| 2012年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科
 
 流体機械I(Fluid Machine I)[6A04] 2単位
 川岸 裕之 非常勤講師
 
 
 
<授業のねらい及び具体的な達成目標>
  流体機械は、流体のエネルギーと機械的動力とのエネルギー変換機であり、ポンプ、水車、送風機、圧縮機、風車、蒸気タービンなどがある。流体機械は、発電・化学・産業などの各種プラント、船舶・航空・宇宙システムなどに幅広く使用され、社会基盤を形成する機械として重要な役割を担っている。このため、流体機械の性能や信頼性に関する研究が現在も活発に行われている。本講義では、流体機械の作動原理、構造、性能、信頼性などに関する知識を習得するとともに、流体機械特有の現象や最近の動向を理解して、流体機械を設計するための基本的能力を養うことを目的とする。以下に本授業の達成目標を示す。
 1.流体機械の発展の歴史、構造分類、適用事例を把握する。
 2.流体機械の作動原理に関連する種々の関係式を理解する。
 3.流体機械の構造、性能、信頼性に関する技術を理解する。
 4.流体機械の設計を実施するための基本的知識を習得する。
 
 (JABEE学習・教育目標)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(D)◎、(F)○
 (JABEEキーワード)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:質量と運動量の保存、エネルギー保存則(ベルヌーイの式)、状態方程式、相似則、層流と乱流、翼と翼列、渦、キャビテーション、流体機械
 (前提となる基礎知識と習得後の展開)
 本科目の履修前に、流れ学や流体力学関連科目により、質量・運動量・エネルギーの保存則や状態方程式を復習しておくことが望ましい。本科目の履修後は、学習した知識を用いて流体機械の設計演習などの科目を受講することができる。
 
<授業計画及び準備学習>
  1.「ガイダンス」流体機械の発展の歴史、構造分類、各種プラント・システムへの適用事例を理解する。
 教科書(口絵〜p.13)
 2.「流体エネルギー、動力、エネルギー変換」
 エネルギー保存則、動力、状態方程式、運動量の法則などを理解する。
 教科書(p.14〜p.19)
 3.「エネルギーの成分、羽根車の形状、損失と効率」
 速度三角形、エネルギー変換、羽根車の形状、効率の計算方法などを理解する。
 教科書(p.20〜p.26)
 4.「おもな構成要素、遠心羽根車」
 遠心羽根車の構造、内部流れ、損失、揚程などを理解する。
 教科書(p.33〜p.41)
 5.「軸流羽根車、斜流羽根車」
 軸流羽根車の構造、内部流れ、翼列、斜流羽根車などを理解する。
 教科書(p.42〜p.52)
 6.「固定流路、軸封装置」
 流路内の流れと損失、ディフューザ、案内羽根、軸封装置などを理解する。
 教科書(p.53〜p.69)
 7.「性能と運転」
 相似則、次元解析、比速度、特性曲線などを理解する。
 教科書(p.74〜p.89)
 8.「不安定現象」
 キャビテーション、旋回失速、サージング、水撃現象などを理解する。
 教科書(p.90〜p.108)
 9.「ポンプ」
 ポンプの形式、性能、構造、特徴などを理解する。
 教科書(p.113〜p.132)
 10.「送風機、圧縮機」
 送風機・圧縮機の分類、適用範囲、構造、特性などを理解する。
 教科書(p.135〜p.156)
 11.「水車」
 水車の出力、性能曲線、形式、構造などを理解する。
 教科書(p.159〜p.172)
 12.「流体継手、トルクコンバータ、ターボチャージャ」
 流体継手・トルクコンバータ・ターボチャージャの構造、作動原理、特性などを理解する。
 教科書(p.175〜p.194)
 13.「風車、ターボ真空ポンプ」
 風車の理論、特性、種類など、ターボ真空ポンプの原理、構造などを理解する。
 教科書(p.195〜p.225)
 14.「蒸気タービン」
 蒸気タービンの作動原理、構造、特性などを理解する。
 15.学習成果の確認(期末試験)
 
 準備学習:教科書の該当する個所を熟読するとともに、該当する例題を理解すること。
 
<成績評価方法及び水準>
  最終回に行う期末試験で成績を評価し60点以上の者に単位を認める。「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)、(F)の「流体機械」に関する範囲は上記の評価基準を満たせば達成される。
 
<教科書>
  「ターボ機械(入門編)新改訂版」ターボ機械協会編(日本工業出版)
<参考書>
  「流体機械 改訂・SI版」大橋秀雄著(森北出版)「蒸気タービン」ターボ機械協会編(日本工業出版)
 
<オフィスアワー>
  講義終了後の30分間
<学生へのメッセージ>
  流体機械を直接目にする機会は少ないと思いますが、社会生活および科学技術に不可欠な機械として重要な役割を担っています。また、流体機械の性能向上は最近のエネルギー・環境問題の改善に大きく貢献しています。本講義を通じて、流体機械の原理、構造、特性を十分に理解するとともに、機械技術者に求められる幅広い工学的センスを養って頂きたいと思います。
<備考>
  講義中に演習問題を行うことがありますので、電卓を持参して下さい。 
   
 
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