2014年度工学院大学 第1部機械工学科

線形代数学II(Linear Algebra II)[4151]

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2単位
長谷川 研二 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2015/02/13

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
線形代数学Iの続きであるが、主な内容は固有値と固有ベクトルおよびその応用である。IのみでなくIIも習得すれば応用範囲が非常に広くなる。(例えば振動、制御)授業のねらいは主に
  • 線形独立性や次元等の基本的概念を理解する。
  • 固有値と固有ベクトルから行列を対角化する。

<受講にあたっての前提条件>
  • 線形代数学Iを履修する。

<具体的な到達目標>
  1. 線形独立性や次元等の基本的概念の理解し、行列計算で検証ができる。
  2. 固有方程式から固有値を求め、連立1次方程式から固有ベクトルを求める。
  3. 固有値・固有べクトルから行列を対角化する方法を身につける。
  4. 対称行列であれば直交行列で対角化する。
    (JABEE学習・教育到達目標)
    「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:D−2◎

<授業計画及び準備学習>
  1. 線形独立と線形従属:
    2個のベクトルが平行であることの概念を3個以上の高次元のベクトルに拡張した線形独立と線形従属について解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントは事前に配布できないので線形代数学Iの復習をしておく。
  2. 部分空間:
    ベクトルを集めた集合の部分集合の中でベクトルの演算が自由にできるとき部分空間というが、部分空間の条件を例を紹介しながら解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  3. 基底と次元:
    基底になるベクトルの組みを選ぶことにより、部分空間にあるベクトルを成分表示できる。また基底のべクトルの個数が次元とみなせることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  4. 基底と線形写像の表現行列:
    行列は線形写像を表現したものであるが、成分は基底の選び方に依存する。基底を上手に選ぶと行列が簡潔になり性質がわかることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  5. 固有方程式と固有値:
    正方行列の対角化には固有値と固有ベクトルの計算が必要であるが、固有値は固有ベクトルを解けば求まることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  6. 固有空間と固有ベクトル:
    固有ベクトルを集めた部分空間である固有空間の次元や基底を求めさせる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  7. 正方行列の対角化1:
    固有値と固有ベクトルから正方行列を対角化させる方法を解説する。特に固有値が重複しないときは必ず対角化できる。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  8. 正方行列の対角化2:
    固有値が重複するときは1つの固有値に対して2つ以上の固有ベクトルを選ばなければならないが、それができる場合とできない場合があることを例を紹介しながら解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  9. ベクトルの内積:
    ベクトルの内積は2,3次元であれば幾何的に定義できるが、成分の計算に直せば高次元のベクトルの内積も定義できることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  10. 対称行列の固有ベクトルの直交性:
    対角線に関して対称な位置にある成分が等しい正方行列である対称行列の異なる固有値の固有ベクトルが直交することを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  11. 正規直交基底になる固有ベクトル:
    対称行列の固有ベクトルが正規直交基底になるように選べることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  12. 直交行列による対称行列の対角化1:
    固有値が重複しない対称行列はノルム(長さ)が1になるように固有ベクトルを選ぶと直交行列で対角化できることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  13. 固有ベクトルの直交化:
    固有値が重複する対称行列において、1つの固有値に対して2つ以上の固有ベクトルを互いに直交するように選ぶ方法を解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  14. 直交行列による対称行列の対角化2:
    固有値が重複するとき対角化できないこともあるが、対称行列の場合は必ず対角化できる。前回で習った方法で互いに直交するように固有ベクトルを選べば直交行列で対角化できることを解説する。問題を解かせ答案用紙を提出させる。(次回は試験なので、試験前のオフィスアワーで希望者に返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  15. 学習成果の確認(試験):
    準備学習:配布されたプリントを復習する。特に問題については再度解いてみる。

<成績評価方法及び水準>
定期試験をx点(100点満点)として、評点を (ax)b とする。ただし ab は (100a)b =100 で、合格基準点x0 に対して(ax0)b =60となるように定める。合格基準点は60点以下で各受講生毎に定めるとして、授業中に解かせた問題の解答状況による平常点が高いほど合格基準点は低くなる。平常点が最高であれば基準点は40点前後である。授業に出席せず答案用紙を提出しなくても定期試験で60点以上得点すれば合格となる。

<教科書>
  • 指定教科書なし
  • プリントを授業で配布したり、予習のためにキューポートにPDFファイルを事前にアップロードする。

<参考書>
  • 線形代数講義 金子 晃 著 サイエンス社
    内容は高度であるが著者が女子大情報系学科で担当した線形代数の授業に基づいているので、文体が内容の割りには柔らかく、参考としてコンピュータのプログラムも載っている。
  • 線型代数入門 斎藤 正彦 著 東京大学出版会
    担当者が学生のときに線形代数の教科書として指定されたものである。タイトルに「線形(型)代数」を含む数学書が出始めたころに出版したが、未だに発行されている名著である。この本が日本の大学に線形代数を広め、その功績で日本数学会出版賞を受賞した。

<オフィスアワー>
水曜日5時限(八王子校舎01E−313数学研究室)
授業の直後は次の授業があり、短時間の対応しかできないが、2時限終了直後に講師室にいることが多い。


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