2014年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科

物理学I(Physics I)[3107]

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2単位
渡部 隆史 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
自然界は複雑,難解であるが,実際には単純解の重ね合わせが多い。そういった意味では,そこには万能な公式などは存在しない。そこで、本講義では,Newtonの運動法則,エネルギー・運動量の保存など基本的な法則性を紹介し,質点,質点系,剛体の運動記述について解説することにより,以下の到達目標を達成する。
  • 「1現象→1公式」の受験物理ではなく,Newtonの運動法則から出発をして質点の運動を記述することができる。
  • 質点運動の記述に馴染んだのちに、その知識を質点系運動の記述に応用できる。
  • 質点の運動エネルギー、ポテンシャルが記述できる。
<受講にあたっての前提条件>
  • 多項式関数,指数関数などの初等関数の微分,積分計算ができること。

<具体的な到達目標>
  • Newtonの運動法則を理解し、説明できる。
  • 運動を議論する場合に、適切な座標系を設定し、運動方程式を立てることができる。
  • 運動方程式を解くことにより、質点の運動を具体的な例について説明できる。
  • 運動エネルギーとポテンシャルを理解し,具体的な例について計算ができる。
  • エネルギーによって運動の様子の概略を説明できる。

<授業計画及び準備学習>
  1. 講義概要説明:
    全学科共通の習熟度調査を行う。高校で学んだ物理と大学で学ぶ物理学の違いを説明し,講義の学習目的を明確にする。
      準備学習:高校で学んだ物理の力学分野の内容を確認しておく。
  2. 数学的準備:
    ベクトル演算など講義に必要な知識を復習/解説する
      準備学習:高校で学習したベクトルを復習しておく。
  3. 数学的次元と物理学的次元:
    物理的次元の解説を行い、国際単位系について学ぶ。
      準備学習:高校で学習したベクトルを復習し,教科書1〜9ページを熟読する。
  4. 物理学の中の微分:
    座標,速度,加速度を基に,数学で学んだ微分の知識を物理学的にとらえる。
      準備学習:教科書9〜14ページを熟読し,例題を解く。
  5. 物理学の中の積分:
    座標,速度,加速度を基に,数学で学んだ積分の知識を物理学的にとらえる。
      準備学習:教科書14〜19ページを熟読し,例題,類題を解く。
  6. ニュートン力学の概要:
    質点の力学を通してニュートン力学の基本法則を解説していく。
      準備学習:教科書21〜28ページを熟読し,例題,類題を解く。
  7. 運動方程式を使った運動の記述1:
    ニュートン力学の基本法則を基に,放物運動を例に取りながら自然現象の定式化を学ぶ。
      準備学習:教科書28〜34ページを熟読し,例題,類題を解く。
  8. 運動方程式を使った運動の記述2:
    摩擦抵抗,空気抵抗を伴った運動を学ぶ.
      準備学習:教科書28~34ページを熟読し,例題,類題を解く。
  9. 運動方程式を使った運動の記述3:
    振動の様子を例に,運動の記述を学ぶ。
      準備学習:教科書34〜40ページを熟読し、例題、類題を解く。
  10. 慣性系と非慣性系:
    慣性系と非慣性系について座標系を学び,慣性力について解説をしていく。
      準備学習:教科書40〜47ページを熟読し,例題,類題を解く。
  11. 仕事と運動エネルギー:
    工科系科目の基本概念である仕事と運動エネルギーの概念を解説する。
      準備学習:教科書50〜54ページ,56〜57ページを熟読し,例題,類題を解く。
  12. ポテンシャル:
    保存力とポテンシャル・エネルギーを解説し,力学的エネルギー保存則を学ぶ。
      準備学習:教科書54〜60ページを熟読し,例題,類題を解く。
  13. 保存量の理解:
    エネルギーの保存に始まり,運動量,角運動量の保存など自然界を支配する「保存」の考え方を解説する。
      準備学習:教科書60〜65ページを熟読し,例題,類題を解く。
  14. 相互作用としての重力:
    重力を万有引力の一面としてとらえ,自然界の力を相互作用として考察する。また,万有引力の例として,天体運動について考察していく。角運動量の考え方の理解を深める。
      準備学習:教科書71〜78ページを熟読し、例題、類題を解く。
  15. 定期試験

<成績評価方法及び水準>
定期試験と講義中に行う小テストによる100点評価で行う。60点以上で合格とする。配点の内訳は以下の通りとなる。

定期試験,小テストについてはそれぞれ,
  • 定期試験(A)…100点満点で定期試験期間に行う。
  • 講義中に行う小テスト(B) …毎時間2点満点で行い合算する。ただし,合算については20点を満点とし,越えた分は切り捨てる。

とする。この2区分の評価点を
  1. <評価点1> = A
  2. <評価点2> = A × 0.8 +B

で合算し,それぞれの大きいほうを評価点とする。

<教科書>
「理工系 物理学講義(改訂版)」 加藤潔著(培風館)

<参考書>
  • 「物理学演習テキスト」(学術図書出版)
    物理学演習IおよびIIのテキストである。各回の講義終了の段階で,演習テキストの中より復習のための問題を指定する予定でいる。復習のため,その日の内容を確実に身に付けるためにも手元においておくことが望ましい。
  • 「なっとくシリーズ」(講談社)
    高校時代の物理学履修が不十分であった学生,未履修であった学生は,慣れという意味でのハンディを背負っているといえる。残念ながら,初学者向けの書籍(特に「必ず単位が取れる」などと謳っている書籍)だけで,大学の物理学が身につくとはない。また,そのようには絶対に考えないでほしい。学問の王道は努力であると信じる。とはいえ,「物理学」や「数学」といった学問に慣れることも大切である。たとえば,ここに挙げた「なっとくシリーズ」などは,導入という意味では比較的読みやすいシリーズであると思う。
  • 「裳華房フィジックスライブラリー・シリーズ」(裳華房)
    例えば,高校で学んだ物理学と大学で学ぶ物理学の一番の違いは数学的取り扱い方法にあると考える。微積分,ベクトル演算,行列など,英語における単語にも等しい重要度を持つこれらの手段を確かなものにすることは,物理学に限らず,今後の大学生活の中においても有用であろう。あまり初学者向けの書籍とはいえないが,このシリーズの「物理数学I」には,1年生で使う内容がおおよそ書かれている。初めはなかなか判り辛いかもしれないが,何度か読み直していくうちに次第に理解が進んでくるだろう。その他,共通基礎科目だけではなく専門科目を学んでいく際にも役に立つであろう書籍がこのシリーズには多々含まれている。

<オフィスアワー>
水曜日 12:40〜13:20 (八王子校舎総合教育棟01W-332室)

<学生へのメッセージ>
講義時間は1時間30分と長いようで短い。本来ならば,系統立てて学んだ内容を演習で訓練する時間が講義時間内に設けられるべきであろうが,それがかなわない状況にある。そこで,木曜日の午後の「物理学演習I」の受講を勧める。若干の時間的ずれが学会出張などによって生じることもあるが,基本的に物理学の講義と連動するようになっている。「物理学演習I」を有効活用してもらいたい。

講義で使用するスライドは,講義開始前までにWebサイトへ掲載する。下記「参考ホームページアドレス」から辿ることができるので,有効活用してほしい。

質問は歓迎する。ただし,必ず居室にいるとは限らないので,E-mailを利用するか事前にアポイントメントを取るように(ft11196[at]ns.kogakuin.ac.jp)。

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft11196/


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