2013年度工学院大学 建築学部
△物理学概論A(K)[2217]
2単位 進藤 哲央 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 理学概論Aでは,物理学の最も基本的な分野である。力学とよばれる分野を中心に学習する。力学とは、力や運動に関する法則を体系化したものである。これは,構造力学等の建築を学ぶ上で必要となる分野の入口であり,基礎である。
この授業を通して,力学で登場する概念や用語の意味を正しく理解してほしい。
この講義では、力学を題材に、以下のようなものごとのとらえ方や考え方の習得を目的としたい。 1) 自然科学というものの基本的スタンスについて理解し,科学的なものの考え方を身につける。 2) 力学の基本法則の意味について理解する.また,力学に登場する概念や用語の意味を正確に把握できるようにする。 3) 構造力学を学ぶために必要な力学の知識を習得する。 4) 力学の学習を通して,微分や積分といった数学の道具としての使い方を学ぶ。
- <授業計画及び準備学習>
- 授業をはじめるにあたって
a) 授業の進め方 b)物理学とは何か c)数学と物理 [準備学習]高校の数学の復習をしておくこと。2回目以降の準備学習については1回目の授業時に指示する。
- 単位と次元
a) 物理量 b) 単位系と単位 c)単位と次元
- 力のつりあい I (1次元)
a) 力の3要素 b) 慣性の法則と作用反作用の法則 c)重力と弾性力
- 力のつりあい II (2次元以上)
a) ベクトル b) 力の合成と分解 c) 重力と重心
- 運動の表記
a) 位置 b) 速度と微分 c)加速度
- 運動の3法則
a)慣性の法則 b)運動方程式 c)作用反作用の法則
- 運動方程式の一般的性質と力の再定義
a) 落体の法則と重力 b) 惑星運動と万有引力 c)運動方程式を解くということ
- 運動の例 1 (抵抗力)
a)摩擦力について b)空気抵抗のもとでの落下運動
- 運動の例 2 (自由振動)
a) ばねによる力 b) 運動方程式を解く c)単振動の性質
- 運動の例 3 (複雑な振動)
a) 減衰振動 b)強制振動
- 仕事とエネルギー
a) 仕事とは b) 仕事とエネルギーの関係
- ポテンシャルとエネルギー保存則
a) 保存力とは b)エネルギー保存則とポテンシャル
- エネルギーの観点から運動を見直す
a) 重力 b) 単振動 c)衝突問題
- 総復習と問題演習
- 学習内容の確認
- <成績評価方法及び水準>
- 最終評価は,(A)定期試験の点数,(B)定期試験50%授業中の課題や小テスト50%,の両方を100点満点で評価し,得点の高いものを最終評点とする。60点をもって合格点とする。
- <教科書>
- この授業は主に以下の教科書の内容に基づいて授業を行う。これらのうちからどれか1冊を選んで購入し,適宜参照すること。
(A) 前野昌弘著 『よくわかる初等力学』東京図書 (B) 江沢洋著『力学 高校生・大学生のために』日本評論社 (C) 加藤潔著『理工系 物理学講義』培風館
- <参考書>
- 教科書選びの参考として,いくつかの本をリストしておく.
『一般物理学 上・下』太田信義 (パリティ物理学コース) 上記の本と同じく,物理の基礎的な分野について簡潔にまとめられています. 『新・物理学入門』山本義隆 (駿台文庫) 大学入試の参考書ですが,物理学Iでやる内容については充分な内容があります. 『物理入門コース 力学』戸田 盛和 (岩波書店) きわめて標準的な力学の教科書, 『力学の考え方』砂川重信 (岩波書店) これも標準的な力学の内容をあつかっている教科書 以下は講義内容とは直接関係ありませんが,おすすめの本をいくつか挙げておく. 『数学ガール』結城浩 (ソフトバンククリエイティブ) 数学の楽しさが詰まった本.数学アレルギーの人におすすめ. 『高校で教わりたかった物理』田口善弘 (日本評論社) 物理っぽいものの見方について書かれた本. 『サはサイエンスのサ』鹿野司 (早川書房) 科学の色々な話題が面白く紹介されています. 『科学と神秘のあいだ』菊池誠 (筑摩書房) 科学的考え方に関するエッセイ.
- <オフィスアワー>
- 火曜日 15:00-16:30
水曜日 13:00-14:30 八王子キャンパス1-323号室
- <学生へのメッセージ>
- 高校物理の知識は前提としません,高校数学の知識は必須です.高校で学習した数学(特に関数,微分積分等)に自信がない場合は,しっかり復習しておいてください.
授業中の講義内容に関する質問は大いに歓迎します. オフィスアワーを設けているので,授業に関する質問等に利用してください. オフィスアワー以外でも,質問がある場合には,電子メールを利用して質問してください.月木金は基本的に新宿キャンパスにいます.通学路等の関係で,新宿のほうが質問するのに都合がよい場合も,あらかじめ電子メール等で連絡した上で,質問等に訪れてください. 受講者の層が広いため,退屈に感じたり難しく感じたりする人が出てくるかと思いますが,そういう場合は特にオフィスアワーや電子メールを利用してコンタクトをとることをおすすめします. 力学に限らず,理系の学問では,自分で手を動かして問題を解いたり,教科書に載っている式を自分で変形して,公式を導出したりすることが,内容の理解を助ける重要な要素になります.講義時間は限られているため,講義のみでは,これら基礎訓練のための時間が十分にとれません.これらを補うために,上に挙げた参考書等にのっている問題を自分で考えて解く等,自習することが大切です. 授業時間だけで,全てを理解することは不可能であると思っておいてください.
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