2013年度工学院大学 建築学部
△微分積分I(Calculus I)[3326]
2単位 片野 修一郎 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 専門課程で数学や物理を学ぶ時、きちんと理解できるように、微積分の概念的な理解と実際の運用技術の修得の両方を目標とする。余裕があれば、論理体系の典型としての、また人類が築いた壮大な思想体系としての数学の側面も味わって欲しい。具体的には、(1)関数・極限・微分の意味を理解し、いろいろな関数の導関数が求められること。特に重要なのは、合成関数の微分である。これがきちんとわかるかどうかが運命の分かれ道だと思っても良い(2)Taylorの定理の意味を理解し、いろいろな解析関数のTaylor展開ができること(3)積分の計算技術を身につけること、を主な目標とする。基礎数学で学んだことは前提として進めます。内容的には、高校数学III+αです。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.関数の極限
準備学習:前期基礎数学で学んだこと(必要なら高校数学の教科書)を読み直すこと。 2. 微分係数と導関数 準備学習:前期基礎数学で学んだこと(必要なら高校数学の教科書)を読み直すこと。 3.導関数の基本的性質 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 4.べき関数と三角関数の導関数 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 5.自然対数eの導入と指数関数の導関数 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 6.初等関数の導関数(合成関数の微分法。ここが最大の山場です) 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 7.逆関数とは?(逆三角関数/逆関数の微分法) 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 8.初等関数の導関数のつづき(対数関数の導関数および対数微分法)と演習 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 9.高次導関数と演習 合成関数微分を徹底的に理解しておくことが必要なので、主に演習用に使いたい。 10.Taylor/Mac'Laurinの定理とその意味・演習 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 11.積分とは?(Riemann積分の定義と微分の逆の意味での基本的な関数の積分公式) 準備学習:高等学校数学IIの教科書の積分の箇所をよく読んで復習しておくこと。 12.積分の計算技術I(置換積分法)と演習 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 13.積分の計算技術II(部分積分法)と演習 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 14. 有理関数の積分/広義積分 準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。 15. 学習成果の確認(前期末試験) 準備学習:理解しないで公式だけ覚えても無駄です。パニックに陥るだけです。全般に復習して十分に計算練習を積むこと。
内容が少し多いので、前期基礎数学の復習をしている時間的余裕はありません。積分についても、前期にある程度話してあるはずなので、順調に行けば上記予定より少し前倒しで進みます。
- <成績評価方法及び水準>
- 期末試験一回で評価。授業時に配布する演習問題のプリント中から出題する予定。
他に、時間の許す限り授業時に演習を行うので、黒板で解答をした者には平常点を与え、試験の点数に加算する。また、授業時の質問に答えた場合やレポート課題を提出した場合も適宜平常点を与える。以上の合計点が基準に達した者を合格とする。評価は厳格に行い、追試措置等は一切しない。
- <教科書>
- 授業は自前のプリントを中心に進めます。特定の教科書をなぞることはしませんから、自分の気に入った本があればそれを用意すればよい。教科書としての微積分の本はどれも大同小異です。最近は、学生の学力が多様化し、それに応じて様々なスタイル・レベルの本が出ているので、自分の実情に合った、自分にとって読みやすい本を選んでそれを手元に置いておくのが一番よいと思う。四年間使えるのだから、理工系の学生として微積分の本は必ず一冊は手元に置いて、必要な時にいつでも参照できるようにしておかなければならない。一応、次を挙げておく。
長崎憲一・横山利章「明解 微分積分」(培風館) この本は高校数学の復習を含めて易しく丁寧に書いてあり、例題や練習問題も豊富なので自習するにも適していると思う。 しかし、最も良いのは高等学校の教科書をきちんと読み直すことである。高校での学習が不十分な人はとにかく高等学校数学II(必要なら数学Iも)の教科書を丹念に読見直すこと、これに尽きる。
- <参考書>
- 最近はいろいろなタイプの微積分の参考書が出版されている。足を運んで、実際に手に取って、自分の気に入ったもの・自分のニーズに適ったものを選ぶのが一番よい。迷うくらいなら、高等学校の教科書を手元に置いて必要に応じて参照する、あるいは注意深く読み進むだけで十分だと思う。その際は、色刷りの公式の部分と例題だけを見るのではなく、地の説明文をきちんと読むようにしよう。
- <オフィスアワー>
- 授業の前後の休み時間、八王子校舎新館講師室で。質問歓迎します。
- <学生へのメッセージ>
- まず、前期基礎数学をきちんと理解しておくこと。基礎・基本に重点を置いて話すつもりだが、近年、意味もわからないまま、ただ問題の解き方だけを丸暗記しようとする傾向が非常に強く、教員として危機感を強くしている。概念をきちんと理解しないまま解き方の丸暗記をすることは全く勉強したことにならないので、空しい作業に過ぎず、結局時間の無駄になります。きちんと理解することのみがあなたの頭脳を本当に耕すことになります。そしてそのように耕された頭脳は将来、あなたに絶大な力を貸してくれるでしょう。高等学校で数学をあまり学んでこなかった人は、学習支援センターを積極的に利用することを推奨します。また、2011年度をやってみて、積分が理解しにくい人がとても多いように感じました。なるべく積分に多くの時間を割けるように配慮しますが、そうすると指数関数や対数関数の説明に多くの時間が割けません。前期の基礎数学が本当にしっかり理解できていることが前提になります。
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