2014年度工学院大学 第1部機械工学科
○物理学I(Physics I)[2202]
2単位 加藤 潔 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
◎ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 自然界は複雑,難解であるが,実際には単純解の重ね合わせが多い。そういった意味では,そこには万能な公式などは存在しない。本講義では,Newtonの運動法則,エネルギー・運動量の保存など基本的な法則性を紹介し,質点,質点系,剛体の運動記述について解説していく。
- <受講にあたっての前提条件>
- 高校レベルの数学力を前提とする。高校での物理学の履修が望ましいが必ずしも前提とはしない。
- <具体的な到達目標>
- 以下に具体的な到達目標を示す。
- 「1現象→1公式」の受験物理ではなく,基本法則に従った物理学の習得。
- 基本本法則の複合系への応用の習得。
- ポテンシャルの理解。
(JABEE学習・教育目標) 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:D(◎) (JABEE基本キーワード) 「静力学」,「運動の法則」,「自由振動」,「強制振動」
- <授業計画及び準備学習>
- 講義概要説明:
全学科共通の習熟度調査を行う。また、高校までに学んだ物理と大学で学ぶ物理学の違いを示し,講義の学習目標を明確にしていく。 準備学習:高校で学習した力学分野の内容を確認しておく。
- 数学的準備:
力学に必要な空間の考え方,ベクトル演算などを復習/解説する。 準備学習:高校数学で学習したベクトルを復習し,教科書1~9ページを熟読する.
- 数学的次元と物理学的次元:
数学的次元と物理的次元の解説を行い,国際単位系について学ぶ。 準備学習:高校数学で学習したベクトルを復習し,教科書1~9ページを熟読する。
- 物理学の中の微分:
座標,速度,加速度を基に,数学で学んだ微分の知識を物理学的にとらえる。 準備学習:教科書9~14ページを熟読し,例題を解く。
- 物理学の中の積分:
座標,速度,加速度を基に,数学で学んだ積分の知識を物理学的にとらえる。 準備学習:教科書14~19ページを熟読し,例題,類題を解く。
- ニュートン力学の概要:
質点の力学を通してニュートン力学の基本法則を解説していく。 準備学習:教科書21~28ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 運動方程式を使った運動の記述1:
ニュートン力学の基本法則を基に,放物運動を例に取りながら自然現象の定式化を学ぶ。 準備学習:教科書28〜34ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 運動方程式を使った運動の記述2:
摩擦抵抗,空気抵抗を伴った物体の運動を記述する。 準備学習:教科書28~34ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 運動方程式を使った運動の記述3:
振動の様子を例に,運動の記述を学ぶ。 準備学習:教科書34〜40ページを熟読し、例題、類題を解く。
- 慣性系と非慣性系:
慣性系と非慣性系について座標系を学び,慣性力について解説をしていく。 準備学習:教科書40~47ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 仕事と運動エネルギー:
工科系科目の基本概念である仕事と運動エネルギーの概念を解説する。 準備学習:教科書50~54ページ,56~57ページを熟読し,例題,類題を解く。
- ポテンシャル:
保存力とポテンシャル・エネルギーを解説し,力学的エネルギー保存則を学ぶ。 準備学習:教科書54~60ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 保存量の理解:
エネルギーの保存に始まり,運動量,角運動量の保存など自然界を支配する「保存」の考え方を解説する。 準備学習:教科書60~65ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 剛体の運動と力のつりあい:
広がりのある物体の運動を運動方程式に加えて,力のモーメントを含めて考察する。 準備学習:教科書81~88ページを熟読し,例題,類題を解く。
- 学習成果の確認(試験)
準備学習:前回までの総復習を行う。
- <成績評価方法及び水準>
- 成績評価=A+Bとし,その値が60点以上の者に単位を認める。
A=期末試験の評価点(70点満点),B=予習・復習課題,授業中の課題に対する評価点(30点満点)。 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)は、本科目およびこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される。
- <教科書>
- 「理工系物理学講義(改訂版)」 加藤潔著(培風館)
- <参考書>
- 「物理学演習テキスト」(学術図書出版)
物理学演習IおよびIIのテキストである。各回の講義終了の段階で,演習テキストの中より復習のための問題を指定する予定でいる。復習のため,その日の内容を確実に身に付けるためにも手元においておくことが望ましい。
- 「なっとくシリーズ」(講談社)
高校時代の物理学履修が不十分であった学生,未履修であった学生は,慣れという意味でのハンディを背負っているといえる。残念ながら,初学者向けの書籍(特に「必ず単位が取れる」などと謳っている書籍)だけで,大学の物理学が身につくとはない。また,そのようには絶対に考えないでほしい。学問の王道は努力であると信じる。とはいえ,「物理学」や「数学」といった学問に慣れることも大切である。たとえば,ここに挙げた「なっとくシリーズ」などは,導入という意味では比較的読みやすいシリーズであると思う。
- 「裳華房フィジックスライブラリー・シリーズ」(裳華房)
例えば,高校で学んだ物理学と大学で学ぶ物理学の一番の違いは数学的取り扱い方法にあると考える。微積分,ベクトル演算,行列など,英語における単語にも等しい重要度を持つこれらの手段を確かなものにすることは,物理学に限らず,今後の大学生活の中においても有用であろう。あまり初学者向けの書籍とはいえないが,このシリーズの「物理数学I」には、1年生で使う内容がおおよそ書かれている。初めはなかなか判り辛いかもしれないが,何度か読み直していくうちに次第に理解が進んでくるだろう。その他,共通基礎科目だけではなく専門科目を学んでいく際にも役に立つであろう書籍がこのシリーズには多々含まれている。
- <オフィスアワー>
- 教職員プロフィール参照,1W-331室。電子メールを活用し,予約すれば,指定時間以外でも対応する。
- <学生へのメッセージ>
- 担当者ホームページ(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/)に講義に関する詳細な指示,試験などに関する連絡、講義資料や昨年度の試験問題などを提示しているので各自確認しておくこと。オフィスアワー以外の担当者への質疑や面談の予約は電子メールで行なうこと。
理解を深めるために、物理学演習Iを履修することが望ましい。
- <参考ホームページアドレス>
- 担当者ホームページ(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/)
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