2014年度工学院大学 第1部機械システム工学科
△現代社会の倫理(Ethics for Our Society)[1103]
2単位 板東 洋介 非常勤講師
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ○ | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 日本の伝統的な道徳思想との対話を通じて、現代日本における倫理的な諸問題についての理解を深め、それらの問題について自ら主体的に考える態度を養う。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特になし。
高校倫理・現代社会未履修者でも理解可能なように講義をすすめる。
- <具体的な到達目標>
- (1)労働観・家族観・国家観など、現代日本における道徳的・社会的な係争点についての基本的な知識を身につける。
(2)(1)の基調をなしている日本の伝統的な道徳思想の意義を理解する。 (3)(1)(2)を前提として、現代日本における倫理的な諸問題について、みずから論理的かつ倫理的に思考する態度を身につける。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. ガイダンス
2. 現代日本の「労働」(1)何のために働くのか? 3. 現代日本の「労働」(2)技術の伝統―「職分」と職人気質 4. 現代日本の「労働」(3)“一億総中流”と“社畜” 5. 現代日本の「家族」(1)血縁共同と性的共同 6. 現代日本の「家族」(2)イエ制度と民法 7. 現代日本の「家族」(3)多様な愛と家族との形 8. 現代日本の「国家」(1)「愛国心」は善きものか 9. 現代日本の「国家」(2)天皇論の諸相 10. 現代日本の「国家」(3)グローバル化と「愛国」 11. 現代日本の「死生観」(1)どこに死にゆくのか? 12. 現代日本の「死生観」(2)「葬式仏教」の諸問題 13. 現代日本の「死生観」(3)慰霊と鎮魂―霊魂のゆくえ 14. 授業のまとめ 15.定期試験
(準備学習) 毎回配布されるレジュメを読み返して、自分なりの問題意識をまとめ、単元ごとの小テストに備える。
- <成績評価方法及び水準>
- 単元ごとの小テスト(10%×4)と期末テスト(60%)で成績を評価する。
- <教科書>
- 指定教科書なし。毎回レジュメを配布する。
- <参考書>
- 適宜講義中に指示する。
- <オフィスアワー>
- 電子メールにて質問等を受け付ける。アドレスは第一回ガイダンスにて告知する。
- <学生へのメッセージ>
- 日本は、世界の中では比較的早く近代化≒西洋化した国です。しかし現在でも、職場や飲み会での「空気」の支配、第一線で生産に携わる方々の「技術者精神」ないし「職人気質」、また前の戦争をめぐる記憶と慰霊の問題など、至るところに近代的≒西洋的でない、日本ならではの事象が見られます。それは日本の良い所であるとともに、現代日本のぼんやりとした息苦しさを生みだしている、悪い所でもあります。現代の日本で生じる倫理的な問題の多くは、こうした日本の伝統的な精神風土と、近代的な「道徳」のグローバルスタンダードとの軋轢に生じています。生きにくい「現代」・「日本」の正体をはっきりとつかみたいという方には、日本の伝統との対質を通じて現代日本の諸問題を考える本講義の受講をおすすめいたします。
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