2013年度工学院大学 第1部電気システム工学科

倫理学の基礎(Basic Ethics)[1219]

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2単位
板東 洋介 非常勤講師

最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
西洋および日本の基本的な倫理思想の学習を通じて、倫理学の基本的な考え方を学ぶ。
「達成目標」
(1)西洋および日本の倫理思想の基本的な知識を習得する。
(2)西洋と日本との倫理思想の差異を捉え、それを通じて日本で倫理を考えることの独自な意味を理解する。
(3)(1)・(2)を踏まえて、自らの現実を踏まえた倫理学的な思考を展開できるようになる。

<授業計画及び準備学習>
前半では西洋の代表的な倫理思想を、後半では日本の代表的な倫理思想を扱う。
1.ガイダンス:人と人との間─ヨーロッパと日本
2.ソクラテス:「よく生きる」ことへの問い
3.カント(I)理性・人格・尊厳
4.カント(II)道徳法則と普遍化可能性
5.カント(III)実践理性の「要請」─神の問題
6.ハイデガー(I)現存在としての人間
7.ハイデガー(II)死への先駆と公共性
8.和辻哲郎(I)人間の学としての倫理学
9.和辻哲郎(II)間柄的存在としての人間
10.和辻哲郎(III)人倫共同体─家族・社会・国家
11.儒教の倫理思想:無窮の天道と五倫五常
12.伊藤仁斎(I)日常に生きる─人倫日用の教え
13.伊藤仁斎(II)忠信と忠恕─他者への働きかけ
14.講義のまとめ
15.学習成果の確認(試験)
各講義ごとに、(I)講義内容をノートにまとめ、(II)それに基づいて自分の意見を簡単に論述することを、準備学習として求める。

<成績評価方法及び水準>
各単元ごとの授業内小レポートによる平常点(40%)と、「達成目標」で示した三点を問う定期試験(60%)とによって成績を評価し、60点以上の者に単位を認定する。なお、成績評価の詳細については、第一回講義中のガイダンスでより具体的に説明するので、必ず出席すること。

<教科書>
なし。授業ごとにレジュメを配布する。

<参考書>
宇都宮芳明・熊野純彦編『倫理学を学ぶ人のために』世界思想社、1994
新田義彦『入門講義 倫理学の視座』世界思想社、2000
和辻哲郎『人間の学としての倫理学』岩波文庫、2007
相良亨『伊藤仁斎』ぺりかん社、1998

<オフィスアワー>
授業の前後、教室または講師室にて。

<学生へのメッセージ>
 「倫理学」というと小難しく、また堅苦しく感じますが、それはありていにいえば、「何のために生まれて、何をして喜ぶ(=何ごとが幸福なのか)?」という─どこかで聞いたような─万人にとって切実な問いを、一から丁寧に考えなおしてみる学問にほかなりません。この学問で扱われる問題は、どんなに高度な専門用語が飛び交おうとも、伊藤仁斎が強調する「人倫日用」、つまり飯を食い、眠り、家族と交わり(ときに喧嘩し)、しごとをするという、われわれにとってもっとも当たり前な日常茶飯の場から、離れることはありません。本講義では、ある程度はこの学問の基本的な述語や議論の作法の習得を求めますが、それ以上に、受講者それぞれの日常茶飯の場面において、これらの手垢のついた古典的な議論を考え直してみることを要求します。そのために、講義担当者の能力の許す限りで、できるだけわかりやすく諸思想を解説するつもりです。

 

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