2012年度工学院大学 第1部マテリアル科学科

生物学I(General Biology I)[6E71]

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2単位
鈴木 基文 非常勤講師

最終更新日 : 2012/12/14

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
生物学は、20世紀後半に興隆した分子生物学を基盤に、生命科学という総合科学に発展している。すべての生物(生命)は細胞からなり、その細胞は無生命の種々の分子の集まりであるが、生命特有の性質(生命の本質;Nature of Life)をもっている。本授業のねらいは、生命の本質の根本となる「遺伝子DNAと細胞」に焦点をあて、地球誕生以来の長い歴史の中で、地球環境の変化とともに進化してきた生命の多様性を理解できるようにするとともに、自己複製能をもつ遺伝子DNAとその情報の流れの原理(生命のセントラルドグマ)を基礎にしている「細胞」の働きを理解できるようにする。
 達成目標は以下の通りである。(1)生命には歴史(自然史)があり、多様性があることを理解する。(2)生命の分子的基礎となる生体分子は多様な化学構造をもつことを認識し、その生物学的意義を理解する。(3)生命の基本的姿である細胞のかたち(構造)を理解する。(4)細胞の基本的な働き(機能)である細胞の生存・分裂・増殖・分化を細胞周期、アポトーシス(細胞死)、がん化と関連させて、細胞レベル及び分子レベルで理解する。(5)細胞のもう一つの基本的な働き(機能)である細胞の物質代謝とエネルギー代謝の基本を理解し、地球環境問題と関連させて光合成と呼吸の仕組みを理解する。
 本授業によって、生命の基本単位である細胞の機能と生命の設計図である遺伝子DNAとの関わり合いについての基本的な知識を習得することができる。

<授業計画及び準備学習>
1. [はじめに] 本授業の概要を説明する。自然史(自然誌)、分子生物学の誕生から生命科学への発展について学ぶ。
2. [生命の歴史(1)] 生命の起源、化学進化、そして生命(細胞)の誕生について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 160〜163を読んで理解しておくこと。
3. [生命の歴史(2)] 地質時代と関連させて、細胞進化および生物進化、ヒトの進化の概要について学ぶ。環境変化による生物の大絶滅と進化との関係について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 164〜167、179〜181を読んで理解しておくこと。
4. [生体分子(1)] 核酸(DNA、RNA)およびタンパク質の基礎化学およびそれらの生物学的意義について学ぶ。 
 準備学習:テキストpp. 1〜11、pp. 27〜30 を読んで理解しておくこと。
5. [生体分子(2)] 遺伝子DNAの情報の流れ(DNA→RNA→タンパク質)の原理(生命のセントラルドグマ)の重要性について、遺伝暗号の読み方演習も含めて学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 32〜38を読んで理解しておくこと。
6. [生体分子(3)] 細胞膜の構成成分として重要な脂質と糖鎖の基礎化学および膜タンパクの生物学的意義について学ぶ。
 準備学習:前回でプリントを配布するので、読んで理解しておくこと。
7. [細胞(1)] 細胞学の歴史を踏まえて、原核細胞と真核細胞およびオルガネラの構造と機能について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 74〜79を読んで理解しておくこと。
8. [細胞(2)] 細胞増殖の基本である細胞分裂(有糸分裂)と減数分裂の細胞レベル機構について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 86〜88を読んで理解しておくこと。
9. [細胞(3)] 細胞分裂調節機構の細胞周期について、遺伝子の複製と関連させて学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 84〜86を読んで理解しておくこと。
10. [細胞(4)] 細胞のアポトーシス(細胞死)およびがん化について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 89〜90、テキストpp. 109〜110、p. 116を読んで理解しておくこと。
11. [細胞(5)] 動物の初期発生における細胞分化および造血系細胞分化について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 97〜102を読んで理解しておくこと。
12. [代謝(1)] 生体触媒の酵素と遺伝子との関係および物質やエネルギー代謝の通貨であるATPについて学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 49〜51を読んで理解しておくこと。
13. [代謝(2)] 糖代謝、呼吸および光合成について学ぶ。
 準備学習:テキストpp. 51〜62を読んで理解しておくこと。
14. [代謝(3)] 生態系における炭素循環および窒素循環について学ぶ。
 準備学習:前回でプリントを配布するので、読んで理解しておくこと。
15. [定期試験] 試験によって学習成果の確認を行う。

<成績評価方法及び水準>
理解度をみるための中間テスト(1回)(レポート形式で、問題用紙配布後、指定した日に答案を提出する)および定期試験の結果を総合的(原則として中間テスト3:定期試験7の割合)に評価し、60点以上の者に単位を認める。

<教科書>
「生命科学入門」、東京教学社 (丸山工作、丸山 敬 著)

<参考書>
「視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録」鈴木孝仁監修 (数研出版)
「三訂版 新しい生物学」丸山工作 著 (培風館)
その他、授業にて紹介致します。

<オフィスアワー>
質問は授業終了後、教室で。

<学生へのメッセージ>
テキストを中心に授業を行いますが、内容を補うためにプリントも配布します。授業で、有名な科学者の伝記や科学の啓蒙書を紹介し、生物学に興味をいだくきっかけをつくりたいと思っています。原則として毎回、授業の重要なテーマについて1、2題の理解度小テストを行います。

 

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