| 2012年度工学院大学 建築学部
 
 ○建築法規(Architectural Regulation)[5171] 2単位
 後藤  治 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
 戸田 敬里 非常勤講師
 
 
 
<授業のねらい及び具体的な達成目標>
  目的必修科目として受講することの意味を考えてほしい。「建築」を修学したと言うからには建築法規を語ることができなければならない。建築を語るためには法規の持つ意味を理解しなければならない。「建」の字がもともと持つ意味に都市計画に連なることもあり、まちづくりを語るにも同様である。
 もちろん、一級建築士資格取得のために「建築法規」が国土交通大臣が指定する建築に関する科目としてあり、建築法規の習得は必須である。
 建築物を計画するあるいはまちを計画するためには、一定のルールに則らなければならず、そのルールの一つに建築基準法があり、都市計画法等がある。皆様がこれらの法律を理解するためのテクニックを授けるような内容としたい。
 
 達成目標
 建築法制度の基礎を学び、個々の法律の条文が意味するところ及びそれらの条文が相互に関連することを理解する。同時に、一級建築士受験科目の「建築法規」の出題事例を解くことで、建築法規に対する理解を深める。
 
<授業計画及び準備学習>
  各週の授業内容は下記の通り(*は各週授業のキーワード)準備学習は、毎週、配布資料(主に例題)を自己学習し、次回の授業に備えること。
 
 第1週:授業のガイダンス
 授業の進め方
 法体系及び建築法制度の基礎
 建築物の完成までの流れと法規の関係
 *建築法制度の基本 ・建築法規のの起源と変遷 ・法体系と建築基準法の構成 ・法令用語
 
 第2週:法令の基本中の基本を学ぶ!
 法の分類と建築基準法の体系・建物は勝手に作れない!
 確認申請とは?・設計図の目的は?
 規定の種別と区分を法令集の目次で全体像をとらえる
 ・建築物を建てるための原則 ― 1 : 用語の定義・道路の定義・都市計画区域
 *用語と算定方法 ・建築基準法の用語の定義 ・面積、高さ等の算定方法
 
 第3週:集団規定を理解する! (+ 小テスト)
 都市について・建築物と道路の関係・道路の幅員による建築制限
 都市計画法と建築基準法→地域、地区制・都市計画図を見てみよう
 集団規定で規制する内容→用途制限、形態規制等
 *個々の建築物に関する規定 単体規定1 ・一般構造規定 ・設備規定
 
 第4週:建築プロセス1 ・調査・分析 : ( 調査の種類と目的を掴もう!)
 調査によって、「どのような法規制が関係するのか?」を把握する
 ・建築物を建てるための原則 ― 2 : 用途地域と建築物の用途制限
 ・建築物を建てるための原則 ― 3 : 規模、形態の制限・建築基準法で用いる面積の種類
 *単体規定2 ・構造設計と構造計算の原則 ・構造計算の方法 ・各種構造種別ごとの基準
 
 第5週:建築プロセス2 ・企画設計 : 建蔽率、容積率の制限
 企画設計とは?:コンセプトメイキング+ボリューム算定、計画案は1つではない!
 形態規制を理解しなければ、どんな設計も不可能
 *単体規定3・火災の進展と法規制 ・建築基準法と消防法 ・内装制限 ・防火区画 ・特殊建築物等の耐火性能
 
 第6週:建築プロセス3 ・企画設計 : 高さの制限
 形態デザインに影響を与える規制
 高さに参入するもの、しないもの・階数と階
 *単体規定4 避難施設等(廊下、直通階段、避難階段、非常口) ・排煙設備 ・非常用の照明 ・非常用の進入口 ・避難安全検証法
 
 第7週:建築プロセス3 ・企画設計 : 高さの制限 (+ 小テスト)
 高さ制限の種類と内容 1) 道路斜線制限 2) 隣地斜線制限 3) 北側斜線制限
 日影規制による建築物の高さとボリュームの制限
 ・建築物を建てるための原則 ― 4 : 形態制限
 ・建築物を建てるための原則 ― 5 : 構造の制限
 *都市環境を作る建築の規定(集団規定)1 ・都市計画法と建築基準法 ・用途地域制
 
