2013年度工学院大学 第1部電気システム工学科

物理学実験(Experiments in Physics)[3320]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

1単位
渡部 隆史 教授  
[ 教員業績  JP  EN ]
矢吹 文昭 非常勤講師
吉村 季織 非常勤講師

最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
物理学に限らず,理工学を学ぶ上では理論を学び(講義),理論を応用する(演習)だけでは不十分であり,実験による物理事象の検証・発展を必要とする。そのためには,理論の理解に加え,

  • 測定装置の構造の理解,適切な使用
  • 正確な実験の実行
  • データ(特に誤差,精度)の正しい理解
  • 必要事項をすべて網羅しかつ無駄のないレポートによる報告

が必要となる。本授業では,基本的な物理事象を用いて,これらの点について基本的理解・実践を行うことを目的とする。
実験に対する理解の度合いは,報告レポートに如実に現れる。また,レポートをまとめることにより実験の理解を深めることにもなる。「授業計画」に示す実験テーマごとに報告レポートを提出してもらい,各実験そのものだけではなく,実験とは何かを理解していく。最終的には,実験について何も知らない読者が初読で追実験を行うことができるレベルのレポートをまとめることができるようにする。
また,研究報告には「早い者勝ち」的なところがある。したがって,どんなに小さな実験であっても,どんなに基本的な実験であっても,速やかに報告をまとめる訓練を今から始める必要がある。そういったわけで,レポートの締め切りについては厳しくするつもりでいる。

<授業計画及び準備学習>
授業計画:
<第1週>実験の概要説明
<第2,3,4週>
実験テーマ00:ノギスとマイクロメータ
  誤差の取り扱いと誤差伝搬についての解説,レポート作成の基本的な説明
<第5,6週>以下のテーマから1テーマ
実験テーマ01:重力加速度の測定
  ボルダの振り子を用いた重力加速度の測定
実験テーマ02:音速の測定
  閉管気柱の定常波を利用した音速の測定
実験テーマ03:電気抵抗の理解
  電気抵抗に関する合成則の検証
<第7〜12週>以下のテーマから3テーマ
実験テーマ04:ヤング率の測定
  ユーイングの装置を使ったヤング率の測定
実験テーマ05:光の回折,干渉
  光の干渉現象を利用した微小サイズの測定
実験テーマ06:熱電対の校正
  物質の相転移を校正点とした熱電対の校正
実験テーマ07:粉粒体の密度測定
  比重瓶を用いた粉粒体(主として金属)の密度測定
実験テーマ08:電流による熱作用
  ジュール熱を利用した水の比熱測定
実験テーマ09:ガスの励起エネルギーの測定
  フランク・ヘルツ管を使ったネオンガスの励起エネルギー測定
実験テーマ10:電磁コイルの特性
  ソレノイドコイルのインダクタンス測定
実験テーマ11:放射線計測
  β線源から放出されるβ線のエネルギー測定
実験テーマ12:RC回路の特性
  RC回路の周波数特定と位相特性の測定
実験テーマ13:物質の磁気的特性の測定
  強磁性体の磁化曲線測定
<第13,14週>レポートの修正
<第15週>予備日

準備学習:
第5週以降の実験テーマの決定は,第2〜4週中に発表される。それを踏まえたうえで,実験テーマ00を含めたすべての予定される実験テーマについては,教科書の各テーマを読んで理解をしておくこと。
復習:
実験データのまとめとレポート作成が復習を意味することになる。漠然とまとめるのではなく,実験目的を常に念頭に置きながら,レポートにまとめること。

<成績評価方法及び水準>
実験テーマ00を除いた13の実験テーマはすべて,1テーマにつき2週にわたって行われる。全員が実験テーマ00を含めた5テーマの実験を行う。指定した実験すべてについて実験レポートの提出を必須とし,それぞれの実験テーマごとの実験報告レポートによって成績を評価する。

実験はテーマ00とほかの13の実験に分類され,テーマ00は,

  1. 概要
  2. 実験結果
  3. 解析結果
  4. 考察

について,それぞれにチェック項目を設定する。これらチェック項目にしたがい,3段階評価(0〜2)で評価する(8点満点)。さらに,物理内容について2点満点の評価を行う。したがって,10点満点となる(評価点A)。

ほかの13のテーマについては,

  1. レポートの概要
  2. 物理学的動機
  3. 実験方法・実験理論
  4. 測定結果
  5. データ解析
  6. 考察

に分け,それぞれにチェック項目を設定する。これらチェック項目にしたがい,4段階評価(0〜3)で評価する(18点満点)。さらに,物理内容について2点満点の評価を行う。したがって,1つのレポートについては20点満点となる(評価点B)。

以上の評価点Aと評価点Bによって,

(評価点)=(評価点A)+(評価点B)×(実験数)

の単純和を取り,これを100点に規格化して成績を評価する。

<教科書>
「物理学実験」(学術図書出版:工学院大学物理学教室編)

<参考書>
「新しい誤差論 - 実験データの解析法」(共立出版:吉澤康和)
「物理学講義 改定版」(培風館:加藤潔)

<オフィスアワー>
火曜日 12:40〜13:30 (八王子校舎総合教育棟01W-332室)

<学生へのメッセージ>
オフィスアワー以外でも質問は歓迎する。ただし,必ず研究室に在室しているとは限らないのでE-mailを利用するか事前にアポイントメントを取るように(ft11196[at]ns.kogakuin.ac.jp)。

<備考>
履修状況,学習目標の達成に合わせて,実験テーマ数を調整することがある。その場合,成績評価については,実験テーマ数に合わせてスケールした上で100点満点に調整する。

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft11196/

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2013 Kogakuin University. All Rights Reserved.