2012年度工学院大学 第2部建築学科

数学I(Mathematics I)[1606]

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2単位
片野 修一郎 非常勤講師

最終更新日 : 2012/12/14

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
専門課程で数学が必要になった時、きちんと使えるように、微積分の概念的な理解と実際の運用技術の修得の両方を目標とする。余裕があれば、論理体系の典型としての、また人類が築いた壮大な思想体系としての数学の側面も味わって欲しい。具体的には、(1)関数・極限・微分の意味を理解し、いろいろな関数の導関数が求められること。特に重要なのは、合成関数の微分である。これがきちんとわかるかどうかが運命の分かれ道だと思っても良い(2)Taylorの定理の意味を理解し、いろいろな解析関数のTaylor展開ができること(3)積分の計算技術を身につけること、を主な目標とする。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス/数学をやっていく上での基本事項の確認(時間不足なので、2.の話に入る予定)
  準備学習:自分としては、基本さえ身についていれば授業を聞くだけで自然にわかるように話すつもりです。従って、いきなりわからないということは、最低限の基本が身についていないということを意味します。そのような人にとっては、授業を聞いてからでなく、授業を聞く前の準備学習が非常に重大な意味を持ちます。高等学校の教科書は無味乾燥ではありますが、これだけの内容をこれほど要領よくコンパクトにまとめた本は他にありません。短期間で一通りのことを身につけるのに教科書より優れた本はなかなかありません。従って、高等学校の数学I、数学IIの教科書を十分に読んで(きちんと理解して)おくことを強く強く要求します。
2. 関数概念と重要な関数(多項式、三角関数、指数・対数関数)の性質(高校の復習)
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
3.1回目の続き/関数の極限
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
4.導関数の定義とその基本的性質 三角関数の導関数 
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
5.自然対数eの導入とそのストーリー
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
6.初等関数の導関数(合成関数の微分法。ここが最大の山場です) 
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
7.逆関数とは?(逆三角関数/逆関数の微分法) 
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
8.初等関数の導関数のつづき(対数関数の導関数および対数微分法)と演習
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
9.高次導関数と演習
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
10.予備日 演習用に使いたいがたぶん時間不足になっているであろう(場合によっては小テスト)
  準備学習:微分について一通り終わったところで全般的にもう一度よく復習して分からないことを後に残さないこと。特に合成関数微分は徹底的に理解しておくこと。
11.Taylor/Mac'Laurinの定理とその意味・演習
準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
12.積分とは?(Riemann積分の定義と微分の逆の意味での基本的な関数の積分公式)
準備学習:高等学校数学IIの教科書の積分の箇所をよく読んで復習しておくこと。
13.不定積分の計算技術I(置換積分法)と演習
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
14.不定積分の計算技術II(部分積分法)と演習
  準備学習:前回の内容を消化しておくこと。必要なら高等学校の教科書および下記参考書等で補って、かつ練習問題をできるだけ数多く(よく考えながら)解いてみること。
15. 学習成果の確認(前期末試験)
  準備学習:理解しないで公式だけ覚えても無駄です。パニックに陥るだけです。全般に復習して十分に計算練習を積むこと。
丁寧に話している(つもりな)ので、上記の内容のうち、後半の積分が近年時間不足で後期にずれこむことが多くなっています。今年度は可能な限り前期のうちに済ませたい。

<成績評価方法及び水準>
期末試験一回で評価。授業時に配布する演習問題のプリント中から出題する予定。
他に、時間の許す限り授業時に演習を行うので、黒板で解答をした者には平常点を与え、試験の点数に加算する。また、授業時の質問に答えた場合やレポート課題を提出した場合も適宜平常点を与える。以上の合計点が基準に達した者を合格とする。評価は厳格に行い、追試措置等は一切しない。

<教科書>
授業は自前のプリントを中心に進めます。特定の教科書をなぞることはしませんから、自分の気に入った本があればそれを用意すればよい。教科書としての微積分の本はどれも大同小異です。最近は、学生の学力が多様化し、それに応じて様々なスタイル・レベルの本が出ているので、自分の実情に合った、自分にとって読みやすい本を選んでそれを手元に置いておくのが一番よいと思う。四年間使えるのだから、理工系の学生として微積分の本は必ず一冊は手元に置いて、必要な時にいつでも参照できるようにしておかなければならない。一応、次を挙げておく。
長崎憲一・横山利章「明解 微分積分」(培風館)
この本は高校数学の復習を含めて易しく丁寧に書いてあり、例題や練習問題も豊富なので自習するにも適していると思う。
しかし、最も良いのは高等学校の教科書をきちんと読み直すことである。高校での学習が不十分な人はとにかく高等学校数学II(必要なら数学Iも)の教科書を丹念に読見直すこと、これに尽きる。

<参考書>
一回目の授業時に紹介する。最近はいろいろなタイプの微積分の参考書が出版されている。新宿には大書店がいくつかあるので、足を運んで、実際に手に取って、自分の気に入ったもの・自分のニーズに適ったものを選ぶのが一番よい。

<オフィスアワー>
授業の前後の休み時間、新宿校舎12階講師室で。質問歓迎します。

<学生へのメッセージ>
なるべく基礎・基本から話すつもりだが、半期で14回の授業で手取り足取りあらゆることをカバーするのは不可能である。授業が本格化する前に、高等学校の数学はできる限り復習しておいて欲しい(これは強くお願いする)。近年、意味もわからないまま、ただ問題の解き方だけを丸暗記しようとする傾向が非常に強く、教員として危機感を強くしている。概念をきちんと理解しないまま解き方の丸暗記をすることは全く勉強したことにならないので、空しい作業に過ぎず、結局時間の無駄です。きちんと理解することのみがあなたの頭脳を本当に耕すことになります。そしてそのように耕された頭脳は将来、あなたに絶大な力を貸してくれるでしょう。高等学校で数学をあまり学んでこなかった人は、学習支援センターを積極的に利用することを推奨します。

 

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