2014年度工学院大学 第1部応用化学科

数学I(Mathematics I)[3414]

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2単位
片野 修一郎 非常勤講師  
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
数学の基本事項をもう一度確認すると共に、重要な初等関数の性質を理解すること。次に、微分法の概念を理解し、基本的な計算に習熟すること。具体的には、(0)三角関数・指数関数・対数関数について改めてしっかり理解する(1)関数の積・商の微分を理解する(2)特に合成関数の微分はすべてにおいて基礎となるものなので重点を置きたい。内容的には高等学校の復習と数学III+αに当たる。

<受講にあたっての前提条件>
高校数学IIIに当たる部分は一から話します。ですが、高校数学IIはきちんとわかって臨まないといけません。丁寧に復習しますが、高校数学IIの教科書を読み直しておくこと、を前提条件とします。

<具体的な到達目標>
  • 三角関数・指数関数・対数関数について改めてしっかり理解すること。化学専攻者はとりわけ指数・対数が大切であるから、重点を置く。
  • 微分の意味を理解し、微分の基本計算ができること。特に積・商の微分に重点を置く
  • 合成関数の微分について明確に理解し、自在に計算ができること。
  • Taylor展開の意味や意義を理解し、解析関数のTaylor展開が求められること。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス/数学の基本事項(数式・用語の意味や数式の書き方ルールなど)の確認(2.にも入る予定)
  準備学習:高等学校の数学IIをきちんと理解している自信がある人は特に何もなし(数学IIIをやっていれば尚よい)。それ以外の人は、授業が始まってからではなく、始まる前の準備が大切です。高等学校の教科書は無味乾燥ですが、これほど要領よくまとまった本は他にありません。短期間に一通りのことを身につけたいなら、高等学校の教科書ほど合理的にできているものはないのです。ですから、高等学校数学IとIIの教科書を徹底的に復習しておくこと。公式を覚えるのではなく、「地の説明文」をよく読んでください。
2.関数の定義と基本的な関数(多項式、三角関数(弧度法の復習を含む))
  準備学習:教科書の付録をよく読んでおくこと(これがわかっていないとひどい目にあいます)。高等学校の教科書も復習のこと。
3.三角関数とその性質
  準備学習:前回の授業内容を消化しておくこと。高等学校の教科書も参照のこと。
4.指数関数とその性質
  準備学習:前回の授業内容を消化しておくこと。高等学校の教科書も参照のこと。
5.逆関数の意味/指数関数の逆関数としての対数関数
  準備学習:前回の授業内容を消化しておくこと。高等学校の教科書も参照のこと。
6.関数の極限 
  準備学習:前回までの授業内容を総復習すること。わからないことをこの段階で残さないこと。
7.微分法の基礎(導関数の定義と意味)
  準備学習:前回までの授業内容を総復習すること。教科書をよく理解し、中にある練習問題を数多く解いてみること。
8.基本となる微分公式(和、差、積、商)特に積と商の微分に重点
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。
9.三角関数の導関数
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。教科書の練習問題を数多く解いてみること。
10. 指数関数の微分、eの導入とストーリー
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。教科書の練習問題を数多く解いてみること。
11.関数の合成とは? 合成関数の微分法則(ここが最大の山場です)
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。教科書の練習問題を数多く解いてみること。
12.逆関数の微分法則、対数関数の導関数、対数微分法
  準備学習:前回までの授業内容を消化すること。教科書の練習問題を数多く解いてみること。
13.高次導関数および合成関数の微分演習(今まで学習した関数を使っての総合演習)
  準備学習:前回までの授業内容を消化すること。教科書の練習問題を数多く解いてみること。積極的に黒板に出て解答すること。
14. 具体的なTaylor展開
  準備学習:前回までの授業内容を消化すること。教科書の練習問題を数多く解いてみること。
15. 学習成果の確認(前期末試験)
  準備学習:全般についてよく理解しながら復習すること。解き方の丸暗記はダメ。よく考えながら問題練習を積むこと。

<成績評価方法及び水準>
定期試験100点の他に、授業中にできる限りの演習を行い、前に出て解答を発表した者には1回につき5点程度の平常点を与える。また、質問に答えた者や少し手間のかかるレポート問題を提出した者にも適宜平常点を与え、それらを合算して得点分布を調べ、他に比べて大きく点差の開いた箇所で切って合格点とする。通例50点取れれば不合格になることはないと思う。

<教科書>
片野修一郎『微分積分学講義』(DTP出版、ISBN 978-4-86211-355-9)
事前に付録を読んでおいてもらいたい。この教科書は一般の微積分の教科書に比べて、化学・薬学専攻学生を念頭にして書いてありますから、専門の化学においても役立つ部分があると思います。

<参考書>
特になし。

<オフィスアワー>
授業の前後に八王子校舎講師室で。質問は歓迎します。

<学生へのメッセージ>
基本が身についていれば、授業を聞いているだけでわかるように話すつもりですが、基礎・基本に自信がない人は、授業が本格化する前に、高等学校の数学はできる限り復習しておいて欲しい(これは強くお願いする)。近年、意味もわからないままに問題の解き方だけを丸暗記しようとする傾向が非常に著しく、教員として強い危機意識を感じています。数学はきちんと理解すればどんどんわかるようになって楽しくなります。逆に全部丸暗記しようとすれば、誰でもパニックに陥りますし、すぐに全部忘れて何も身につかないのでは結局時間の無駄です。よく考えることのみがあなたの頭脳を耕してくれます。よく耕された頭脳は、将来きっとあなたの力になってくれるでしょう。また、近年目につく現象として、数学の基本ルール(中学校で学ぶはずなんだけどなあ…)が身についていないために、根本的なところで躓いてそれっきりになってしまう不幸な事例に遭遇するようになりました(たとえば、(a + b)/a = 1 + b とやってしまうetc)。この授業ではその確認を機会あるごとに行うので、もし自分が該当すると思ったら、この機会に徹底的にわかってほしい。それが原因で、勉強してもいつまで経ってもできるようにならない、という不幸なことにならないように願います。


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