2014年度工学院大学 第1部応用化学科

薬品分析化学(Analytical Chemistry of Medicine)[6C02]

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2単位
高橋 博文 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
医薬品を研究開発する上で、安全性の担保は最も重要な問題です。安全性を担保するためには、研究の段階からリスク要因を特定し、排除していく必要があります。本授業では

 医薬品研究開発の困難さを理解する
 薬物と生体の相互作用を理解する
 副作用の原因と機序を理解する

ことを通じて医薬品(薬)の本質を理解して頂きます。

<受講にあたっての前提条件>
医薬品に対して興味がある事が受講条件です。
生化学、有機化学、機器分析の基礎知識が必要です。

<具体的な到達目標>
医薬品開発の現状が理解できる
添付文書等の薬物動態パラメーターの意味を説明できる
薬物と生体の相互作用および副作用の原因を説明できる
測定に必要な機器の原理及び測定法を説明できる

<授業計画及び準備学習>
(1-3回)薬の本質
 薬の作用機序および副作用の原因と発現機序を理解し、これらのことから薬の本質を考える

(4回)創薬のタイムラインと分析研究の関わり
 医薬品を上市するまでの道のりと創薬のもつ問題点を理解する

(5回)薬物の生体内での運命
 薬物が投与されてから排泄されるまでの概説とそれらの過程で生ずる諸問題を理解する

(6-8回)薬物速度論の基礎
 Pharmacokineticsについて血中薬物濃度測定の重要性を慨説する
 血中薬物濃度測定法を慨説する
 測定された生体内薬物濃度データの解析方法の基礎を理解する

(9-12回)薬物動態の諸問題
 薬物の生体内への吸収・分布過程について詳細を理解する
 薬物の「解毒機構」である代謝の様式・機構を理解する
 薬物が代謝されることによって「毒性が発現する」機構について理解する
 薬物の吸収や排泄にかかわるトランスポーターについて理解する
 代謝やトランスポーターに種差、個人差があることを理解する
 薬物相互作用、いわゆる薬物同士又は食物との「飲み合わせ」について理解する

(13回)創薬初期段階における分析研究
 創薬初期段階において化合物の物理化学的性質を把握しておくことの重要性について理解する

(14回)開発研究段階における分析研究
 開発研究段階での医薬品の安全性担保と規制当局からのガイダンス・ガイドラインの関係を慨説する

(15回)学習成果の確認(試験)

<成績評価方法及び水準>
定期試験、授業中の課題および授業参加度(単なる出席ではありません)によって総合評価します。
ウエイトは定期試験(100点)を0.6、授業中の課題および授業参加度(100点)を0.4とします
60点以上を合格点とします。

<教科書>
指定教科書なし
授業前に授業で使う資料をキューポートにアップします

<参考書>
「創薬の分析化学」
開発タイムラインにそった全過程
日本分析化学会編
丸善出版

「薬物代謝学」
医療薬学・医薬品開発の基礎として第3版
加藤隆一他編
東京化学同人

「医薬品クライシス78兆円市場の激震」
佐藤健太郎
新潮新書

<オフィスアワー>
授業終了後、教室または講師控え室。
Emailによる質問やご意見は随時受け付けています。

<学生へのメッセージ>
「くすりが何故効くのか知っていますか?」「同じくすりを飲んでいても効いたり効かなかったりする人がいるのは何故ですか?」「何故夢の新薬は出てこないのですか?」「健康食品はくすりより安心ですよね?」このようなくすりに関する疑問や興味がある方は是非受講してみてください。質問やディスカッション提起など積極的に授業に参加してくれる方大歓迎です。


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