2013年度工学院大学 第1部電気システム工学科

物理学I(Physics I)[2312]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
加藤  潔 教授  
[ 教員業績  JP  EN ]

最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
工学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を学ぶ。
物理学Iでは力学が中心となる。高校での物理学未習者がいることも考慮して基礎的なレベルから講義を行う。
以下の項目を習得することを目標とする。
(1)各種の物理量と単位系、物理量の間の数学的関係の把握と計算ができること。ベクトル量の扱いを理解すること。
(2)各種の力(重力、抵抗力、復元力、向心力など)の意味が理解できること。
(3)具体的な対象が与えられたときに、前項の力を使って、運動方程式を書き下すことができること。2階微分方程式の範囲で、その方程式を解き、その結果の物理的意味が把握できること。
(4)エネルギーと運動量の保存則を理解し、対象に対して、これらの保存則を適用することができること。
(5)剛体のつりあい条件を理解し、対象に対して、これらの条件を適用することができること。

<授業計画及び準備学習>
1. 序論(1)。数学的準備。物理量。スカラーとベクトル。SI単位系。
(物理学の理解に必要な数学について説明する。物理量が値と単位を持つことを理解し,その単位の表現としてのSI単位系の構造,接頭語などを学ぶ。)
準備学習 教科書の付録(p.237-249)と1.1節を予習する。
2. 序論(2)。座標系。連続的変化と微分。速度と加速度。
(位置と速度の関係について詳しく議論し,連続的に変化する物理量の間の関係式が微分により表現されることを理解する。簡単な運動については,具体的に速度,加速度が計算できる。力などのベクトル量について,合成と分解,接線成分,法線成分の定義などを学ぶ。)
準備学習 復習・予習課題No.1を解いて提出する。
教科書1.2-1.5節を予習する。
3. 序論(3)。積分。初期条件。分布量の考え方。
(前回での位置と速度の関係を逆転して,物理量の間の関係式が積分により表現されることを理解する。そして,初期条件の重要性と使い方を学ぶ。密度を例として分布量(場)の扱いを理解する。)
準備学習 復習・予習課題No.2を解いて提出する。
教科書1.6節を予習する。
4. 質点力学(1)。力と質量。力のつり合い。ニュートンの力学法則。
(力の概念,質量の概念を学ぶ。質点の概念を理解する。力のベクトル和によるつり合い条件を学ぶ。ニュートンの3法則を学ぶ。)
準備学習 復習・予習課題No.3を解いて提出する。
教科書2.1-2.4節を予習する。
5. 質点力学(2)。等加速度運動。
(重力による運動を具体例として,等加速度運動の扱いを理解する。2次元の放物運動についても学ぶ。)
準備学習 復習・予習課題No.4を解いて提出する。
教科書を2.5.1-2.5.2節を予習する。
6. 質点力学(3)。抵抗力のもとでの運動。
(運動方程式の解法の例として,抵抗力を扱う。微分方程式の扱いについて概略を理解し,結果の物理的意味(終端速度など)を理解する。)
準備学習 復習・予習課題No.5を解いて提出する。
教科書2.5.3節を予習する。
7. 質点力学(4)。単振動。
(運動方程式の解法の例として,復元力を扱う。微分方程式の扱いについて概略を理解し,結果の物理的意味(単振動)を理解する。周期や振動数といった振動に関する重要な量を理解する。)
準備学習 復習・予習課題No.6を解いて提出する。
教科書2.5.4節を予習する。
8. 質点力学(5)。円運動。減衰振動。共鳴。非線形振動。
(円運動をしている質点に働く力,向心力を理解する。この定式化が地球の運動や原子の中の電子の運動にも使えることを学ぶ。前回の調和振動を元にして,数学的な側面よりも,現象と力がどのように関係しているかを,各種の振動現象について理解する。)
準備学習 復習・予習課題No.7を解いて提出する。
教科書2.5.5-2.5.6節を予習する。
9. 力学の保存量(1)。保存量の意義。仕事。
(保存量の概念について学ぶ。目に見えないエネルギーを理解するために必要な,正確な仕事の定義を理解する。保存力では仕事が経路によらないことを理解する。)
準備学習 復習・予習課題No.8を解いて提出する。
教科書3.1節を予習する。
10. 力学の保存量(2)。力学的エネルギー。
(力学的エネルギーとして,運動エネルギーとポテンシャルエネルギーについて学び,その簡単な応用例を扱う。)
準備学習 復習・予習課題No.9を解いて提出する。
教科書3.2節を予習する。
11. 力学の保存量(3)。運動量と角運動量。衝突現象。
(ベクトルの保存量である,運動量と角運動量について学び,その保存則を理解する。運動量保存則の応用として衝突現象を扱う。)
準備学習 復習・予習課題No.10を解いて提出する。
教科書3.3-3.4節を予習する。
12. 万有引力。ケプラーの法則。
(ケプラーの観測結果から,どのように万有引力が導かれたかを,円運動近似で議論する。万有引力により現象を理解する例として,地上の重力,静止衛星,脱出速度を扱う。)
準備学習 復習・予習課題No.11を解いて提出する。
教科書4.1-4.3節を予習する。
13. 剛体の力学(1)。剛体の重心。力のモーメント。剛体のつりあい(静力学)。
(剛体と質点を対比させて,回転運動の自由度と扱いを理解する。一様で簡単な形状の物体の重心の計算法を学ぶ。剛体間の接触面で働く力を学ぶ。力のモーメントの定義を学ぶ。剛体の釣り合い条件を理解し,簡単な系を分析する。)
準備学習 復習・予習課題No.12を解いて提出する。
教科書5.1-5.3節を予習する。
14. 剛体の力学(2)。慣性モーメント。剛体の運動(回転軸一定方向の場合の動力学)。
(慣性モーメントの定義を学ぶ。剛体の運動方程式を理解し,回転軸一定方向の場合に限定して簡単な系を分析する。)
準備学習 復習・予習課題No.13を解いて提出する。
教科書5.4-5.5節を予習する。
15.学習成果の確認(期末試験)
準備学習 前回までの総復習を行うこと

<成績評価方法及び水準>
成績評価=A+R×Bとし,その値が60点以上の者に単位を認める。
A=期末試験の評価点(100点満点),B=予習課題,復習課題,レポート課題による評価点(25点満点)。Aが35未満はR=1,Aが35以上はR=[(100−A)/65]

<教科書>
「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔(培風館)

<オフィスアワー>
教職員プロフィール参照,1S-323室。電子メールを活用し,予約すれば,指定時間以外でも対応する。

<学生へのメッセージ>
担当者ホームページ(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/)に講義に関する詳細な指示,試験などに関する連絡、講義資料や昨年度の試験問題などを提示しているので各自確認しておくこと。オフィスアワー以外の担当者への質疑や面談の予約は電子メールで行なうこと。
(注:工学院大学では入学時に全学生にインターネットにアクセスできるIDを交付する。また,情報処理演習室は空き時間であれば自由に利用できる。従って,すべての学生は電子メールの送受信やホームページを見ることが可能である。)
理解を深めるために、物理学演習Iを履修することが望ましい。

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2013 Kogakuin University. All Rights Reserved.