2014年度工学院大学 第1部応用化学科

鉱物と結晶(Mineral and Crystal Chemistry)[4E18]

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2単位
野津 憲治 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
鉱物は、天然に存在するほぼ均質で一定の化学組成と物理的性質をもつ物質で、ほとんどが結晶質の無機化合物である。われわれが生活している地球は鉱物の集合体である岩石から成っており、われわれは特定の元素が濃集している鉱物を資源として利用し生活を豊かにしていることからしても、鉱物は人間生活と切り離せない存在である。本講義では、鉱物についての地球科学的な基礎知識、結晶化学的な基礎知識を学ぶことから始める。その上で、鉱物が天然環境下でどのようなプロセスで生成するかを理解する。鉱物には不純物が入っておりその性質を利用することもあるが,物理的,化学的に特化した性質は人工的に合成した鉱物(結晶)で達成されるので,結晶成長、結晶合成を学ぶ。さらに、天然鉱物が工業の現材料としてどのように利用されているかも学び、地下資源としての鉱物の利用には限界があることを考察する。受講者それぞれが鉱物と結晶の知識を身につけ、自身の仕事や生活に生かせるるようになることを目標とする。

<受講にあたっての前提条件>
2年生で地学1や地学2を履修して地学の基礎知識を持っていることが望ましいが、受講の前提条件とはしないので、鉱物や結晶を学びたい学生は誰でも受講できる.

<具体的な到達目標>
受講者は鉱物と結晶の基礎知識を身につけ、その知識を応用する鉱工業に就職したとき、自身の仕事に生かすことができる。これからの人類線存と鉱物資源の開発についての自分なりの意見が持てるようになる。.

<授業計画及び準備学習>
教科書は指定せず、毎回資料を配布して講義を行う。配布資料は講義の数日前からKuportの電子教材に掲載するので、準備学習に利用して欲しい。
授業の理解度を確かめ、授業内容を発展させるために、5回程度レポート課題を出題し、翌週の講義時までに解答の作成を行う。レポートは添削して返却し,適時授業時間内に解説を行い,学習内容の復習を行う.毎回の授業計画は以下の通りである。

1.(ガイダンスに続き)鉱物、結晶とは
2.鉱物の化学組成による分類
3.結晶化学の基礎
4.鉱物の結晶構造
5.結晶成長
6.鉱物の物理的性質とその利用
7.造岩鉱物とその生成メカニズム
8.資源鉱物とその生成メカニズム(鉱床成因論)
9.気相成長で生成する鉱物
10.バイオミネラリゼーション(生体反応でできる鉱物)
11.鉱物の合成(結晶作成)
12.造岩鉱物を利用する製造業:セラミック製造(窯業)
13.資源鉱物から金属素材の製造(冶金業)
14.鉱物資源の枯渇とその克服
15.学習成果の確認(試験)

<成績評価方法及び水準>
第15回目に行う試験の得点と、試験得点50%+レポート結果50%で計算した得点とを比べ、高得点の方をその学生の成績とする。

<教科書>
特に指定しない。講義に必要な資料は、その都度配布する。

<参考書>
青木正博「鉱物図鑑」誠文堂新光社(2008)
赤井純治ほか「鉱物の科学」東海大学出版会(1995)
森本信男ほか「鉱物学」岩波書店(1975)
砂川一郎「結晶(成長・形・完全性)」共立出版(2003)
佐々木義典ほか「結晶化学入門」朝倉書店(1999)
庄野安彦、床次正安「入門結晶化学」(増補改訂版)(2009)
都城秋穂、久城育夫「岩石学�鵯(偏光顕微鏡と造岩鉱物)」共立出版(1972)
森本信男「造岩鉱物学」東京大学出版会(1989)
飯山敏道「地球鉱物資源入門」東京大学出版会(1998)
加藤誠軌「標準教科セラミックス」内田老鶴圃(2004)
中村崇ほか「サステナブル金属素材プロセス入門」(2009)
野津憲治「宇宙・地球化学」朝倉書店(2010)
西村祐二郎ほか「基礎地球科学(第2版)」朝倉書店(2010)
ニューステージ新訂「地学図表」浜島書店(2003)

<オフィスアワー>
講義終了後、新宿キャンパス非常勤講師室
E-mailでの連絡、質疑応答もできます:notsu@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
鉱物は人間生活に欠かせない物質です。鉱物を自然科学として理解するには結晶化学の知識が必要です。鉱物や結晶を学ぶことで、人類が快適な生活を維持しようとすれば近い将来に直面する鉱物資源枯渇の問題に思いを巡らせ、解決策を考えてみて下さい。


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