2013年度工学院大学 第1部応用化学科

薬品分析化学(Analytical Chemistry of Medicine)[6C02]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
高橋 博文 非常勤講師

最終更新日 : 2013/12/02

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
医薬品の有効性および安全性は分析によって担保されます。言い換えれば、分析研究のレベルが創製される医薬品の安全性・有効性の高さを決定すると言っても過言ではないでしょう。過去に不幸にして起こった数々の薬害は当時の創薬研究者の安全性への意識の低さと同時に分析技術水準の低さを表していると言えます。本講義では実際に製薬企業で行われている創薬研究を分析研究の視点から見ることによって、真の創薬の姿を理解していただくと同時に創薬研究に必要な技術や知識に触れ、以降の個人のキャリア形成のきっかけになって頂けたらと思います。

<授業計画及び準備学習>
(1-2回)薬の本質
薬の作用機序および副作用の原因と発現機序を理解し、これらのことから薬の本質を考える
(3回)創薬のタイムラインと分析研究の関わり
医薬品を上市するまでの道のりと創薬のもつ問題点を理解する
(4回)薬物の生体内での運命
薬物が投与されてから排泄されるまでの概説とそれらの過程で生ずる諸問題を理解する
(5回)創薬化学と薬物動態と物性研究の関わり
生体内での薬物の挙動と化合物の物理化学的な性質との関係を理解する
(6-7回)薬物動態解析の基礎
生体内薬物濃度の測定法および得られたデータの解析方法の基礎を理解する
(8-10回)薬物代謝とトランスポーター(3回)
薬物の「解毒機構」である代謝の様式・機構を理解すると同時に薬物が代謝されることによって「毒性が発現する」機構について理解する
代謝物の同定方法について理解する
薬物の吸収や排泄にかかわるトランスポーターについて理解する
代謝やトランスポーターに種差、個人差があることを理解する
(11回)薬物相互作用
薬物同士のいわゆる「飲み合わせ」について理解する
(12回)開発研究段階における分析研究
開発研究段階での分析研究の実際を理解する
(13回)臨床研究段階における分析研究
臨床研究段階での分析研究の実際を理解する
(14回)生体内の薬物の動きをみる
生体内での医薬品の動態を直接観測できるイメージング技術について紹介します
(15回)学習成果の確認(試験)

<成績評価方法及び水準>
定期試験、授業参加度(単なる出席ではありません)および授業中の課題によって総合評価します。60点以上を合格点とします。

<参考書>
「創薬の分析化学 開発タイムラインにそった全過程」
日本分析化学会編
丸善出版
「薬物代謝学 医療薬学・医薬品開発の基礎として第3版」
加藤隆一他編
東京化学同人
「医薬品クライシス78兆円市場の激震」
佐藤健太郎
新潮新書

<オフィスアワー>
授業終了後、またはEmailにて質問やご意見を随時受け付けます。

<学生へのメッセージ>
「くすりが何故効くのか知っていますか?」「同じくすりを飲んでいても効いたり効かなかったりする人がいるのは何故だか解りますか?」「何故夢の新薬が出てこないかわかりますか?」「他に知りたいことはありませんか?」このようなくすりに関する疑問や興味がある方は是非受講してみてください。積極的に授業に参加してくれる方大歓迎です。

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2013 Kogakuin University. All Rights Reserved.