2012年度工学院大学 第1部応用化学科

数学I(Mathematics I)[3414]

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2単位
片野 修一郎 非常勤講師

最終更新日 : 2012/12/14

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
数学の基本ルールをもう一度確認すると共に、重要な初等関数の性質を理解すること。次に、微分法の概念を理解し、基本的な計算に習熟すること。特に(1)関数の積・商の微分(2)合成関数の微分、はすべてにおいて基礎となるものなので重点を置きたい。内容的には高等学校の復習に当たる。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス/数学の基本事項(数式・用語の意味や数式の書き方ルールなど)の確認(2.にも入る予定)
  準備学習:高等学校の数学IIをきちんと理解している自信がある人は特に何もなし(数学IIIをやっていれば尚よい)。それ以外の人は、授業が始まってからではなく、始まる前の準備が大切です。高等学校の教科書は無味乾燥ですが、これほど要領よくまとまった本は他にありません。短期間に一通りのことを身につけたいなら、高等学校の教科書ほど合理的にできているものはないのです。ですから、高等学校数学IとIIの教科書を徹底的に復習しておくこと。公式を覚えるのではなく、「地の説明文」をよく読んでください。
2.関数の定義と基本的な関数(多項式、三角関数(弧度法の復習を含む))
  準備学習:前回渡した基本事項のプリントをよく読んでおくこと(これがわかっていないとひどい目にあいます)。高等学校の教科書も復習のこと。
3.三角関数とその性質
  準備学習:前回の授業内容を消化しておくこと。高等学校の教科書も復習のこと。
4.指数関数とその性質
  準備学習:前回の授業内容を消化しておくこと。高等学校の教科書も復習のこと。
5.逆関数の意味/指数関数の逆関数としての対数関数
  準備学習:前回の授業内容を消化しておくこと。高等学校の教科書も復習のこと。
6.関数の極限 
  準備学習:前回までの授業内容を総復習すること。わからないことをこの段階で残さないこと。
7.微分法の基礎(導関数の定義と意味)
  準備学習:前回までの授業内容を総復習すること。特に渡したプリントをよく理解すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。
8.基本となる微分公式(和、差、積、商)特に積と商の微分に重点
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。
9.三角関数の導関数
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。
10. 指数関数の微分、eの導入とストーリー
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。
11.関数の合成とは? 合成関数の微分法則(ここが最大の山場です)
  準備学習:前回の授業内容を消化すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。
12.逆関数の微分法則、対数関数の導関数、対数微分法
  準備学習:前回までの授業内容を消化すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。
13.高次導関数および合成関数の微分演習(今まで学習した関数を使っての総合演習)
  準備学習:前回までの授業内容を消化すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。積極的に黒板に出て解答すること。
14. 具体的なMac'Laurin展開
  準備学習:前回までの授業内容を消化すること。プリントや手持ちの本の練習問題を数多く解いてみること。
15. 学習成果の確認(前期末試験)
  準備学習:全般についてよく理解しながら復習すること。解き方の丸暗記はダメ。よく考えながら問題練習を積むこと。

<成績評価方法及び水準>
定期試験をメインに据えるが、授業中にできる限りの演習を行いたい。演習問題を前に出て解いた者や質問に答えた者には平常点を与え、それらも合算した上で合計点が基準に達した者を合格とする。積極的に演習に参加して欲しい。

<教科書>
授業は自前のプリントを中心に進めるので、特定の本をなぞることはしません。自分の気に入った本があればそれを用意すればよい。教科書としての微積分の本はどれも大同小異である。最近は、学生の学力が多様化し、それに応じて様々なスタイル・レベルの本が出ているので、自分の実情に合った、自分にとって読みやすい本を選んでそれを手元に置いておくのが一番よいと思う。授業ではそれほど使わなくても、本として一冊手元にあれはいつでも参照できる(卒業するまで、或いは卒業してからも使える)ので、理工系の学生として微積分の本は必ず一冊は持っておいたほうが良い。また、授業とは違う説明を読むことは、理解を深める上でとても良いことです。高校の復習も含めて、易しく丁寧に書いてある教科書の例として一応次の本を推薦します。
長崎憲一・横山利章「明解 微分積分」(培風館)
例題や練習問題も豊富なので、授業の補足や自習にも役立つだろうと思う。
しかし、この授業では高等学校数学IIの教科を丹念に読み直すのが一番良いかもしれない(特に数学に苦手意識が強い人は改めて大学用の参考書など買わずに、高等学校の教科書をゆっくり理解し直す方がずっと良い)。

<参考書>
必要なら一回目の授業時に紹介する。最近はいろいろなタイプの微積分の参考書が出版されている。新宿には大書店がいくつかあるので、足を運んで、実際に手に取って、自分の気に入ったもの・自分のニーズに適ったものを選ぶのが一番よい。

<オフィスアワー>
授業の前後に八王子校舎1号館講師室で。質問は歓迎します。

<学生へのメッセージ>
基本が身についていれば、授業を聞いているだけでわかるように話すつもりですが、基礎・基本に自信がない人は、授業が本格化する前に、高等学校の数学はできる限り復習しておいて欲しい(これは強くお願いする)。近年、意味もわからないままに問題の解き方だけを丸暗記しようとする傾向が非常に著しく、教員として強い危機意識を感じています。数学はきちんと理解すればどんどんわかるようになって楽しくなります。逆に全部丸暗記しようとすれば、誰でもパニックに陥りますし、すぐに全部忘れて何も身につかないのでは結局時間の無駄です。よく考えることのみがあなたの頭脳を耕してくれます。よく耕された頭脳は、将来きっとあなたの力になってくれるでしょう。また、近年目につく現象として、数学の基本ルール(中学校で学ぶはずなんだけどなあ…)が身についていないために、根本的なところで躓いてそれっきりになってしまう不幸な事例に遭遇するようになりました(たとえば、(a + b)/a = 1 + b とやってしまうetc)。この授業ではその確認を機会あるごとに行うので、もし自分が該当すると思ったら、この機会に徹底的にわかってほしい。それが原因で、勉強してもいつまで経ってもできるようにならない、という不幸なことにならないように願います。

 

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