2013年度工学院大学 第1部電気システム工学科

化学I(Chemistry I)[3513]

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2単位
河野 博之 准教授  
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最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
理工系大学生として必要な化学の基礎知識を身につけることをねらいとする。高校化学程度の基本的な事項からはじめるが、最終的にはより理論的で厳密な内容も取り扱う。講義を通して環境問題に対する化学の役割、人間生活や社会生活における化学の成果などを知り、化学の視点から自らの専門分野を見直すことが目標である。
以下に具体的な達成目標を示す。
1)原子の構造を理解し、そこから化学結合の本質を説明できるようになる。
2)化学反応に関する簡単な化学計算ができるようになる。
3)ミクロな分子とマクロな物質を結ぶ動的平衡の概念を理解する。
4)酸と塩基の定義とそれらの反応について理解する。
5)酸化還元反応の本質とその電気化学との関連について理解する。

(前提となる基礎知識と修得後の展開)
本科目の履修の前提となる知識・科目は特にないが、「化学実験」を1年次に履修しておくと本科目の理解の助けになる。化学を得意としない学生は、学習支援センターの基礎講座・個別指導を最大限利用し、授業の進行に応じて必要な基礎知識の修得に努めてほしい。また、本科目で化学の基本的素養を習得することは、今後の専門科目の履修ばかりでなく工学全分野で有用である。

<授業計画及び準備学習>
この講義では毎回、資料や演習問題集を配布する。

第1週:授業計画の説明、物質の分類、物理量と単位
 [学習内容] 授業計画・評価方法等を説明したのち、授業を開始する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第2週:原子の構造と原子量、物質量(モル)
 [学習内容] 原子の構造を理解した上で、化学の基本概念の原子量、物質量を理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第3週:原子モデルと電子軌道
 [学習内容] 原子中の電子の振る舞いを理論的に理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第4週:電子配置と元素の周期性
 [学習内容] 元素の周期性(周期表)をシュレディンガー方程式の解から理論的に導く。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第5週:化学結合と電子、イオン結合と金属結合
 [学習内容] 原子間の結合の本質が電子であることを理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第6週:共有結合と分子
 [学習内容] 原子間の共有結合が分子を形作ることを理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第7週:物質の三態、気体分子の状態方程式、結晶構造
 [学習内容] マクロな物質の状態がミクロな分子の集合状態の反映であることを理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第8週:相平衡、溶液の束一的性質
 [学習内容] 相平衡を題材に動的平衡の概念を理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第9週:化学平衡、質量作用の法則
 [学習内容] 化学反応における動的平衡の概念を理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第10週:反応速度、反応に伴う熱収支
 [学習内容] 化学反応の進行に伴うエネルギー変化を理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第11週:酸と塩基、中和反応、酸・塩基の強弱
 [学習内容] 酸・塩基の定義、それらの強弱と中和反応の関係を理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第12週:中和反応、加水分解と緩衝液
 [学習内容] 酸・塩基平衡を基にさまざまな水溶液のpHを計算する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第13週:酸化と還元、酸化数
 [学習内容] 酸化還元が電子の移動であることを理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第14週:酸化還元電位、電池と電気分解
 [学習内容] 酸化還元と電気化学の関係を理解する。
 [学習準備] 教科書・参考書の該当箇所を参考に、配布演習問題を解いて知識を定着させる。
第15週:講義のまとめ
 [学習内容] 第14週までの授業をまとめる。
 [学習準備] 第14週までのノートを再読し、演習問題集を解いて知識を定着させること。

<成績評価方法及び水準>
原則として定期試験(100点)で評価する。授業中に課した演習問題の成績良好者には、定期試験の得点に演習問題の成績に応じて最大20点まで加点した上で、それらの合計が100点を越えないように規格化した評価点で評価する。評価点が59点以下のものに対して、課題を課す場合もあるが、その内容が単位認定相当と認められる場合の評価点は60点となる。

<教科書>
講義内容は下記の教科書に準じる。授業自体は配布資料と演習問題集を用いる。
「大学生の化学 Introduction」佐藤光史監修 河野博之・永井裕己共著 培風館 (近刊予定)

<参考書>
「マンガ 化学が驚異的によくわかる」ラリー・ゴニック,クレイグ・クリドル著 小林茂樹訳 白揚社
本書は挿絵を多用した化学の啓蒙書であるが、高校の復習から大学初年度レベルの化学の内容をきちんと説明してある。講義だけではイメージがつかみにくい概念を視覚的に理解するのに役立つ。

「基礎化学」化学教科書研究会編 化学同人
「第3版 化学−物質・エネルギー・環境」浅野努・荒川剛・菊川清・榊原邁著 学術図書出版社
以上の二編は、化学系大学生が1年生のうちにマスターすべき内容がコンパクトにまとめられている。高校で化学IIまでマスターした学生の参考書としてはこちらを薦める。

「化学 基本の考え方を中心に」A. Sherman, S. Sherman and L. Russikoff著 石倉洋子・石倉久之訳 東京化学同人
「実感する化学(上下)」A Project of the American Chemical Society 廣瀬千秋訳 エヌ・ティー・エス
以上の二編は、アメリカの教養課程向け化学教科書の和訳である。国際的には、これらの本にある化学知識が「社会人」の常識であると考えてよい。大量の易しい演習問題に答えながら基礎を固めていくスタイルなので、自力で問題に取り組む覚悟のある学生に薦める。
その他の参考書は講義の際に紹介する。

<オフィスアワー>
特に指定しない。授業の前後に講師室に在室しているとき、および研究室在室中(八王子4号館4-105号室)は、質問や相談を歓迎する。但し、常に研究室に在室しているとは限らないのでE-mailを利用するか、来室を事前に連絡すること(ft13023@ns.kogakuin.ac.jp)。

<学生へのメッセージ>
本授業は再履修クラスですので、単位取得に不安のある諸君も多いと思います。しっかり授業に参加し、演習問題を自力で解きながら基礎力をつけてください。授業でわからないところは、質問したり参考書を読んだりすることですぐに解決してください。「高校で化学を習っていないから授業がワカラナイ」という諸君は、学習支援センターの基礎講座と個別指導をおおいに利用してください。「わからない、知らない」ということが悪いのではありません。わからないことをそのままにしておくから恥ずかしいのです。

 

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