2013年度工学院大学 第1部建築都市デザイン学科

世界の文学A(World Literature A)[5B05]

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2単位
吉田 司雄 教授  
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最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 サマセット・モームの挙げた「世界の十大小説」を数年かけて読んでいきたい。そう思い定めて今年で6年目である。2008年度はドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』全5冊を読了した。亀山郁夫の新訳(光文社古典新訳文庫)が100万部を超えるベストセラーとなり、今年テレビドラマにもなった評判作である。2009年度はスタンダールの『赤と黒』とエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、2010年度はバルザック『ゴリオ爺さん』とメルヴィル『白鯨』、2011年度はジェイン・オースティン『高慢と偏見』とフローベール『ボヴァリー夫人』、そして昨年度はトルストイの大作『戦争と平和』を読んできた。
 本年度は残された、チャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』(とできればヘンリー・フィールディングの『トム・ジョーンズ』)にチャレンジする。映像資料を随時参照しつつ、19世紀イギリス文学を代表する超大作小説を読破する。昨年生誕200年を迎えたディケンズの生涯、イギリス・ビクトリア朝の社会や文化などにも目を向けながら、文学テクストの読解力を養うこと、自分の意見を自分の言葉で書ける表現力を身につけることを目標としたい。

<授業計画及び準備学習>
 1 ガイダンス(履修上の注意と毎回提出の課題の説明)
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を入手し読みはじめる
 2 チャールズ・ディケンズとその時代(1)
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を指定の箇所まで読了しておく
 3 チャールズ・ディケンズとその時代(2)
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を指定の箇所まで読了しておく
 4 チャールズ・ディケンズとその時代(3)
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を指定の箇所まで読了しておく   
 5 『デイヴィッド・コパフィールド』をどう読むか
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を指定の箇所まで読了しておく  
 6 『デイヴィッド・コパフィールド』をどう考えるか
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を指定の箇所まで読了しておく
 7 『デイヴィッド・コパフィールド』を批評する(1)
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』を読了しておく
 8 『デイヴィッド・コパフィールド』の批評を相互批評する
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』の批評を書いておく
 9 『デイヴィッド・コパフィールド』の批評する(2)
    準備学習:『デイヴィッド・コパフィールド』の批評を書き直しておく
10 『デイヴィッド・コパフィールド』から『トム・ジョーンズ』へ(1)
    準備学習:『トム・ジョーンズ』を読んでみる
11 『デイヴィッド・コパフィールド』から『トム・ジョーンズ』へ(2)
    準備学習:『トム・ジョーンズ』を読んでみる
12 『デイヴィッド・コパフィールド』から『トム・ジョーンズ』へ(3)
    準備学習:『トム・ジョーンズ』を読んでみる
13 『デイヴィッド・コパフィールド』から『トム・ジョーンズ』へ(4)
    準備学習:『トム・ジョーンズ』を読んでみる
14 ディケンズからフィールディングへ―小説(novel)の起源
    準備学習:リチャードソン『パミラ』を読んでみる
15 学習成果の確認(最終レポート作成)
    準備学習:授業での指示を守り、「自分の言葉で」批評を書き上げる

<成績評価方法及び水準>
 「文学」の授業では、まず取り上げる作品をきちんと読むことが基本。毎回宿題に課したところまでの感想文等を執筆してもらうと共に、未知のクラスメート間で回覧し相互批評を行う。その他宿題や授業中の提出物をもとに平常点を算出。学期末提出の批評レポートとあわせて評価し、60点以上の者に単位を認める。最終の批評レポートの比重は約6割。ただし、平常点が一定の点数に達しない者の批評レポートは、採点対象としない。最終レポートのみ提出しても単位はとれない。

<教科書>
 チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(新潮文庫、中野好夫訳、全4冊)
 抄訳やマンガ版でなければ、岩波文庫(石塚裕子訳、全5冊)や文学全集本で読んでも構わない。

<参考書>
 教場で随時紹介する。

<オフィスアワー>
 新宿校舎2772研究室 月12:20〜12:40
 それ以外は教員に直接たずねること。

<学生へのメッセージ>
 『デイヴィッド・コパフィールド』をともかく一日も早く読了(過去に読んだことがある人は再読了)することが必要。新潮文庫で全4冊、2000頁近い大作であるが、遅くとも5月末までには読みあげないと、授業についていけなくなる。通学往復の車中などを利用して、長編小説を読み進めていくための時間を作り、読みはじめた以上は最後まで読み通す決意を固めてほしい。
 読み終わったらヘンリー・フィールディング『トム・ジョーンズ』(岩波文庫、朱牟田夏雄訳、全4冊)、さらにこれまで取り上げてきたドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』、スタンダール『赤と黒』、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、バルザック『ゴリオ爺さん』、メルヴィル『白鯨』、オースティン『高慢と偏見』、フローベール『ボヴァリー夫人』、トルストイ『戦争と平和』にもチャレンジしてみてほしい。
 この授業は作品を先に読んでいなければどうにもならない。文庫本の厚さに臆することなく、この機会に世界文学中の大傑作と呼ばれる長篇小説にどんどんチャレンジしてみようという心意気のある学生にだけ受講してほしいと思う。そして、欠席すると授業中に行われる課題への参加に支障が生じる(他の学生たちにも迷惑をかけることになる)ので、登録した以上は一回も休むことなくきちんと出席するよう強くお願いする。

 

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