2013年度工学院大学 第1部機械システム工学科
○材料力学及演習I(Exercise of Strength of Materials I)[5356]
3単位 田中 克昌 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 材料力学は機械や構造物の強度設計を行うための必須の学問である.機械の実際の強度設計をするには応力やひずみの概念をよく理解し,棒,軸,はりの応力と変形の算出式,また材料の性質などがすぐに頭に浮かんでくるようにしておく必要がある.講義の後で自分で問題を解くことによって,考え方を身につけ理解を深めて実際に適用できるようにする.
実際のものを見て,どこがもっとも壊れやすいか,また身の回りの機械,構造物を見てうまく設計されているか,判断できるようになることを目標にしている. <JABEE学習目標> 「機械システム基礎工学プログラム」:(D)◎ (F)○ <JABEEキーワード> 「機械システム基礎工学プログラム」:引張・圧縮・せん断応力とひずみ,材料の強度と許容応力,材料の構造と組織,熱応力,ねじり,曲げ,応力解析,ひずみエネルギー
- <授業計画及び準備学習>
- 材料力学は実際の機械や構造物の強度設計を行う能力を習得するためにはなくてはならない学問です.その名の通り「力学」ですから,これまで学習した物理の力学や工業力学などの基本がよく理解できていないと材料力学は習得できません.材料力学を習得すると身の回りの機械を見て,その信頼性などについて考えることができるようになり,機械の破壊事故の原因などを推定できるようになり,日常生活の信頼性という考えに親しくなることができます.社会に出てからも役に立つことが多いでしょう.
(前提となる基礎知識) 本科目を履修する前に,「数学I・II」などにより微分積分や微分方程式を,また「物理学」,「工業力学及演習I・II」などにより,力のつり合い,モーメント,偶力など,力学の基礎になる考え方を習得しておくことが望ましい.
<授業計画> 1.材料力学とは,材料の機械的性質と破壊,応力とひずみ 材料の性質,応力やひずみの概念をよく理解し,材料力学の準備をする. 2.棒の引張り・圧縮 応力やひずみの初歩的な理解をするため棒に生じる応力,ひずみを学ぶ. 3.分布荷重、変断面の棒,不静定な組み合わせ棒の問題 分布荷重,変断面の場合には微分方程式によるつり合い方程式をつくる必要があることを学ぶ. 4.熱応力,組み合わせ棒,締結体 高温機器に生じる熱応力の考え方,組み合わせ棒に生じる熱応力を学ぶ. 5.横ひずみ,せん断,ねじり 軸では引張り,圧縮の応力とは異なったせん断応力が主に発生することを学ぶ. 6.コイルばね せん断応力の例として軸ばかりでなく,コイルばねもあることを学ぶ. 7.はりの問題,せん断力と曲げモーメント分布図1 はりの問題,せん断力と曲げモーメント分布図の求め方を学ぶ. 8.はりの問題,せん断力と曲げモーメント分布図2 はりの問題で少し複雑なせん断力と曲げモーメント分布図の求め方を学ぶ. 9.はりの曲げ応力 Bernouilli-Eulerの仮定から,はりの曲げ応力を求める式の誘導について学ぶ. 10.断面二次モーメント はりの曲げ応力を求めるのに必要な断面二次モーメントを学ぶ. 11.はりの曲げにおけるせん断応力 はりでは曲げ応力ばかりでなく,せん断応力も生じていることを学ぶ. 12.はりのたわみ1 はりのたわみを用いて,はりのつり合い方程式を表す微分方程式を求めることを学ぶ. 13.はりのたわみ2 たわみを用いた微分方程式の積分を各種のはりについて実行し,たわみを求めることを学ぶ. 14.重ね合わせの方法 はりのたわみや応力を求めるのに重ね合わせの方法を用いることを学ぶ. 15.学習成果の確認 定期試験を実施する.
- <成績評価方法及び水準>
- 授業形態は原則として,3時限目を講義,4時限目を演習とする.講義の後で毎回行う演習の答案を提出する.成績評価は,演習の答案の採点結果と定期試験の結果にて行い,その割合は演習を3,試験を7とする.合格点は60点以上とする.
- <教科書>
- 機械工学基礎コース「材料力学」,小久保邦雄,後藤芳樹,森孝男,立野昌義(丸善)
- <オフィスアワー>
- 講義と演習の間の時間をオフィスアワーとする.それ以外の時間は,別途相談により対応する.
- <学生へのメッセージ>
- 材料力学は,さまざまな物体(固体)が外力を受けてどのように変形するのか,物体の内部にはどのような力が作用しているのか,どのような条件で物体は壊れるのか,を考える学問であり,機械部品や機械構造を設計する指針を得るための基礎となります.繰り返し学習することにより,材料力学の考え方をしっかりと習得してください.
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