2013年度工学院大学 建築学部

化学研究法(K)[3463]

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2単位
河野 博之 准教授  
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最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
講義と実験を組み合わせた形式の授業である。一般教養として基礎的な化学理論を、講義と実験を通じて検証する。まず講義で現象の理論と背景を学び、実験でその現象を実際に確認する。その後のレポートで具体的な現象から本質となる理論を抽出する過程を学ぶ。最終的に化学の方法論を身につけた広い視点から物事を思慮できる人格の形成を目指す。
以下に具体的な達成目標を示す。
1)無機陽イオンの分離・確認を通して定性分析の基本を理解する。
2)中和滴定操作を通して定量分析の基本を理解する。
3)無機化合物の合成法とその精製法を理解する。
4)高分子有機化合物を合成し、重合の概念を理解する。
5)実験ノートへの記録とレポートの作成を通して、現象の観察と記述、実験データの解釈、結果の評価と報告についての基本を身につける。

(前提となる基礎知識と修得後の展開)
本科目の履修の前提となる知識・科目は特にないが、1年の「化学概論」を履修していることが望ましい。化学を得意としない学生は、授業の進行に応じて必要な基礎知識を自ら修得することに努めてほしい。本科目で化学の方法論を習得することは、今後の専門科目の理解に有用なばかりでなく、将来社会人となったときに論理的思考ができることにつながる。

<授業計画及び準備学習>
高校で化学を十分学習していない学生に配慮し、取り扱う化学現象は高校化学程度の内容が主である。しかし、理論や実験データの取り扱いはより厳密になる。下記の授業計画は実験の準備の都合でやむを得ず変更になることがありうる。

第1週:履修ガイダンス、実験上の注意。(講義)
 [学習内容] 授業進行・成績評価等の説明。実験の安全と実験レポートに関する注意。
 [学習準備] 特に必要ない。
第2週:無機陽イオンの性質。(講義)
 [学習内容] 無機陽イオンの性質と分析原理を学ぶ。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、講義後に復習し理解すること。
第3週:無機陽イオン各個別反応。(実験)
 [学習内容] Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+イオンの化学反応を試みる。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第4週:第一属・第三属混合試料の分析。(実験)
 [学習内容] Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第5週:第一属・第三属未知試料の分析。(実験)
 [学習内容] 第一属・第三属イオンの未知試料溶液から各イオンを分離・同定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第6週:無機陽イオンの性質についての講評・試問。(講義)
 [学習内容] 理論に基づき自分の実験結果の正当性を評価する。
 [学習準備] レポートを作成し、自分の実験結果を精査しておくこと。
第7週:中和滴定と指示薬。(講義)
 [学習内容] 中和滴定の理論と指示薬について学ぶ。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、講義後に復習し理解すること。
第8週:酸塩基指示薬の呈色反応。(実験)
 [学習内容] 数種の酸塩基指示薬を用い、pHの変化に伴う指示薬の色変化を観察する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第9週:市販食酢中の酢酸成分の定量。(実験)
 [学習内容] 濃度既知のアルカリ標準液を用いて、市販食酢の酢酸濃度を滴定法で決定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第10週:中和滴定についての講評、試問。無機合成。(講義)
 [学習内容] 理論に基づき実験結果の正当性を評価する。硫酸銅の合成と再結晶の理論を学ぶ。
 [学習準備] レポートを作成しておくこと。硫酸銅について講義後に復習し理解すること。
第11週:硫酸銅の合成と再結晶。(実験)
 [学習内容] 無機化合物である硫酸銅を合成し、再結晶法による精製を行う。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第12週:無機化合物合成についての講評・試問。有機合成。(講義)
 [学習内容] 理論に基づき実験結果の正当性を評価する。高分子合成の理論を学ぶ。
 [学習準備] レポートを作成しておくこと。高分子合成について講義後に復習し理解すること。
第13週:ナイロンの合成実験(実験)
 [学習内容] 有機化合物である合成高分子ナイロン-6,10を合成する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第14週:有機合成の講評・試問。(講義)
 [学習内容] 理論に基づき自分の実験結果の正当性を評価する。
 [学習準備] レポートを作成し、自分の実験結果を精査しておくこと。
第15週:学習成果の確認。
 [学習内容] 学習成果のまとめ(試験)。
 [学習準備] 授業全体を復習し、内容、理論、結果などを理解しておくこと。

<成績評価方法及び水準>
講義と実験を組み合わせた科目であるので、実験への出席と全てのレポート提出を評価の前提とする。試験を50点、実験レポートを50点とする。実験への欠席・遅刻・レポート未提出などは減点対象とする。成績はそれらの合計点で評価する。評価法の詳細は最初の授業の際に説明する。

<教科書>
教材は初回に配布するテキストを使用する。

<参考書>
「化学実験 第3版」東京大学教養学部化学教室化学教育研究会編 東京大学出版会
「フォトサイエンス 化学図録」数研出版
「ダイナミックワイド 図説化学」東京書籍

<オフィスアワー>
特に指定しない。授業の前後および研究室在室中(八王子4号館4-105号室)は、質問を歓迎する。但し、常に研究室に在室しているとは限らないのでE-mailを利用するか、来室を事前に連絡すること(ft13023@ns.kogakuin.ac.jp)。

<学生へのメッセージ>
理論の講義と実践(実験)を組み合わせた、新しい試みの授業である。理論で学んだことを、実験とレポート作成の作業を通して、自然現象を統合・整理する能力、論理的文章の構成力などを養い、科学的に広い視点から物事を思慮できるようになってもらいたい。実験の際には、安全に注意しつつ、興味を持って主体的に実験に取り組んでほしい。また、実験への欠席は減点対象であるので、健康に留意し体調を整えて実験に臨むことも、社会人となる上で貴重な経験となるであろう。

<備考>
履修希望者が化学実験室(八王子4号館4-101号室)の収容人数(60名)を超えた場合は、抽選となる場合がある。履修希望者は初回の授業に必ず出席すること。

 

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