2013年度工学院大学 教職課程科目

生徒指導論(教育相談及び進路指導を含む)(Guidance)[9351]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

4単位
安部 芳絵 非常勤講師

最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 この授業では、子どもの権利条約を活かした生徒指導について考え実践的な力を身につけることを通して、子どもの育ちを支える教師となることをめざす。前期は、教育相談・カウンセリングに関する基礎的な知識について学び、それを土台として、教師の「聴く力」と「待つこと」の意味を問う。後期は、生徒が本来有している力に着目し、「支援」という切り口から「エンパワーメント」の生徒指導について考える。
 子どもは、権利の主体である一方で、親や教師、地域の力を借りながら自立していく存在である。そこで、授業にあたっては、生徒指導が直面するさまざまな問題を取り上げ、子どもの成長発達の権利を保障するために、教師はどのような指導と支援が可能であるのかを具体的に検討する。子どもに向き合う実践力を身につけるために、アイスブレーキング、ロールプレイング、事例研究、グループディスカッションをはじめとした参加型の学習方法を用いる。毎回の授業終了時には、個々の省察を促すためにふりかえりシートにコメントを記入し、翌週の講義でレビューシートとして配布し、共有する。

<授業計画及び準備学習>
【前期】講義と事例研究、グループワーク中心です。
1 オリエンテーション:子どもの現在を見つめる&教師の専門性と省察の意義
2 生徒指導とはなにか(1):定義と意義
3 生徒指導とはなにか(2):基礎的理論・学級の組織・運営
4 生徒指導とはなにか(3):生徒理解・教育相談・カウンセリングの理論
5 教育相談・カウンセリングと実践(1):「問題行動」の背景を考える〜ADHD/LD/高機能自閉症を事例に〜
6 教育相談・カウンセリングと実践(2):「問題行動」に向き合う〜不登校と居場所〜
7 教育相談・カウンセリングと実践(3):つながりで子どもを支える〜子ども相談の固有性とその支援実践〜
8 進路指導・職業指導(1) 進路指導を中心に
9 進路指導・職業指導(2) 職業指導を中心に
10 事例研究(1)少年犯罪
11 事例研究(2)子どもの貧困
12 事例研究(3)子ども参加の学校づくり1:学校運営
13 事例研究(4)子ども参加の学校づくり2:「待つこと」の実践
14 前期のまとめ
15 学習成果の確認(レポート)
【準備学習】
※各回の授業予習として(1)新聞やニュースで子どもに関連する記事を読むこと、とくに気になった記事はクリッピングすること、(2)子どもに関する記事やニュースを題材に、家族や友人と話をすること、(3)前回のコメントシートに目を通しておくこと。
※各回の復習として(1)コメントシートに自分なりの考えを記入すること(2)講義で学んだことを子どもと向き合う実践に活かすこと(3)活かしてみた結果を次回の講義に反映すること。
【後期】学生による発表と討論、講義を織り交ぜて実施します。
1 オリエンテーション:後期初回の講義にて、進め方を説明。前期の復習。
2 いじめ1:いじめの現象学的考察
3 いじめ2:事例研究
4−10 学生による発表と討論(発表希望者の数によって回数を決定)
11 児童虐待と生徒指導
12 体罰と生徒指導1:体罰禁止の国際的動向と日本
13 体罰と生徒指導2:「叱る」の教育学的考察
14 子どもの権利を保障した生徒指導と教師の「ゆらぎ」
15 学習成果の確認(教場レポート)
※講義は全て参加型で実施する。各自の積極的な参加を期待する。
 取り上げるテーマは、参加者の希望をできるかぎり反映したい。そのため、内容が変わることもある。

<成績評価方法及び水準>
講義への出席を前提とし、期末に実施する教場レポートを100点満点として、6割以上の者に単位を認める。なお、毎回の授業終了後に記入するコメントシートは、6割に満たない場合に加点する。

<教科書>
テキスト:『子ども支援学研究の視座』安部芳絵、学文社、2010年
※初回授業までに購入の上、各自で読み進めておくこと。

<参考書>
参 考 書:『生徒指導の手引き(改訂版)』文部省(1981年)
『生徒指導資料』『中学校・高等学校生徒指導の手引』文部科学省(各年次)
『現代学校改革と子どもの参加の権利』喜多明人編著、学文社(2004年)
『子どもとともに創る学校』澤田治夫ほか編、日本評論社(2006年)
『省察的実践とは何か』ショーン著、柳沢昌一・三輪健二監訳、鳳書房(2007年)
そのほかは、授業中に適宜紹介する。

<オフィスアワー>
授業終了後、教場にて対応する。

<学生へのメッセージ>
教職課程にはいろいろな学生がいます。学部学生のみならず、社会人として教職をめざしている人、すでに講師として現場で働いている人、就職活動をしながら免許を取ろうとしている人、学校が好きだった人、嫌いだった人、学校教育に疑問を抱いてきた人、学校生活でかけがえのない出会いをした人。みなさんがいなければ、「生徒指導論」の授業は成り立ちません。ひとりひとりの経験や考えを大切にしながら、学びあっていければと思っています。ご協力をお願いいたします。

 

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