2012年度工学院大学 第2部建築学科
△宗教論A(Religious Studies A)[3604]
2単位 田口 博子 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- フリードリッヒ・シラーの遊戯論
宗教学の有力な学説のひとつに、聖俗論があります。神的なものが顕現する領域が「聖」。経済や政治活動などが行われる日常の領域が「俗」。この二つの領域の関連を聖俗論は探究します。ところで文化人類学や文化史では、「聖」と「俗」の他に「遊」という領域を設定することがあります。 今期は遊びの本質について考察した、18世紀ドイツの思想家であるフリードリッヒ・シラーの「人間の美的教育について」を詳しく見て行きます。この著作は、特にカントとフィヒテの思想に影響を受けていると言われます。まずカントの『判断力批判』における美的判断・趣味・共通感覚、フィヒテの衝動理論を説明してから、現代ドイツの哲学者ハンス・ゲオルグ・ガダマーの論考を取り上げます。そして、シラーにおいて「遊」が「聖」と「俗」とどのように関わりあっているのかを考えてみたいと思います。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 導入
第2回 『判断力批判』(1):美的判断 第3回 (2):趣味 第4回 (3):共通感覚 第5回 フィヒテの衝動理論について 第6回 『真理と方法』(1):共通感覚・判断力・趣味 第7回 (2):美的教養への批判 第8回 (3):美的なものの時間性 第9回 「人間の美的教育について」(1)感性的衝動(素材衝動) 第10回 (2)形式衝動 第11回 (3):遊戯衝動 第12回 (4):自然 第13回 (5):美的仮象 第14回 (6):趣味 第15回 まとめ
- <成績評価方法及び水準>
- 学期末のレポート(3000字程度)80%、リアクションペーパー20%で評価します。
- <教科書>
- 適宜プリントを配布します。
- <参考書>
- テクストとして使用するのは以下の通りです。
フリードリッヒ・シラー(石原達二訳)、『美学芸術論集』、冨山房 イマヌエル・カント(宇都宮芳明訳)『判断力批判』(上・下)、似文社 ハンス・ゲオルグ・ガダマー、『真理と方法』(I,II)、法政大学出版会
- <オフィスアワー>
- 水曜6限
- <学生へのメッセージ>
- 毎回リアクションペーパーを提出していただきます。
- <備考>
- 特になし。
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