△理科教育の研究（Study of Science Education）[9176]

＜授業のねらい及び具体的な達成目標＞

2011年より小学校から始まった新教育課程の完全実施に対応した理科教育のあり方を探る。学習指導要領の理念と照らし合わせながら、現状及び過去の実態や経緯を把握し、諸外国の取り組みも含めて知り、理科教育についての考え（理科教育観）を持てるようにする。また、各科目・領域の授業実践例や学習過程の分析を通して、教材研究や授業をデザインする力を養う。さらに、理科授業の運営に関する幅広い知識を習得し実践に生かせるようにする。

＜授業計画及び準備学習＞

１．導入「理科の授業と私」
準備学習：中高の理科の学習内容を把握しておくこと
２．理想のよい授業（理想の授業）とは
準備学習：自分なりの考えを持ち今まで自分が受けてきた理科授業の長短を指摘できるようにしておくこと
３．授業の過程を探る
準備学習：参考書p91〜112を読んで理解しておくこと
４．学習指導案を作成する
準備学習：学習指導案の実際を見ておくこと。ある1時間の授業をイメージし、形式に従って書き出せるようにしておくこと
５．「理科離れ」はあるのか
準備学習：関連資料（データ）を集めること
６．「理科離れ」「理科嫌い」を作らないようにするには
準備学習：参考書p27〜60の中から実践例を把握しておくこと
７．理科は何を目指す教科か
準備学習：現行の中学校または高校の学習指導要領理科編に目を通しておくこと
８．理科の授業を創る
準備学習：工夫された授業の実践例を調べておくこと
９．科学的な自然観の育成
準備学習：自然観の意味を調べておくこと
10．教材研究(1)　学習内容と教材
準備学習：参考書p159〜193を読んで理科教師の教材研究例を知っておくこと
11．教材研究(2)　教材の価値と順次性
準備学習：中学校化学分野の学習内容を把握しておくこと（検定教科書用意）
12．教材研究(3)　植物の何を教えるのか
準備学習：中学校生物分野の学習内容を把握しておくこと（検定教科書用意）
13．教材研究(4)地学教育の課題は
準備学習：中学校の地学分野の内容を把握しておくこと（検定教科書用意）
14．教材研究(4)　認識過程を踏まえた授業づくりへ
準備学習：現場教師の実践記録を読んでおくこと　　
15．事故防止・安全に配慮した授業
準備学習：ひやりとした体験事例とその原因を考えておくこと
16．教科書に見る日本の理科教育の特徴─教科書や学習内容の違い
準備学習：可能なら外国の科学教科書を見ておくこと（英和辞典用意）
17．米英の教育改革
準備学習：欧米の教育の現状について情報を集めること
18．誰の、何のための教育か
準備学習：日本の教育改革の経緯について調べてみること
19．フィンランドの教育
準備学習：フィンランドの教育の現状について情報を集めること
20．東アジア（韓国、中国）の教育
準備学習：韓国、中国の教育の現状について情報を集めること
21．日本の理科教育の歴史(1)　教科書等に見る戦前の理科教育
準備学習：学制発布以後の教育史の概要を把握しておくこと
22．日本の理科教育の歴史(2) 学習指導要領の変遷にみる戦後の理科教育
準備学習：参考書p243〜250を読んで理解しておくこと
23．現職教員の話(1)理科教育の授業の実際（中または高校の現場から）
準備学習：
24．目指す「確かな学力」とは　─「ゆとり教育」から学力重視の教育へ─
準備学習：学力低下論争で何が問題にされたかを調べてみること
25．PISAの結果と学力のグローバル・スタンダード化
準備学習：なぜOECDがPISAを始めたのか(PISAの背景)を調べてみること
26．現職教員の話(2)理科教育の先進校の取り組み
準備学習：ＳＳＨや公立の中高一貫校の歴史と背景を調べておくこと
27．新学習指導要領とこれからの理科教育
準備学習：中学校または高等学校の学習指導要領解説理科編の第1章を読んでおくこと
28．どのような理科教育を目指すか(1)グループ討論
準備学習：発表する内容をあらかじめ考えておくこと
29．どのような理科教育を目指すか(2)代表の発表と全体討論
準備学習：代表者は効果的な発表をするための準備をしておくこと
30．学習成果の確認（レポート作成）
準備学習：討論の内容を生かし、自分の理科教育観をもてるようにすること

＜成績評価方法及び水準＞

毎回の授業でのレポートの提出をもって評価する。Ａ（５点または４点）、Ｂ（３点）、Ｃ（２点）、Ｄ（１点）の５段階で評価し、評価点の合計の満点を100点に換算して60点以上を合格とする。

＜参考書＞

左巻健男・内村浩編著『授業に生かす！　理科教育法　中学・高等学校編』（東京書籍）

＜オフィスアワー＞

授業開始前30分間（12Ｆ講師控室）

＜学生へのメッセージ＞

内容は幅広く理科教育の周辺にあることを含めてたくさんのことを取り上げます。問題意識をつくるきっかけになってほしいと思っています。理科教員を目指す人ばかりでなく、理科・科学教育に関心のある人も歓迎です。授業は学生（生徒）と一緒に作るもの。単に聞くだけでなく積極的に発言し、自分の考えを持ったり、他の人の考えを聞いて改めて考えみるような学びを深めていく場にできたらと考えています。

＜備考＞

できれば現在使われている中学校理科教科書を用意してください（どの出版社のものでも構いません。無理なら自分が使っていたものでも可）。

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