2013年度工学院大学 建築学部
線形代数学I(Linear Algebra I)[4220]
2単位 河野 真士 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 連立1次方程式の解法については、古くよりさまざまな研究が行われてきました。連立1次方程式、と聞くと簡単そうな印象を受けますが、例えば
「100個(もしくはそれ以上) の未知数からなる連立1次方程式を解け」 という問題を手計算で解く事はもはや現実的には不可能でしょう。しかしこのような一見無茶な問題は、 実は現代の科学技術を支える工学の様々な分野において頻繁に現れ、そこではコンピュータを駆使することで方程式が解かれているのです。
コンピュータを利用するしないに関わらず、多変数からなる量を取り扱うための土台となる数学の一分野が線形代数学です。線形代数学は、連立1次方程式の解法を一つの柱に、その他ベクトル、行列、行列式、1次変換などの諸概念が合わさって体系化されることで発展してきました。
「線形代数学I」では線形代数学の代数的な側面、特に 1.行列の概念とその計算 2.行列を利用した連立1次方程式の解法 3.行列式の概念とその計算
の各項目について、基本的かつ実用的な問題を解けるようになることに目標に講義を行い ます。講義ではなるべく演習時間の確保につとめ、加えて高等学校で数学C(行列) を履修していな い学生についても十分に配慮する予定です。
(前提となる基礎知識と習得後の展開) 高校数学で学習したこと(数学III・Cを除く)を前提としますが、高校の数学の学習が十分でない学生にも配慮します。習得後は「線形代数学II」でさらに線形代数学の知識を深めると共に「数値計算法I」ではより実際的な計算手法を学ぶことになります。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 [行列-1] ガイダンス, 行列の定義と線形演算
第2回 [行列-2] 行列の積と基本法則 第3回 [行列-3] 行列の積の性質, 行列の転置 第4回 [行列-4] 逆行列とその性質, (ブロック分割による積の計算) 第5回 [連立1次方程式-1] 2元連立1次方程式, 連立1次方程式の行列表現 第6回 [連立1次方程式-2] 行列の基本変形、階段行列と階数 第7回 [連立1次方程式-3] 連立1次方程式の解法 第8回 [連立1次方程式-4] 同次連立1次方程式, 逆行列の計算 第9回 [行列式-1] 2次, 3次の行列式, 順列とその符号 第10回 [行列式-2] 一般の行列式の定義, 行列式の基本性質 第11回 [行列式-3] 行列式の計算と基本変形 第12回 [行列式-4] 積の行列式, 行列式と正則性 第13回 [行列式-5] 行列式の余因子展開 第14回 [行列式-6] (逆行列の公式, クラメルの公式) 第15回 [学習内容の確認] 定期試験
以上の予定に従って講義を進め、合わせて毎講義時に可能な限り演習時間を取れるよう配慮します。
注意事項: 1.毎回レポートを出します。 2.授業計画の( )の項目については、理解状況や進度などを判断して内容の短縮や省略を行う可能性があります。
準備学習:当たり前のことですが、[予習] 教科書を読む、[復習] レポート問題を解く、 の2点を毎回の準備学習とします。
[予習] 次の回に学習する項目について教科書を調べ、だいたいの「あらすじ」、特に ・用語のだいたいの意味 ・例題のたいたいの内容 を知った上で講義に臨むようにしてください(理解できるできないは別として)。さらに進んで、 ・学習内容について、これまでに学習した数学と関連付けてイメージを持つこと ができるようになれば、講義の理解度は格段に上がることを確信しています。
[復習] 復習の基本は、 ・学習した内容について、「自分の頭」を使ってもう一度考え、より深い「理解」につなげる ・理解した内容について、「自分の手」を動かして練習することで、「定着」につなげる の2点です。 定着のための問題等については、各講義においてこちらで指示する予定です。
- <成績評価方法及び水準>
- 定期試験の得点(100点満点)を成績とし、成績が60点以上の場合を合格とします。
- <教科書>
- コアテキスト 線形代数 鈴木香織著(サイエンス社)
をベースに講義を行います。 初回講義時に教科書を必ず持参してください。
- <参考書>
- [1] 入門 線形代数 三宅敏恒著(培風館)
[2] 理工基礎 線形代数 高橋大輔著(サイエンス社) [3] 理工系のための解く!線形代数 筧・西成共著(講談社) [4] キーポイント線形代数 薩摩・四ツ谷共著(岩波書店) [5] 単位が取れる線形代数ノート 齋藤寛靖著(講談社)
- <オフィスアワー>
- 木曜日の昼休み、講師室にて対応します。
- <学生へのメッセージ>
- 数学の勉強の仕方など、わからないことがあったら何でも質問してください。
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2013 Kogakuin University. All Rights Reserved. |
|