2013年度工学院大学 学芸員課程科目

博物館資料保存論(Preserve Materials for Museum)[8018]

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2単位
米倉 立子 非常勤講師

最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
資料の保存は、博物館活動の根幹を担うものであるが、一般の来館者として博物館を見学するだけでは、なかなかその重要性や具体的な活動内容が見えづらい。本講義を通じて、資料保存とはどういう意義・機能があり、どのように行われているのかを項目ごとに学んでいく。
博物館における資料保存とその保存・展示・収蔵環境を科学的に捉え、公開と保存という矛盾する役割の中で資料を後世に良好な状態で伝えていくための基礎知識を学ぶことで、資料保存に対する意識を高め、館種、個別の状況に応じたより良い資料保存とは何かを考えていくための基礎的能力を養う。

<授業計画及び準備学習>
イントロダクション
日本における文化財保護の歴史
東日本大震災による文化財資料の被災状況や修復活動の紹介
資料保存の諸条件とその影響(資料の劣化要因とその対策):温湿度・カビ対策・照明(光)・振動・空気汚染・文化財害虫・文化財害獣
資料に対する負担の軽減と日常的資料保存対策、IPM(総合的有害生物管理)
日本における伝統的保存方法:正倉院・土蔵など
文化財におけるオーセンティシティの保存:解体修理・式年造り替え(式年遷宮)
文化財に対する科学的調査・分析(X線、赤外線等)と保存対策のバランス
埋蔵文化財の保存処理:木製品・金属製品・土器
日本における伝統的修復方法:日本における装こう作品の材質と修復、仏像の修復
自然環境の保護:人間の活動と自然系資料の保存・保護、生物多様性・種の保存に対する博物館園の活動

<成績評価方法及び水準>
出席(授業中の積極的な姿勢)、リアクションペーパー、授業中の小テストにより総合的に評価します。

<教科書>
特になし。授業時に随時資料を配布します。

<参考書>
石崎武志編著、『博物館資料保存論』、講談社、2012年。国立文化財機構東京文化財研究所編著、『文化財の保存環境』、中央公論美術出版、2011年。日高真吾、園田直子編集『博物館への挑戦 何がどこまでできたのか』、三好企画、2008年。君塚仁彦・名児耶明編著、『現代に活きる博物館』、有斐閣ブックス、2012年。国末憲人著、『ユネスコ「無形文化遺産」生きている遺産を歩く』、平凡社、2012年。
(財)日本博物館協会編、雑誌『博物館研究』2011年7月号、特集「資料保存の実践」;9月号、特集「東日本大震災における博物館の対応」
文化庁文化財部監修、雑誌『月刊文化財』、平成23年4月号「文化財と博物館」など、博物館・文化財等についての記事。

<オフィスアワー>
授業前後の時間帯(講師控室、または教室にて)

<学生へのメッセージ>
普段から多様な博物館園や史跡などを見学するように心がけ、その館園・史跡の立地条件や主な展示資料の特徴、展示環境の様子を掴むように努めてください。

 

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