物理学講義』加藤潔(培風館)熱力学、電磁気学等の物理の基礎的な分野について簡潔にまとめられた教科書. 『一般物理学 上・下』太田信義 (パリティ物理学コース) 上記の本と同じく,物理の基礎的な分野について簡潔にまとめられている. 『物理入門コース 電磁気学 I, II』長岡洋介 (岩波書店) きわめて標準的な電磁気学の教科書. 『電磁気学の基礎 I,II』太田浩一(シュプリンガー) しっかり書かれた電磁気学の教科書. 『よくわかる電磁気学』前野昌弘 (東京図書) 初心者向に非常に丁寧にかかれていて,しかも面白い教科書. 『物理入門コース 熱・統計力学』戸田盛和(岩波書店) きわめて標準的な熱力学の教科書(前半). 『なっとくする熱力学』都筑卓司 (講談社)標準的なトピックを網羅した熱力学の教科書. 『熱力学 ー現代的な視点から』田崎晴明 (培風館) ちょっとレベルは高いが大変面白い教科書. 『図解・わかる電子回路』加藤肇, 見城尚志, 高橋久 (ブルーバックス) 電子回路について,よくまとまっている本.
- <オフィスアワー>
- 火曜日 12:40-13:30
八王子校舎 総合教育棟 1S-323(もしくは1W-332)
メールによる質問は随時受けつけています。 また,オフィスアワー以外の時間帯で質問・相談などがある場合はあらかじめメールでアポイントメントをとってもらうと,確実性が増すと思います。
- <学生へのメッセージ>
- 理系の学問では,自分で手を動かして問題を解いたり,教科書に載っている式を自分で変形して公式を導出したりすることが,内容の理解を助ける重要な要素になります。講義時間は限られているため,講義のみではこれら基礎訓練のための時間が十分にとれません。これらを補うために,上に挙げた参考書等にのっている問題を自分で考えて解く等,自習することが大切です。
授業時間だけで,全てを理解することは不可能であると思っておいてください。
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2014 Kogakuin University. All Rights Reserved. |
|