 第8週:建築プロセス4 ・基本設計
 基本設計とは?:計画の主旨と規模や骨格(内容)を決定していく
 2つの構造→工法的構造と、耐火・防火性能上の構造の選択
 法的視点からの設計フロー:平面計画、断面計画、使用材料における法規制チェック
 *集団規定2 ・道路の定義 ・敷地の接道義務 ・道路内の建築制限 ・敷地面積の制限
 
 第9週:建築プロセス5 ・基本設計
 ステップ1 : 「シェル(殻)の設計」と防火規定
 ステップ2 : 「居室の配置と動線計画」と避難規定
 *集団規定3 ・密度地域制 ・建ぺい率制限 ・容積率制限
 
 第10週:建築プロセス6 ・基本設計 (+ 小テスト)
 ステップ3 : 「区画割(間仕切等)」と採光・排煙
 ステップ4 : 「防火区画」と面積・吹抜け
 *集団規定4 ・形態地域制 ・高さの制限 ・道路高さ制限、隣地高さ制限、北側高さ制限 ・高度地区 ・天空率による高さ制限の性能規定化
 
 第11週:建築プロセス7 ・実施設計
 実施設計とは? : 具体的な仕様、寸法を決定していく
 部材の選定・内装制限・耐火性能などの規制
 その他の意匠設計と係わる規制
 *集団規定5 ・日影規制 ・防火地域性 ・地区計画等
 
 第12週:建築プロセス8 ・実施設計
 構造強度関係規定 :構造設計と安全
 設備関係規定 1)換気設備 2)排煙設備 3)昇降機
 電気関係規定 1)非常用照明 2) 避雷設備
 消防法(消防設備): 消防法による防災・消火・避難設備
 *制度規定 ・手続きの種類と関係機関 ・確認と許可 ・中間、完了検査 ・維持保全 ・違反建築物
 
 第13週:建築プロセス9 ・各種申請
 建築士法 : 建築士(資格)の種類(1級・2級・木造)によって、設計して良い建物が決まる!
 建築プロセス10 ・発注と受注 1)建設業法 2)発注方式
 建築プロセス11 ・建設工事 1) 工事現場の安全と衛生
 建築プロセス12 ・工事監理業務・各種検査 : 近年、重要度が増している!
 建築プロセス13 ・完成・使用開始
 建築プロセス14 ・維持・管理・定期報告・住宅性能保証制度等
 *建築関係法規 ・設計、工事関連の法規(建築士法、建設業法) ・良好な建築促進の法規(バリアフリー法、耐震改修促進法、住宅品質確保法、景観法、都市緑地法)
 
 第14週:建築実務と建築倫理
 フリートーキング
 最後に、定期試験の内容等の説明
 
 第15週:学習成果の確認(定期試験)
 
<成績評価方法及び水準>
  原則として定期試験による評価とする。60点以上の者に単位を認める。ただし、試験の点数が50点以上60点未満の者で、かつ、授業内で実施した3回の小テストを全て受けた者は、レポート提出を認め、レポート内容が単位認定相当と判断される場合には最終成績を60点とする。
 また、不定期に実施する出席確認において、全て欠席の者の成績評価は「A」を上限とする。
 
<教科書>
  建築関係法令集「平成23年度版」井上書院、他、基本建築基準法関係法令集であれば可その他、オリジナル資料を授業の度に配布する。
 
<参考書>
  建築法規用教材(日本建築学会) / 建築倫理用教材(日本建築学会)建築申請メモ2011(新日本法規出版)
 
<オフィスアワー>
  3号館3階建築事務室で、授業終了直後適宜
<学生へのメッセージ>
  建築法規は、建築士の資格を取得する上で、必修の科目である。その理由をこの授業を通して各自なりに学んでもらいたい。
   
 
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